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幻素が漂う世界で生きる  作者: 川口黒子
新学期編
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第3節 空模様

 そんなこんなで昼食を食べ終えた俺たちは、引き続き学園の中を探索した。俺は学園に関して自分が知っていることの全てをシオンに伝えた。最初の頃に比べて少しは会話が続くようにはなったはずだ。


 ひと通り周り終え、俺たちは教室に戻る。他の生徒はすでに帰ってきており、俺たちが来るのを待っていたらしい。


「お前たちのペアが最後だ。早く座れ」


「うっす」


 席に座ると、教師が再び話し始める。


「今日はこれで授業は終わりだ。各々自分の寮に戻って明日に備えるように。では、解散」



 寮に戻る前に、シオンに今日の礼を言いにいくことにした。こんな俺と一緒にまわってくれて、ありがとうと言うために。


 しかしシオンはすでに教室の中にはいなかった。


 ——また明日伝えるか


 そう思い、俺も教室を出る。



 寮は学園のすぐ近くに建てられている。階級ごとに寮の種類が異なっていて、上の階級になればなるほど良い寮で生活ができる。


 学園の門をくぐり、空を見上げる。


 東に太陽が、西に月が空に浮かんでいる。本来は出会うことのない二つの"星"が同時に存在している。


 空が一つの幻界領域に包まれて以来、この学園があるアトランタ大陸を境目に東は昼、西は夜の状態がずっと続いている。その影響で各地の食料生産が滞り、一時期世界は未曾有の大飢饉に襲われた。

 今は落ち着いてはきているが、この飢饉が原因で起きたテロや紛争は今も続いている。


「……はぁ」


 俺はその場でため息を吐く。この空を見るたびに世界はつくづく面倒なことになったなと感じるのだ。


 俺は西に向かって歩き出した。


 空が暗くなり始めてくると、街灯に灯された風情ある館にたどり着いた。外壁はつる草で覆われており、庭には雑草が無造作に生えている。

 俺が入学した当時はもう少しマシだったのだが、住む人間が俺一人になると、手入れをするのも面倒になりそのまま放置している。


 中に入ろうとして俺はあることに気がついた。


 ——電気がついている?


 朝家を出る時に消し忘れたのだろうか?

 不思議に思いながらも俺は扉を開ける。


「……あ」


「……え?」


 そこには箒を持って掃除をしているシオンの姿があった。





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