第34節 筆記テスト
あっという間に3日間が過ぎた。
シオンもルナも放課後は俺の家に集まって集中詰め込みをしたので基礎的なことはなんとか答えられるくらいにはなっているはずだ。ここから先は祈るしかない。
「試験、開始」
教師の合図と共に静寂に包まれていた教室に一斉に紙をめくる音が響きわたる。最初の科目は歴史だ。得意科目ではあるが、アクール大陸に存在した王朝の細いところが範囲なので中々に難しい。
第3問
(ア)
———アクール大陸中央部に存在した1( )王朝は4つの都市国家がカチャル王国の王2( )によって統一されて誕生した。2が初代王となり、貨幣制度を導入するなどして発展を遂げていき、2代目3( )王の時に最盛期を迎えた。しかし、その後は貴族階級の腐敗、貧富の格差の影響で徐々に衰退していき、4( )年に起きた5( )革命によって滅びた。
1〜5に当てはまる言葉、数字を答えよ。
1[ドラミナ ]
2[ドラン ]
3[ ヌスティーヌ ]
4[ ]
5[バベル ]
(イ)
"4"年に存在した王朝で、近年判明した宮廷詩人として仕えていた人物の名前と作品を答えよ。
人物[ナターシャ ] 作品[ ]
2時間目 地理
第5問
現在、ローゼン大陸北部は砂漠化が進行している。その理由を述べよ。ただし、以下の言葉を使い、初めに使った箇所には「 」を使うこと。
[永遠の昼、気候、幻界領域]
主な要因としては、ローゼン大陸北部に展開している「幻界領域」の特性によって拡張された場所の土壌が砂に変わっているからである。また、「永遠の昼」による「気候」変動によって高圧帯が南下したことも要因として挙げられる。
2日目 3時間目 幻素基礎
とうとう筆記テストの最後の科目となった。他の教科の手応えはまあまあだが、幻素基礎に関しては自信がある。シオンたちも他の教科は無理でもこれなら答えられるだろう。
幻素基礎のテストは、幻素に関する基本的な知識が問われる。一般の学校でも主要科目として導入されているが、この学園では2年生になると"幻素応用"と呼ばれる科目もやるようになる。これは実戦に役立つのでその土台となる幻素基礎は大いに重要だ。
第1問
幻素の特徴として間違っている説明を次のア〜オの内1つ選べ。
ア 幻素の色は8色である
イ 人間の体内に占める幻素の色の割合は同じである
ウ 幻素濃度の高い幻素凝縮が低い幻素凝縮を霧散させる
エ 稀に2つ以上の色の飽和幻素を持つことがある
オ 幻素同士が結合することがある
[ オ ]
第4問
下の図は幻素の霧散に関する相関関係を示したものである。空欄に当てはまる色を答えよ。
赤色、オレンジ色→1( ) →茶色→2( )→3( )→赤色
4( )はどれにも有効、5( )は有効でも不利でもない。
1[緑色] 2[黄色] 3[青色] 4[白色] 5[紫色]
チャイムが鳴る。教師が答案を回収し、教室の外に出ると皆気が抜けたように息を吐いた。席を立ち、今回のテストの出来について聞き合ったり、問題を見て答えが同じかどうか確かめたりしている。
俺とシオン、ルナは急いで教室を出て、アオと合流し、足早に訓練場へと向かう。2日後には実技テストが待っている。俺たちの戦いはここからが本番だ。




