表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻素が漂う世界で生きる  作者: 川口黒子
トルペン編
PR
32/105

第30節 怪物

「タリア、お疲れ様」


「お兄ちゃんもね」


 パレードが終わると客は解散していき、海に面したこの場所にいるのは彼らと俺たちだけになった。


「にしてもすごいな。まさか1年生でクラウズランキング第2位になるなんて」


「まあ、それほどでも〜〜?」


「先輩、そのランキングってなんですか?」


「シオン、ちゃんと先生の話を聴いとけよ。チームごとの順位とは別に、個人でのランキングが存在するんだよ。模擬戦闘訓練での結果だったり、来週のテストなんかで決められている。ちなみにシオンはワードの中では1位だ」


「それりゃそうでしょうとも!師匠は最強ですから!」


 ルナが自分の事では無いのに自慢げに胸を張っている。シオンはそんなルナを見て呆れたようにため息を吐いた。


「それで、先輩は何位なんですか」


「俺か?俺は順位外だ。公平性に欠けるからな」


「流石!3年留年は伊達じゃない!!」


「……ちなみにルナはワードの半分以下だからな」


「にゅ、入学初めの頃よりは上がってますぅ」


「それより、アオはどこにいるんです?」


 俺たちが話している間に、アオはどこかに行ってしまった。トルペンランドの方を見てみるが近くにはいないようだ。俺はチラリと海の方に目をやると、そこには海の上に立って何かを見つめているアオの姿があった。


「アオ、あそこで何をやってるんだ?」


「え?アオちゃんどこにいます?……あ!ホントだ!あんなところにいる!おーい!アオちゃーん!」


 ルナはアオを見つけると大声でその名前を呼んだ。アオは振り返ると手招きしてこちらを呼んでいる。


「アオ〜何かあったの〜?」


 俺たちはアオのもとに行くと、アオは剣幕な表情で海を眺めている。


「タリア、スカルシュは全部倒したよね」


「?そのはずだけど」


「何か見つけたのかい?」


「……サルサ兄さん、私、"声"を聞いたの」


「……声?」


「何を言ってるのかはわからなかったけど、その声はどこか儚くて、なのに深みのある……"愛"が、こもってるように感じた」


 アオの言うことを聞いた瞬間、俺は全身の血の気が一瞬にして引いていった。



「今すぐこの場から離れるぞ!!はやく!!」




 俺は、気づくのが遅かった。



 気づけるわけが無かった。



 だって"アレ"は、この海にはいないはず。



「せ、先輩……あれ……」


 ルナが、海中に見える巨大な影を指差した。距離は近くないが、確実にこちらに近づいている。


「アゼンさん、あいつは一体……」


「サルサ、トルペンランドにいる客全員を非難させろ。できるならトルペン全域にまで避難勧告を出してくれ」


「先輩、流石に怯えすぎです。私たちが魔獣ごときにやられると思っているんですか」


「……いいかお前ら、よく聞け。これから先何があっても、"返事"をするな」


「……」


 その場にいた全員が、俺の異様な危機感を感じ取ったのか、緊張した顔つきになった。



 影が、近づいてくる。



 それは底なしの深海。



 海そのものを体現した、"深幻海域(ポイント•ラブ)"の数いる幼体の1体。




 魔獣を超えた"怪物"が今、現れる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ