しいなここみの交通エッセイ『バック駐車のコツ』
みなさん、お元気ですか?
私、自称車の運転のプロのしいなここみです(誰も知らない)。
さて、私の周りの自動車に乗る人は、バック駐車の苦手なやつが多いです。
私は一発でまっすぐに駐車枠の中に停めることが出来、縦列駐車も5秒もかからずぴったり壁につけて停めることが出来るのですが、そんな私のテクを見ているに関わらず、誰も私にバック駐車のコツを聞いては来ません。
助手席に人を乗せて一発でシュパッと駐車しても、みんな普通に何も言わずに車を降りて行きます。たまにびっくりしたように目と口を開いたまましばらく降りずにじっとしている人はいますが、感動したような表情をしているくせに何も言ってくれません。
なぜかはまぁ、ご想像にお任せしますけど。
っていうか、私にも不明なんですけど。
と、いうわけで、誰も聞いてくれないので、ここに書こうと思い立ちました。
私は教えたくてウズウズしていたのです。
バック駐車の得意な方は読まないでください。変なことをもし言ってたら恥ずかしいので。
と、いうわけで、ここからはバック駐車の苦手な方々が読んでくださっていると思って、偉そうに書くことにします。
生徒さんたち、いいですか?
それでは授業を開始しますよ?
その前に、動画サイトでバック駐車のコツを伝授しているものを見ましたが、ひどいですね。
かなり遠くの位置に停めてから、遥かな距離をバックして停めさせようとかしています。
あれでは辿り着く前に他の車に停められてしまいます。
まぁ、たぶん『誰でもやりやすい、わかりやすい方法』を説明するにはあのほうがいいんでしょうけど。
しかしスタート地点があんなに遠くては、やはりおばさんに横から場所を取られてしまったりするだろうので、実用的ではありません。
私の教え方は「習うより慣れろ」式です。
別の言い方をするなら「見るんじゃない、感じるんだ(Don`t Watch,Feel)」です。
はっきり言って優しくはありません。
小学生の男の子にいきなり瓦を割らせようとするようなやり方です。
あ。もしかしたら誰も私に聞いて来ないのは、このへんに理由があるのかも?
さて、ではまずは私が教えるバック駐車時のスタート位置ですが、なるべくなら遠いほうがいいのは確かです。上手になれば最短距離でも行けますが、最初のうちは遠くからのほうがいいでしょう。なぜならいち早く車体をまっすぐに出来るからです。
言うまでもなく、駐車枠に対してまっすぐバックするのが一番やりやすいです。車止めのあるところなら壁にお尻をぶつけることさえ心配することなく、誰でも簡単にバック駐車することが出来ます。この形ににいち早く持って行けるようにすることを考えましょう。
でも、いつもまっすぐお尻を後ろに向けられるならいいですが、そんなに前にスペースがある場所ばかりではありません。それにたとえ前にスペースがある場所でも、前述した通りあまり遠くからスタートしていたのではおばさんに駐車枠を横取りされてしまいます。また、前にスペースがあるからといって、あまり悠長にやっていては皆の邪魔になってしまいます。バックしている後ろを通り抜けられてヒヤリハットなんてこともありえます。
駐車枠に対してまっすぐにしなくても、横から駐車枠にまっすぐ入れる方法を覚えましょう。
普通によくあるのは駐車枠に対して車体をまっすぐになんか出来ない狭さの駐車場だと思います。そういう場所で向かいに駐車している車に近づいて平行に走り、停めようとする駐車枠を少しだけ過ぎたぐらいのポイントで車を止めましょう。そこがスタート位置となります。たとえ前が広い場所でも、そこです。自分を甘やかさず、鍛えましょう。
さて、次は視点です。
どこを見ながらバックするか。
みなさんは枠線に向かってバック駐車をする時、どこを見ますか?
見るべき点は2つだけです。
まずは自分の車の右側のお尻。
次に自分の左側に何か障害物があるかどうか。
あればそれに当たらないよう注意しながら、なければそのまま、右側のお尻をもう一度見ながらバックします。
この2度目に右側のお尻を見る時。
ここから本当は、視点を切り替えます。
それまでは自分の目で2つのポイントを見ていたのを、鳥になって、空の上から自分の車を見下ろすのです。
もちろんミュータントでもなければ本当にそんなことは不可能です。
イメージするんです。
上空から自分の車の動きを見ているように想像しながら、バックするんです。
紙にさっき言った2つのポイントに当たるところに2つ点を書いて、そこに車を入れるように鉛筆で線を書いてみてください。
その時に、紙に顔をめっちゃ近づけて線を書いたら、鉛筆の線はたとえ枠に入っても緊張したように線がぶれて、ラインも斜めになったりします。
顔を遠ざけて、まるで鳥になって全体を見るように線を引けば、なんてことはないでしょ? 綺麗な弧を描く線を、枠の中にぴったり導くことが出来ます。リラックスしています。
バック駐車で大事なことは以上の3点です。
スタート位置(なるべく早く車体をまっすぐにすること)、視点(鳥の視点から自分を見る)、あれもうひとつは何だっけ? そう、リラックスです。
緊張してガチガチになっていたら視野が狭くなります。肩の力を抜いて、リラックスすれば色んなものが見えて来ます。
実はこれ、バック駐車だけでなく、前向きに巡行している時なんかにも役立つことです。
自分の車をどこに置くか、視点を注視と周辺視を使い分ける、リラックスするーー
とても大事なことなので、覚えてくださいね!
以上、プロドライバーのしいなここみでした(←ここツッコむとこ)
一つ書き忘れていました。
バックする前、駐車する先を前向きに通り過ぎると思いますが、その時に必ず駐車枠の中を目視しましょう。
ショッピングカートが放置してあったら舌打ちしながら降りて行って退けましょう。子猫がうずくまっていたらニコニコしながら抱っこしに行きましょう。
何もないのを確認して、それからようやくバックです。
忘れずに!