化かし030 芸人
大蜈蚣退治を終えた翌日、ミズメは熱い湯の中で頭を捻っていた。
じつはあの晩は他にも、“事件”が起こっていた。
救出完了の直後、山で起こした騒ぎを聞きつけた“本物の山神”が鹿の姿を借りて顕神し、三人を叱ったのだ。
交戦で派手に暴れたせいで樹木や動物に被害が出てしまい、蜈蚣の死体も散らかり放題。
陽が昇るのを待つのも許されず、闇夜のうちに肉体労働にて様々な弁償を行わなければならなかった。
その仕事が片付き、ようやく温泉へ足を向けれると思ったが、そこに「蜈蚣一族の最後の生き残りにして弟の友達の知り合いたる神」を名乗る大蜈蚣が現れた。
三名は片付けで体力を絞り切った直後である。
有効打に欠けるミズメは戦力外、オトリは腹ぺこ、ヒサギの大力も疲労で萎えてしまっていた。
しかし、絶体絶命の危機かと思われたその時、蜈蚣が縦にまっぷたつに裂けたのである。
最初に目撃した蜈蚣の死骸と同じ手口。
攻撃を行った者の正体は掴めず。オトリがまたも空に向かって礼をしていた。
――さては、お師匠様がこっそりついて来てるな。
などと疑いを向けるミズメ。しかし白髪の銀嶺聖母の気配は無し。隠れているのであれば当然であるが。
ところが、そこへ代わりに現れたのは別の白髪であった。
ヒサギの保護者である縣の字を頂く長髭の老人、アガジイ。
ミズメには計ったように現れたように思えた。彼からは特に妙な気配や強い霊力は感じない。
仮に彼が蜈蚣への攻撃を行ったとするにしても、隠す理由が分からないうえに、最初の死体の件については説明がしづらい。
「そもそも、爺さんはどうやってあたしたちの居場所が分かったんだ?」
「うーん。初めからこっそりついて来ていたとか?」
背後からオトリの声。何か思惑があるのか、彼女は自ら同じ湯に浸かることを申し出た。
ミズメは断ったが押し切られてしまい、裸で背を向け続ける羽目になっていた。
「それなら、蜈蚣探しをしてる時に気付いても良さそうなんだよね。あたしたちは途中で走ったりもしてるし見失うでしょ?」
「戦いが派手だったから、それで分かったんじゃないでしょうか?」
「うーん、そうかな」
「何を疑ってるんですか? お年寄りが好かないからって変な疑いを掛けてはいけませんよ」
「そんなことないよ。あたしもちょっとづつ成長してるんだからさ」
――でも、嫌な感じがするんだよな。
ミズメは溜め息をつく。
考え過ぎだろうか、呆けたふりで弄んできたアマババよりも不快感を覚える。
思い出すのは生き地獄の中で己を扶養した糞爺。
同じ老爺でも、気配も姿形も違う邪仙だ。そもそも、あれは三百年前に銀嶺聖母が滅したのをこの目で見ている。
「まあ、気に入らないのは少し分かりますけど。ヒサギさんもすっかり元に戻ってしまいましたし」
どこか胡散臭い好々爺。ヒサギは彼が心配して現れた途端に男気を萎えさせてしまっていた。
老人に泣いて抱き着く少年の姿は、観音菩薩にすがる不幸者か、母にすがる幼子かといった様相であった。
翌朝にはすっかり元の木阿弥で、仲間との武術の稽古にも消極的になっていた。
ヒサギを奮い立たせるのがアガジイであるとしても、男らしくなさしめているのもアガジイに思える。
親離れならぬ、じじ離れをいつかはしなくてはならないだろう。
「とにかく、事件は解決したんですから、明日からは都に向けて出発です」
水音が近付いてくる。
「な、なんだよ」
「労おうと思いまして。肩をお揉みいたしますよ」
どこか笑いを含んだ提案。
「い、いいって。大体、頑張ったのはあたしだけじゃないじゃん」
肩にオトリの手が触れる。ミズメは逃げたくも湯から出れる状態ではない。
「じゃあ、私の肩もあとで揉んでください」
しなやかな指にすじを圧される。
「オトリは水術があるから肩なんて凝らないでしょ」
「気持ちの問題です」
結局ミズメは、揉み合いを承諾させられたうえに、湯から出たのちには傷んだ翼の繕いや、調髪までもされてしまった。
くすぐったいやら、恥ずかしいやらに押し流されて、頭の中で弄んでいた疑念はどうでもよくなってしまったのであった。
さて、ミズメとオトリは百足衆と共に日ノ本最大の湖、鳰の湖を擁する国、近江国に到達した。
旅は鈍行。百足衆は旅団であるが、どこかへ行くことを目的としているわけではない。
大雑把な進路こそは決めるが、その旅こそが生活で生業の中にある。
村の手伝いや交易、芸の披露などもそのうちで、人の多い村落を見かけるたびに停泊しては興行している。
村もまた都に近付くにつれて栄えてゆき、規模も徐々に大きくなってきていた。
大きな村落では坊主や巫覡も充実しており、荒事に関しても都や姓を持つ豪族からの出兵が当てにでき、ふたりは手持無沙汰となっていた。
「なんか、ただ飯を食らうのも悪い気がしてきたなあ。かと言って、あたしにできることは特にないし」
盲目の芸人オテントウさんの琵琶と、歌謡を披露する童女ウタを眺めながらミズメはぼやく。
「私も手伝いをしようかと思ったのですけど、かえってここのかたのお仕事を取ってしまうみたいで」
客人でかつ恩人であるミズメとオトリは、何もせずとも食事を頂ける身であったが、さすがにそろそろむず痒くなってきていた。
「皆と別れてふたりで先を急いでもいいんだけど……」
「それもなんだか悪い気がしますよね」
ふたりで苦笑する。
ここは立ち寄った地の受領の屋敷である。百足衆の芸達者は公に有名らしく、受領自らが一同を座敷へと招いていた。
ふたりもまた関係者として座敷の後方の隅にお邪魔させて頂いている。
近江路の 篠の小蕗 はや曳かず 子持ち 待ち痩せぬらむ 篠の小蕗や さきむだちや
「ウタちゃんは本当に綺麗な声。それに、沢山の歌を知っててすごいですね」
ウタは春告げ鳥と雲雀を足して割ったかのような美声をしている。
童女らしからぬ声量と、最後まで衰えることのない伸びのある発声。
「その地にゆかりのある歌を選んで歌ってるって言ってたよ。オテントウ爺さんの琵琶も見事だね」
琵琶もまた、すぐれて上手めき、神さびたる手づかひ……といったところである。
ふたりはすっかり彼女たちの演目が気に入っていた。
「今日はアガジイさんの人形劇もあるらしいよ。ヒサギも出るって」
「わあ、楽しみ」
手を合わせ嬉々とするオトリ。
瞽女と琵琶法師は芸の披露を終えると座敷の中央から端へと移り、ウタは鼓を手にした。
中央にはひとつの黒い布張りの衝立が座敷へと持ち込まれ、その前には子供ほどの大きさの人形を持ったアガジイが現れる。
彼は全身黒づくめの衣を着ており、顔まで覆いで隠している。
「あくまで居ないつもりってわけか」
「綺麗なお人形さん」
オトリが感嘆の声を上げる。人形は男とも女ともとれる愁眉の顔付きに見事な黒髪、そして金の糸を縫い付けられた綺羅の単衣を纏っていた。
縣の翁は重いはずであろうそれの手足を細々しく動かし、まるで生きた人のごとくに操り観客たちを魅せる。
楽器の演奏と共に、どこからか……恐らくは衝立の裏から語りが聞こえる。
人形を使った悲話の再現。
ある娘が都の貴人の家に生まれるも、母が別の男と通じてできた子だと知った父に棄てられ、別の貴人の男に養子として拾われる話だ。
棄てたはずの父は、妻が通じていたのがスメラギに近い高官であったことをあとから知り、新たな妻とともに後ろ盾に使うために娘を取り戻そうと画策する。
歌うように語る声は、さてはヒサギ少年か。男とも女ともつかぬ声には不思議な魅力があった。
要所要所では人形を使って娘の心情も語られ、座敷に集まった人々はそのたびに物憂げな溜め息をついた。
話は佳境に入り、養父は夫婦の策略により無実の罪を着せられて隠岐へと流されてしまい、そこで病を患って永遠に帰らぬ人となる。
養父を失った娘は悲しみに暮れ、己が養父へ抱いていたのが親を慕う気持ちではなく、恋情であることを吐露。
迫る夫婦の魔の手、娘は逃れようと屋敷を飛び出し、川へと身を投げてしまった。
人形が衝立の裏へと飛び込んでゆく。琵琶が掻き鳴らされ、鼓が乱れ打つ。まるで荒れ狂う濁流のようである。
衝立が倒れた。
そこから現れたのは人形ではなく、見事な化粧と貴人の装いをしたひとりの人間の娘であった。
「この川の おきを望むは 我がいのち 夢に見ゆるは かほとりの子」
願いを詠い上げ、その瞳はまっすぐと遥か彼方に結ばれる。
はかなき娘の生涯はこれにて閉幕。そのたましいの旅路の行きつく果ては、さて……。
「哀しいお話でしたね」
オトリは袖を濡らして言った。
「あたしは最後に驚いたよ」
「綺麗なかたでしたね。百足のかたたちに、あんな美人さんいらっしゃいましたっけ?」
「何言ってるんだよ。あれはヒサギだよ」
「嘘!?」
目を丸くするオトリ。
貴人による托卵から不幸な生涯を送った娘を演じたのは、男であるヒサギであった。
姿を見せたのはたった一首詠じるだけのあいだであったが、彼の装いは宮中で見かけても不思議でない美しさであった。
演目が終わったあとには、身分性別を問わずに“主役の娘”を探して回る人の姿が後を絶たないありさまである。
「僕はできれば、武士の役か何かがしたかったんですけどね」
苦笑いするヒサギ。この人形劇は全てアガジイが練り上げたものらしく、ヒサギの幼い頃からふたりはこれを演じていた。
ほかにも何種かの物語があるそうだが、決まって彼は美しい女の役を当てられるのだという。
「ヒサギさん、なんだか嫌そうでしたね」
「まあ、女役で通じるのも今のうちだけじゃないの?」
「そうですね。でも、ちょっと勿体ないかも。私も綺麗な着物を着て劇に出たいなあ」
この巫女には何やら奇怪な幻が見えているらしく、どこぞ宙を見上げて、手のひらを上に腕を掲げている。
「んー……あたしらも世話になってるだけじゃ悪いし、何かひとつ芸でもやってみるか」
ミズメは膝を打つ。
「私たちがですか!? 私、何もできませんよ?」
「そりゃ、今から考えて練習するんだからね。ちょいと次の村では、座敷を沸かせてやろうじゃないの」
「えーっ、私にもできるかなあ」
やはりオトリには何か幻が見えているらしく、誰も居ないほうに向かって手を振ったり、首を傾げて袖で口元を隠したりしている。
「できるできる。あたしの言う通りにすれば、大人気間違いなしだよ」
天狗なる娘は妖しげに笑った。
さて、ふたりは次の興行までにミズメの編み出した芸をみっちりと練習した。
そして、いざ公開となったわけであるが……。
「はーい、どうもー。百足衆の客人、ミズメとオトリでーす」
ひしめく見物人の前にふたりが現れる。
「あたしらは山伏と巫女ということで、人助けをやらせて頂いてるんですけどもね」
「はい、やらせて頂いていますね」
「具体的に人助けといっても、色々あるんですよ。物ノ怪退治に悪霊退治。化け猪退治に、鬼退治」
「はい、退治してきましたね。退治以外にもお仕事はありますけどね」
「蜈蚣退治に盗賊退治。山伏退治に、年寄り退治……」
「ミズメさんミズメさん! 退治したらいけないものが混じってますよ!」
「山伏? 大丈夫だよ、あいつも強盗だったから」
「そうじゃないですよ! お年寄りですよお年寄り! お年寄りを退治してどうするんですか!」
「お墓に入れる」
「そうでしょうけど! 敬老の心はないんですか!? そもそも犯罪じゃないですか!」
「平気だよ。頼まれてやってるから」
「誰にですか!? もしかしてご家族に? 食べるに困ってですか?」
「わ、わしの家は葬儀を挙げる金も無いからの。こうして墓穴に横になるから、おまえさんはわしに土を掛けてくれ」
「ご老人自ら!? 哀し過ぎます! 私なら止めますよ!」
「いやいや、いいんじゃ。これも若いもんのため。その代わり、わしが死んだら御供えとして米を供えて欲しい」
「なんて尊いご老人。任せてください。良い米どころのお知り合いから頂いてきます!」
「それから、小豆も」
「任せて! なんとしても手に入れてきます!」
「それを鍋に入れて」
「はい、入れました!」
「水で焚く」
「はい、焚きました。わあ、小豆粥のでき上がり。お爺ちゃん、これが好きだったの?」
「わしゃ満足じゃ。がくっ!」
「お爺ちゃーん! ……ああ、お亡くなりになった」
「窒息死。土を掛けておきながら白々しいね」
「掛けてません! 私、そんなことしません!」
「じゃあ、別の理由で死んだことにするよ。粥に糞が入ってたとかその辺で」
「入れませんよ!」
「それなら、あたしが殺したことにしとくか。……うっへっへ。爺さんよ。この新しく手に入れた弓の験し撃ちの藁巻きになってくれや」
ミズメは“どこからともなく”弓を取り出す。不思議の技に歓声が上がる。
「殺すところ要りますか!?」
「だから退治」
「あなたが悪人でしょうが! もう! お爺ちゃんは胸の発作で亡くなったことにします!」
「えー、殺りたかったなあ」
「ああ、哀しい! うえーん! おじいちゃーん!」
「うっわ。強引にきたよ」
「でも、なんて有難くてご立派なご老人なんでしょう。お望みの品まで死後の御供えのことを考えて小豆粥になさってくれたのね。きっとご成仏なさるでしょうから、しっかり拝んでおきましょう」
手を合わせるオトリ。
「いただきます」
「食べられませんよ! 御供えのおかゆですよ!」
「あら、この爺さん結構、柔らかいわね」
「そっち!? 私、鬼婆じゃないですか! そんなこと絶対にしません!」
「いや、おまえ食わされたことあるだろ」
「思い出させないで下さい! 心の傷になってるんですから! ああもう、嫌な記憶が蘇ってきた」
「いやあ、おまえの作る小豆粥は日ノ本一じゃのう」
「あ、お爺ちゃんまで蘇った!? やったー!」
「それに引き換え、わしの肉は硬いのう……」
「柔らかいですよ!」
「うわ、おっかないね。さすが人喰い鬼」
「違う違う! 食べちゃ駄目ですって! もう、気味の悪い話ばかりしないで下さい!」
「わっはっは! それじゃこの粥は貰って行くからな、さらばじゃ間抜けな巫女さん!」
「あれえっ!? お爺ちゃん、元気にどこかへ行っちゃった。もしかして私、騙された!?」
「ね、退治すべきでしょ」
「そんなお年寄りが居るなんて嘘です!」
「まあ嘘だけど」
「嘘なのかいっ!」
オトリが手の甲でミズメの胸を叩く。
「いやでもね、実際に流行ってるらしいんですよ」
「聞いたことがあります。お金が無くって亡くなる前に自ら墓地に行かれるかたの話ですよね。つらいですね。地獄の沙汰も金次第ってやつですか?」
「それだけじゃない。魂を仏に捧げるなんて言ってね、自殺したふりをする聖もいるんだって。それで寺に品を供えさせるんだとか」
「なんて悪いかた! 仏様の御心を悪用して! それこそ地獄行きです!」
「ってことで、今から坊主を片っ端から退治しに行こうぜ!」
「おまえも退治されろっ!」
オトリがミズメの頭をひっぱたく。
「「どうも、ありがとうございました~」」
世間の流行を取り入れた掛け合いは大盛況。
「切れ味の良い巫女の手刀に打たれたい」とせがんだ者があったとかなかったとか。
「違う……違う……私が思ってたのはこんなんじゃない」
「あっはっは。大人気だったじゃんか」
「うう、こんなことになるくらいだったら、秘伝の雨乞いの舞でも披露すればよかった」
ともかく、これで多少の恩も返せたであろうと、ミズメとオトリは湖を越えたあたりで百足衆と別れた。
旅団は京の都へはゆかず、当分のあいだは湖の周囲の村々を巡って興行をするそうだ。
袖振り合うも多生の縁。ヒサギを始め、旅団員たちはふたりとの別れを惜しみ、再会を望む言葉を口にした。
「さあ。いよいよ、山城国だ。オトリ、帯を締め直しておけよ」
ふたりは比叡山の峰、そこに立ち並ぶ木の上に立っていた。
望むは碁盤の目のように整然と区切られた屋敷の数々。振り返れば鳰の湖。
「結界が術の力を衰えさせるという話、本当なんですね。水術を使っても、ひと跳びでは木に登るのがやっとです」
「その例え、今一つ衰えてる感じが分からないね……。ま、あたしの翼にも関係無いけどね」
ここから先はスメラギのお膝元。魑魅魍魎どもと陰陽師の識神のひしめき合う魔都。
比叡山に入ったあたりから、ふたりの霊気の持つ威力が目に見えて衰えていた。
「魔都という割には、妖しい気配は感じられませんが」
「そこが厄介なんだよ。結界は悪い気配まで隠してしまう。だから、鬼でなくとも物ノ怪や悪霊が潜んでいても気付きにくいし、陰陽師たちの識神が人に化けてても分からないんだ」
「でも、避けては通れない。ミズメさんの見つけた勾玉は、絶対に破壊しないと」
「そうだね。中々大変な仕事になると思うけど、よろしく頼むよ、オトリ」
相方の横顔を見つめるミズメ。
「はい。ことが済んだら、あとは帰るだけ……か」
オトリは寂しげに南方を見やった。
「暗い顔するなよ。あたしなら大丈夫。気楽に、楽しんでいこうよ」
「もう、遊びじゃないんですよ! でも、そうですね。楽しめるところは楽しんでいきましょう。ふたり一緒に!」
返される笑顔。見詰め合うふたり。
そして昼の空には白く幽かな月。上弦を抜け満ちに臨むそれは、果たして吉を占うか、凶を占うか。
*****
鳰の湖……琵琶湖。
春告げ鳥……うぐいす。
小豆粥……お赤飯の前身。もとは赤飯は祝いではなく、忌みごとがあったときに食べられていた。祝儀で食されるようになったのは室町時代から。
上弦……上弦の月。新月から満月の中間で左側が欠けている。昼頃から登り、真夜中に沈む。
今日の一首【ヒサギ】
この川の おきを望むは 我がいのち 夢に見ゆるは かほとりの子
(このかわの おきをのぞむは わがいのち ゆめにみゆるは かおとりのこ)
ヒサギ演ずる娘の心情を詠った一首。身投げした娘が川の続く先の海の果てにある隠岐島を望む。幻の中にカッコウの子を見た。
第三者視点で、自分の魂が愛する人の果てた島へと流れつくのを見ている。見ゆる、は嫁ぐ意味もある。




