化かし026 少年
「あれ? この人はさっき組手をしてたかたですね」
オトリが首を傾げる。
組手が行われていたのは天蓋群から離れた集落の外れのはずである。
そこからここまではかなりの距離があった。
「ご、ごめんなさい! 怪我はありませんでしたか?」
男とも女とも付かぬ声と共に、少年が駆けて来た。
裾や袖を縛った徒衣の直垂姿。髪は後ろで一つにまとめており、駆けるたびにそれが跳ねている。
「なんのこれしき。やっぱりおまえは日ノ本一の大力だよ。武者か力士にでもなったらいいぞ。都で披露したら、すぐに声が掛かる。そうなれば、爺さんに楽をさせてやれるよ」
飛ばされてきた男が腰をさすりながら言った。少年は立ち上がろうとする男に手を貸した。
「ひょっとして、あっちからここまで投げられたの?」
ミズメが訊ねる。
「そうだ。この“楸”は大力の持ち主なんだよ。俺も中々の力自慢だが、こうはいかねえ」
男はヒサギなる少年の肩を叩いて言った。
「凄いな。このなよっちいのがねえ」
ミズメは少年を眺める。首や衣から覗く手足を見るぶんでは、畑仕事程度でも難儀しそうな線の細さである。
どちらかというと武者や力士よりも、貴人や坊主に寵愛されるのがお似合いだ。
「ご、ごめんなさい……」
少年は何故か謝った。
「ミズメさん。失礼ですよ」
「おっと、ごめんよ。ひょっとして、術か何かで力を増してるのかな?」
「いえ、僕は術のたぐいはからっきしで。墓場でも何も見えなくて平気なくらいで」
「ふーん。じゃあ、神様の加護とかかな?」
「そういうのも、分からないです」
少年は申し訳なさそうに言った。
「こいつの大力は生まれつきだって聞いたが、術師連中が言うには神通力や霊力に依らないものだって」
「ははあ、さては鬼か?」
鬼なら陰の気配を隠せばそういう芸当ができるやもしれぬ。
「僕には人魂も見えません。皆が指をさして怖がっても一人だけ何も分からないのに、鬼だなんて」
「“感無し”のかたかしら?」
「肉も骨も女みたいなのに、霊力に頼らずそんな大力が出せるわけないだろー」
「ミズメさん。女とか男とかいうの、嫌いじゃありませんでしたか?」
「だってさすがにさー……。じゃあさ、オトリとちょっと角力を取ってみなよ。組み合って投げるだけだけでいいからさ」
組み合えば力の正体が分かるやもしれぬ、それに大怪力というのならばオトリの水術にも勝てるやもしれない。比べたら面白そうだ。
「そ、そんな! こちらのかたは女の子ですよ! 男相手でも乱暴を働くのは嫌なのに……」
ヒサギはオトリを見て後ずさる。
「そうですよ! 私は女の子です! ヒサギさんの言う通り、乱暴はよくありません!」
非難の声が上がった。
「良いじゃんか。こいつの力の出処に興味があるんだよ」
「私は知りたくありません。なんとなく、知らないままのほうが良さそうだし……」
オトリは表情を曇らせる。
「お、ひょっとしてこの巫女さんも大力なのかい? 神通力を使ってもいいぞ。ヒサギと力比べをしよう」
男のほうは乗り気である。
「大力も大力。大男を空まで投げ飛ばして、あたしのことも森の向こうまで蹴飛ばす馬鹿力さ!」
「へえ、そりゃ凄い。人は見掛けに依らないものだ」
「出鱈目です! 私も乱暴は嫌いです!」
「ちぇっ。じゃあ、あたしが相手をしよう」
ミズメは師譲りの“健康体操”で身体を暖め始めた。
男をここまで投げたのが真実ならば勝てる気はしないが、このまま話をすり替えて、じじばばの相手をしないで済ませようという魂胆である。
「き、きみが? きみだって、男か女か分からない姿をしてるじゃないか……」
「そんなのどっちだっていいじゃんか。さ、さっさとやろう」
「嫌だよ。怪我をさせたくない」
少年は頑なだ。
「なんだよ。あたしのこと見くびってるだろ。角力じゃなくて他の武術でもいいぞ。剣でも鉾でも棒でも、弓だって得意だからね」
「ほう、山伏が武芸に通じてるってのは本当なんだな。ヒサギも道具を使った武術は練習してるぞ。どうしても力任せになっちまうがな」
男が言った。
「そうなの? じゃあ角力はやめて、木剣か何かで立ち会いをしよう。一本取ったら勝ちで」
「山伏さんよ、自信ありげだけど腕は確かなのかい? ヒサギは技量不足を差し引いても達人並みに強いぞ」
「あたしはずっと、悪い物ノ怪や悪人を退治してきたんだよ。武士とも勝負をして来たけど、負けたことなんて一度もないよ」
「へえ、面白いじゃないか。ひょっとして、今朝見つかった大蜈蚣の死骸はおまえさんらの仕事か?」
「死骸を見つけただけ。でも、退治できないこともないと思う。オトリ……そこの巫女なら間違いなくできる。あたしらは残りの蜈蚣を退治するつもりで話を聞いて回ってたんだ」
「おもしれえ奴だ。俺も腕前には自信があるが、化け物は専門外だ。蜈蚣連中にはウタとオテントウさんが持って行かれたままでな。蜈蚣をぶっ倒して身元の分かるものを持って帰ってくれたら、俺の秘蔵の酒をくれてやる」
男の表情は少し厳しくなっている。
「当てにしてくれていいよ。あたしたちは都に寄って紀伊国に行く旅の途中なんだ。ここから先は国守連中も陰陽師もうるさいから、ちょこっと民草に善行を披露してこうと思っててね」
「だったら、蜈蚣が片付いたら俺たちと一緒に近江を抜ければいい。都の中までは行かないが、俺たちは役人連中の目をごまかす手を八十と知ってるからな」
「乗った! じゃあ、あたしの腕前をいっちょ披露しますか!」
そういうとミズメは“どこからともなく”錫杖を取り出した。
「お、出たね山伏の不思議な術が。ヒサギ! 木剣を取ってこい!」
「ぼ、僕は……」
ヒサギは下を向いた。
「無理に戦うことなんてありませんよ。お礼や力の証明も関係無しに、私が蜈蚣を退治してあげます」
オトリが気遣う。
「ヒサギ。おまえは腕前は確かなんだ。蜈蚣の件だって、仲間を取られて悔しがっていただろう? もしも爺さんが襲われたときもそんなじゃ、冥加無しってもんだぞ」
男は溜め息をついた。
「お爺様……」
ヒサギは呟き、顔を上げた。
――おっ。ちょっと良い顔になったね。理由が年寄りなのは頂けないけど。
「良し、やる気になったな。こいつは単純なんだよ。拾ってくれた爺さんのこととなると健気でな」
――拾ってくれた爺さん、ね。
ミズメの中で物ノ怪の気質がむくりと起き上がった。
煽ればやる気が出るだろう。どうせやるなら本気で来て欲しい。
武芸ならば自信がある。術も使って構わないと言った。敬老精神がどうとかうるさい連れ合いは向こうの味方。
ここはひとつ、このヒサギ少年を組み敷いて、爺さんを含めた彼らに世の中の厳しさというものを教えてやろう。
「へっ、じじいに頼りっきりの玉無しなんかに負けないよ。じじいのほうも若いのに迷惑を掛けて、情けないんじゃないの?」
「お爺様を悪く言うな」
挑発は効果覿面。嫋やかなる少年がこちらを睨んだ。
さて、性の妖しきふたりは互いに得物を構え合って対峙した。
何やら、もたもたとしているうちに集落の仲間たちが聞きつけたらしく、あたりには人だかりができている。
過去にもこういった力比べがあったらしく、彼らは楽しげに、今度はどっちが勝つか負けるかと言い合っているが、大勢はヒサギのほうを推しているようだ。
「それでは、始めっ!」
男が開始の合図をした。
「行きますっ!」
先を切ったのはヒサギ少年。手にした得物は八尺ほどもある木の棒である。
命の取り合いでないため刃物ではないが、持ち手が尻に近いところを見ると、本来ならば薙刀を得手とするか。
正直な突きが繰り出され、ミズメは余裕をもってそれを横にかわす。
薙刀ならここから薙ぎ払いもあるだろうと、既に杖を立てて待ち構えれば、案の定、得物同士が衝突した。
――重い!
突き込みからの薙ぎでは踏ん張りが足りぬはず。大力は嘘ではないようだ。
それでもヒサギ少年からは、術を使った気配はもちろん、陰陽どちらの気も確認ができない。
「面白い奴!」
ミズメは杖を相手の棒に滑らせながら接近。錫杖の先が少年の顔に迫る。
早くもこれで一本かといったところでミズメは横っ飛びに逃れた。手元に近付いたためか、押し返してくる力が一気に強くなったのだ。
堪えれば錫杖をへし折られていたやも知れぬ。
間合いの差と腕力の差が明らかにも関わらず、ミズメは片手で杖の尻を持ち長さを稼いだ。
少年はそれを読んではたき落としを狙ってか、すでに錫杖に向かって八尺棒を振り下ろしていた。
霊気の胎動。
天狗たる娘は無遠慮に前方へ飛んだ。
彼女は翼の飛翔のさいに多少の風の術に頼るのであるが、それを翼を用いずに行った。
杖は囮。手放し、宙に残す。それが叩かれる刹那、ミズメの右手掌底打ちが少年の顎に命中。
目にも止まらぬ早業と自負する騙し討ち。観客と巫女から驚嘆の声が上がった。
少年もまた予想外だったらしく、軽い一撃に対して重い苦悶の息が漏らした。
ミズメはそのまま左で額を打つと見せかけ、衣の袖で視界を奪うだけに留める。
袖先を少年の両手が掠めた。打ち込んでいたら掴まれていたであろう。
大力と反応は恐ろしいほどであるが、素直過ぎるきらいがある。
――これで決めるよ!
にやり、したり顔。
ミズメは袖の目くらましとともに背後に回っていた。後頭部に手刀をお見舞いするつもりである。
しかし、脇に衝撃が波打つ。草鞋が見えた。読まれていたのはこちらか。いつの間にか回し蹴りが繰り出されていた。
――違う。早過ぎるんだ!
棒を棄てて掴みに移行したはずのヒサギであったが、ミズメの眼前にはすでにその棒先が迫っていた。
間一髪で手のひらを挟み込むが景色が飛んだ。
油断できぬ相手。物ノ怪の勘が彼女に更に術を使わせた。
妖しげな気配が辺りに渦巻き、観客から「山伏が増えたぞ!」の声が上がる。
自身は距離を取り、幻術で見せる像には攻めを命ずる。いやに身体が痛む。
打たれた手のひらだけではない。ミズメは手首や肩、果ては腰までに違和感を感じた。
――たった一撃で。
先程の突きをまともに受けていたら脳天が穿たれていたやもしれない。
力任せの愚直な攻めはすり込みであったか、少年は幻術に迷わずこちらへ距離を詰めた。
ミズメは自身の姿に幻を重ねて作り出し、幻の像には一歩下がらせた。
本体は伏せるがごとく身を屈め、踏み込んで来るであろう相手の脚を狙う。
体術と風術の合わせ技。足を地から離させしまえば、天地逆さを狙うも容易い。
――これぞ必殺、天狗攫い!
引っくり返る少年を思い描くミズメ。
しかし、その眼が捉えたのは別の光景であった。
立ち止まる少年の足。踏ん張りと共にやや反る。まるで何かを下へ突き立てるかのように。
――しまった! こいつ、“感無し”だったか!
ここでようやく気が付いた。“感無し”とは一切の霊力や霊感を持たない者を指す。
そういった者は霊気を全く扱えず、術の才も一切持たない。
その代わり、霊魂を見ることもなければ、気によって害をなす呪術や悪霊の陰ノ気に苛まれることもない。
森羅万象に働き掛ける術に関しては、風や水が直接打ち付ければその限りではないが、幻術は相手の六感に霊気をもって働き掛ける術であり、霊力などの守りがある者や、その逆の“感無し”には通用しない。
つまるところ、このヒサギ少年にはミズメの幻術が見えていなかったわけである。
幻術が霊的に無抵抗に相手にしみ込んだミズメは己の技を信じ切っていた。
無防備に背を見せ、かがみこんだ相手を打ちのめすのは容易い。
先程の踏み込みの浅い突きは手のひらで防いでもこの痛み。
このままでは……。
「そこまでです」
ふわり慣れ親しんだ霊気が漂う。
顔を上げれば身体を仰け反らせたまま静止したヒサギ少年。
彼はこちらに向かって棒を突き立てようとしていた。
その棒を両手で抑えるは相棒の巫女。彼女の身体からは確かな霊力も感じた。
「ヒサギさんの勝ちですよ」
棒を掴むオトリの腕が震えているように見えた。
「ぼ、僕は……」
少年が棒から手を離す。その両腕は力無く垂れられた。
「降参。まさかあたしが負けちゃうなんてね」
オトリが止めなければ、恐らくは“串刺し”だったであろう。
観客たちは「やっぱりヒサギは強い」と口々に言いながら解散していった。
「やっぱり負けちまったか。でも、今までの奴は最初の一発でぶちのめされて終わりだった。身のこなしも幻術も見事だったし、あんたが強いのは間違いないよ」
ヒサギの組手相手の男が言った。
「でしょ?」
ミズメは笑ってみせる。
「ヒサギを止めた巫女さんも大した胆力だよ。ふたりなら調伏の旅をしてるってのもうなずける。蜈蚣の野郎をぶちのめしてくれるの、期待してるぜ」
男はそう言うとヒサギを見た。
「ほんとはおまえも行ければ良いんだけどな」
少年は逃げるように目を逸らした。力比べの時とはまるで別人である。
「来たらいいじゃんか。それだけの腕っぷしがあれば、あんな蜈蚣の十匹やニ十匹。ちぎっては投げちぎっては投げってできるでしょ?」
「駄目駄目。こいつは根性無しなんだから。物ノ怪や食事用の獣が相手でもいざ殺すとなると足が萎えちまうんだ。唯一、力が入るのは、爺さんを馬鹿にされた時だけさ」
「ごめんなさい。乱暴なこと、苦手なんです」
少年の整った横顔が伏し目になる。
「せっかく俺が稽古をつけてやってるんだ。もう少ししっかりしてくれよ。おまえはここに来てから水汲みと天蓋張りしか役に立ってない。皆の役に立ちたいと言ったのはおまえなんだぞ。おまえさえしっかりしてれば……。いや、それは言い過ぎだな。とにかく、折角授かった天賦の才だ。善行をしろとは言わないが、身内のためくらいには使えるようになるんだぞ」
男はヒサギの背を叩くと、腰をさすりながら立ち去って行った。
「あの……山伏さん、巫女さん。本当に、申し訳ありませんでした!」
ヒサギは頭を下げた。
「止めてくれなかったら、僕はミズメさんを殺していたかもしれません」
「やっぱり……」
オトリが呟く。
「気にしない気にしない。武士は負けて死んでも当たり前! あたしのほうが勝負を挑んで負けたんだ。謝ることなんてないよ」
「でも……」
少年がしおれる。
「あんたが謝らなくていいことまで潔くするってんなら、あたしも謝らなきゃね。ヒサギ、あんたのことを玉無しだなんて言って悪かったね」
「それは、本当のことだし……。僕は、お爺様のことになると頭に血が昇ってしまうんです。できれば、お爺様を悪く言ったことのほうを謝って欲しいです」
「本気で悪く言ったんじゃないよ。あんたがやる気を出すかと思ってだね……」
ミズメは頬を掻く。
「ミズメさん。ちゃんと謝ってあげてください」
「……えーっと」
やはり腹が立つ。快活で老人嫌いのミズメ。敗北よりもこの謝罪が気に入らない。
「私が止めなかったらどうなってたことか!」
「本当に、ごめんなさい!」
「ヒサギさんが謝ることはありません!」
オトリは仲裁をだしにミズメに謝らせようとしたようであったが、かえってヒサギが頭を下げた。
「分かった分かった。あたしが悪かったよ」
「その、僕……お爺様に拾われて大事にして貰ってるから。本当に……ごめんなさい」
「爺さんを馬鹿にしてごめん。あたしも、お師匠様のことを言われたら腹が立つだろうし……」
少々自分と被るか。謝罪を口に出せば不快感は照れくささへと転じた。
「……水目桜月鳥。あたしの名前は水目桜月鳥だ。気安くミズメって呼んで」
照れ隠し、隠せていないか頬が熱い。それでも歯を見せ自己紹介をする。
「私は乙鳥です。乙女の乙に、空を飛ぶ鳥と書いて乙鳥」
巫女も微笑みかけた。
「僕は、ヒサギです。えっと……ごめんなさい。そろそろ水汲みに行かなきゃ。本当にごめんなさい!」
少年はそう言うと背を向けて駆けて行ってしまった。
「ごめんごめんってさ。やっぱりなよなよしいなあ。あれだけの腕前があるなら、男の世界じゃ子分を作ってふんぞり返っても許されるんだけどな」
「私は強いからって威張り散らすのよりは、全然良いと思います」
「なんにでも限度があるよ。あれだけの怪力と武術の勘があるんだ。蜈蚣騒ぎだって、あいつが解決できたかもしれないよ」
「確かに人助けに使えたら素敵な力だとは思いますけど。私も彼の気持ちがよく分かるんです。自分の力が扱いきれなくて、誰かを傷付けてしまうんじゃないかって……」
「でも、オトリはその力であたしを助けたし、ヒサギに殺させなかった……でしょ?」
ミズメが笑い掛ければ、オトリは赤くなって押し黙った。
「……ってことで、あたしがもののふのなんたるかを語って教えてやろう!」
ミズメは少年の背を追って走り出そうとした。
「お待ちなさい」
衣の襟が掴まれる。
「なんでだよ? これも善行でしょ」
「駄目です。暴力が嫌いなかたに無理強いはいけません。それに、ミズメさんはひとのことよりも、ご自分のことがありますよね?」
「なんかあったっけ? もう三歩以上歩いたしなあ」
「ヒサギさんはお爺様のことを悪く言われて嫌な気分になったはずです。謝罪の数も釣り合いません。それを踏まえて、彼のお爺様に御用聞きに行きましょう。ミズメさんの老人嫌いを矯正するためにも!」
ミズメはなんとか逃れようとするも、押し付け巫女の手はがっちりつかんで離さない。こちらの馬鹿力も厄介である。
――負けた上にじじばばの手伝いかよ。まったくついてないよ。嫌な汗も掻いたし、ますますひとっ風呂浴びたくなったんだけどな。
とはいえ、相方に命を助けらたミズメは、溜め息と共に返事をするほかになかったのであった。
*****
直垂……この時代の平民の普段着。上下が分かれており、下は括袴で上は着物。動きやすいよう足元は紐で絞ってあり、着物の袖は大きすぎない。後世には武家の身分の者も普段着として活用した。
力士……相撲取り。この時代は専門職ではなく、本業を別に持つ者が兼業していた。その都合上、練習よりも天賦の才が重視さて、興行を管理していた国がスカウトをしていたという。




