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化かし125 日本

「熱い……星が近付いてるんだわ」

 相方が額に汗を浮かべる。


「オトリは結界に籠ってなよ」

 無論、ミズメ自身も日に焼けるような痛みを感じている。


「あんなの、結界でも守り切れませんし、内側から術を向けたり、声を届けたりしづらくなっちゃいますよ」

「しっかし、でっかいのう。おいのきんたま何個分くらいじゃろうか……」

 ダンザブロウが唸った。

 彼は諦めずに何度も音術の球体を空へと撃ち出し続けている。

 同様に、地上から空へとさかしまに降る術の雨もやまない。


「無駄だと知りながらも諦めぬか……」

 ツクヨミが呟いた。


「後悔してきたんじゃないの? あんたの言う通りの(ホロ)びたほうがいいような世界の連中なら、とっくに諦めてるでしょ?」

「……」

 問うも返事は無し。



「あらあら、こちらの神様も仕方のないひとですね」



 女の声。はて、聞き覚えがあるが……。



「伯母様!」

 オトリが声を上げる。


 現れたのは霧の里の巫女頭鸛鶴(コウヅル)である。

 彼女は黒い巨大な(カラス)に跨っていた。よく見れば、その鴉には脚が三本ある。


「助けに来てくれたんですか?」

「勿論」

 コウヅルはにっこりと微笑んだ。


「でも、コウヅル様が来たところで……」

 巫女頭とはいえ、単純な霊気においては一度目の帰郷時のオトリとそう変わらない。


「まあ、ご挨拶ですね。ちゃんと役に立つかたを連れて来ましたよ」

 コウヅルの身体に何かの気配が重なった。柔和な表情が引き締まり、彼女は滞空を続ける黒鳥の背で立ち上がった。


――へえ、これは夢に見なかったね。

 ミズメの想定外の協力者。


 “コウヅル”は星に向かって両袖をかざす。



 玉響(タマユラ)、星のほうから颶風(グフウ)が吹き下ろした。



 あまりの風圧に翼が役に立たずとなった。

 相方の羽衣も散らされ、ふたりはあわや落下というところで互いに手を取り合い、身を寄せてなんとかこらえた。


 死を目前とした乱気流の世界だというのに、あたりはゆるやかな神の気配一色に染まり、ミズメは相方の故郷で体験したまほろばの時を思い出した。


「助けに来てくれたってよ」

「うん……」

 オトリは袖で顔を拭っていた。


「星が落ちれば里も日ノ本もあったものじゃありませんから」

 “コウヅル”は憮然として言った。

「素直じゃないなあ」

 ミズメは苦笑する。


「あれは、老人の一生ほどの周期で空を駆ける箒星の欠片です。燃えているように見えますが、実際のところは中身のほとんどは水と氷なんですよ」

 両手をかざした“コウヅル”が言う。


「まさか、ミナカミ様だけで止められたり?」

「ほんの少し遅くすることくらいはできます。本当はオトリほどの器で神和(カンナギ)を完璧に慣らしていれば、衝突させずにゆっくりと地上へ下ろすことくらいはできたと思うんですけど……」

 “コウヅル”は、ちらとこちらを見た。

 オトリは、つんとそっぽを向いた。


「オトリにはまだ役目があるからね。貸してあげないよ」

 得意げに言ってやる。当の相方はミズメの衣を強く掴むことで返事とした。


「うちの巫女なんですけど……。まあ、平気ですよ。お手伝いに来たのは私だけではありませんから」

 水の神が溜め息ひとつ。



「うむ。久々に打って出たが、相手に不足はないようだな」

 別の女の声がした。それと同時に、虚脱と静観の月から苦悶の声が漏れるのを聞く。



「……愚弟よ。気は晴れたか?」

 問うは見目麗しきおんなの口元。睨むは美男と益荒男(マスラオ)を併せたかのごとくの瞳。

 月神と同じく、翼がなくとも当たり前のように宙に浮くひとの姿。

 ここにおわすは日ノ本が最高神にして太陽の巫女の天照大神(アマテラスオオミカミ)

 彼女の今度の装いは、以前みせた大日如来や、本来の絢爛な巫女衣装とも違い、衣を端折って縛り、髪を美豆良(ミズラ)に結っている。

 加えて、右手には見事な業物の(ホコ)が握られていた。まるでいくさに出掛ける古代の男児のごとくか。


「天照様、これを!」

 ミズメは懐から八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)を取り出すと、彼女に向かって投げた。


「うむ、噛み砕いてくれよう」

 アマテラスは返事をすると手を差し出した。



 ……が、勾玉は彼女の手に当たり、そのまま地上へと落ちて行った。



「うむ……!」

「うむ、じゃないよ! 落ちちゃったじゃん!」

「まあ、誰か拾うであろう。あの勾玉は今や抜け殻だからな。大した意味はない。そんなことより、我の鉾捌きを見せなくてはな」

 アマテラスは両腕で鉾を持ち上げ、天を睨む。


 鉾が白熱し、神の腕もろとも大炎上を起こす。炉のごとき火勢であるが、神の衣装を一切焦がさず、不思議とこちらが感じる熱気も春の日差し程度であった。


「すごい神気……。やっぱり最初の星落としで結界が壊れちゃったのかしら」

 オトリが言った。

「結界は確かに少々揺らいだが、我が都から遊び歩けるほどではなかった。これは陰陽師どもの仕業だ」

「陰陽師のかたがたが?」

蘆屋道満(アシヤノドウマン)と各地に散るその一派が都の陰陽師どもと結託して結界を解除したのだ。全く、都合のいい時だけ神に頼りおってからに……」


 男装の麗人、太陽の女神は僅かに微笑む。


「まあよい。我が太陽に惚れたのが運の尽き……系外の星神(ホシガミ)には粉々になってもらおうぞ!」


 神は鉾を星へと投げた。

 炎が尾を引き、鳶の(イナナ)きを奏で、逆さまの流星のごとく天へと突き進んでゆく。

 玉響(タマユラ)の間に燃える氷の心臓へと吸い込まれてゆく。



 またも天から爆音と空気の圧。



「あー……」

 アマテラスが間の抜けた声を上げた。



「あの、天照様?」

 訊ねるのはコウヅルの身体を借りたミナカミ。


「ずれた。久々だったからな。あとはひとの力でなんとかしてみせい」



 御神は宣われると、その姿と気配を瞬く間にお消しになった。



「……失敗しちゃったの?」

 流石の天狗も冷や汗たらり。

 彼女はこれまで、己の夢と勘を信じ大きく構えていたが、太陽神や水の大神の予想外の介入により、夢と違うできごとや結末の予感を強めていた。


「最悪だわ……」

 声を震わせるのはミナカミ。


 空より迫る破滅は、太陽神の芯を外した一撃にてその一部を破砕していた。

 巨大な本体に加え、無数の破片。落下が緩慢になっていたせいか、それは炎を失い、鈍い色をした氷のかたまりへと変じていた。


「細かなものまでは気が回らない! 燃え尽きずに地上に落ちてしまう!」

 神の宣言。崩れた破片は神威からそれ、本来の速度を取り戻しつつあった。


「おーーい! みんな! 星が砕けた! 小さな破片を頼むよーーっ!」

 ミズメは地上へ呼び掛ける。


 それはすぐさま聞き入れられ、術が破片群へと向かった。


「糞っ、当たらねえ!」

 先行して声玉を放ったダンザブロウが唸る。

「どうもさっきから力が有り余る感じがする」

「結界が解けたからですね。地上のかたがたの霊力も上がってるはずだけど……」

 オトリは不安げに下を見た。


 彼女の心配は的中、昇る術は火力こそは上昇していたものの、勢い余って明後日の空へと消え、殆どが破片群を討たなかった。


 そして、ミナカミの手から離れたそれらは勢いを増し、近づくにつれてその岩山よりも大きな姿を明らかにした。


「うへえ、ただの破片かと思ったらどれもでっかいなあ……」

「感じたことのない気配だわ……。香香背男(カガセオ)じゃないけど、天照様は“星神”っておっしゃってた……あの星にも神のようなものが……」

 ミナカミの声が震えた。

「よその世界の神様ってこと?」

「こんなものの()を地上に落としたらいけない!」

 神の警告。まほろばの気配は揺らぎ、邪気をも孕んだ神気へと変じる。

 器のコウヅルの瞳は黄金色の猫目となり、額からは二本の角を生やしていた。


 星が不気味な音を立てて天へと押し返され始める。

 しかしそれも刹那の間であり、大地が引き寄せるのではなく、星自身が降りたがるかのように落下速度を上げ始めた。


 地上からの術群が軌道を修正、多くの破片を粉砕する。


 しかし、いくつかの撃ち逃しは軌道を狂わせ、もろに地上へと降り注いだ。



「そっちは駄目!!!」



 叫んだのはオトリ。彼女は南方……自身の生まれ故郷のある方角に手を伸ばしていた。



 世界が光った。



 出鱈目な風巻(シマキ)が駆け巡り、全ての音を奪い去り、空と地上に渦巻く陰陽様々な気をごちゃまぜにした。



「大丈夫ですよ。里には“あのかた”がいますから」

 ミナカミは穏やかに言った。


 紀伊の方角、連なる山々全てを覆う巨大な光の天蓋が悠々と佇む。


「勝手様の結界……」

 オトリは胸を撫で下ろした。


「ほかの破片はどうなったの……ってなんだありゃ!?」

 ミズメは声を上げた。



 地上を見れば、とてつもなく大きな“誰か”が氷のかたまりを抱きとめていた。



「あれは、山?」

 オトリも首を傾げる。


 その“誰か”は人のかたちを成してはいたが、肌は泥色で背には木々を生やしていた。

 まるで山そのものが立ち上がったかのような怪物。



「あの女どもめ……」

 ツクヨミがまたも歯噛みする。


 彼の月鏡に映し出されているのは、一頭の牝牛にまたがる小さな泥巫女の姿であった。


『あらぁ、お月様に見られてるわよぉ』

 牝牛がまどろっこしい人語を発する。

『見てなさる? あっこにオトリさんとミズメさんもおられるんですか?』

 泥巫女が手を振る。

『山の神様たちと協力して造った“でえだらぼっち”です! 国津の神様がたも黙っちゃいにゃーですよ!』

『わしもおるぞ! 稲霊たちも手伝っておる』

 スズメの背中から狐耳の娘が覗く。

「スズメちゃんに“けえね”ちゃん!」

 オトリは嬉々として月鏡に手を振った。


「それ、向こうには見えてないけどね」

 ミズメが注釈を入れると相方は頬を染めて袖を下ろした。


「結界が消えたせいか地上に神様の気配が増えてきたね。人も神様も、ツクヨミさんの行いには反対だってさ」

「異界の気配が混ざり込めば、イザナギ様たちの國創りも思うようにいかないかもしれませんよ」

 ミナカミも警告する。


「……」

 しかし、ツクヨミは答えず。こちらを邪魔することもなく、地上を一瞥し、それから空をただ見上げた。


「ま、いいさ。残った星もどうにかして砕いてやるから見てなよ」


「どうやら他の破片もなんとかできたみたいじゃなあ」

 こちらの大狸も自身よりも大きな氷塊を抱えている。

「ふんっ!!」

 掛け声一発。氷は投げ上げられた。

 玉響の間に彼のきんたまがしぼみ失せ、代わりにこぶしが膨れ上がる。

 “たま”の質量を集めた打撃が異界の氷を粉砕した。


「良い感じになってきたね」

 鏡で地上を見れば“でえだらぼっち”だけでなく、龍やいびつな手足をした黒い巨人や、何かの神か巨大な赤ん坊、蟹だの蛸だの鯛だのの海産物の精霊、巨大な蜈蚣の姿も見えた。

 まだまだほかにも大勢。まだ見ぬ稜威(イツ)なる者も集って、砕けた氷が光り輝く中で一様に空を見上げていた。


――こりゃ、日ノ本総出のお祭りだね。

 ミズメは鏡を眺め気分良く笑う。どれ、ちょっとこの図を眺めて一杯やってから……。


「あの、私……というかそろそろコウヅルのほうが限界です。何か手があるのなら早い目にお願いしますね」

 ミナカミが言う。器となっている女性は人の身へ戻り、額に血管や汗を浮かべ、苦悶の表情である。

 星が近付き、周囲はまたも黄昏のごとき赤へと染まりつつあった。


「ミズメさん、何か手はあるんですか? 私にも役目があるって言っていましたけど」

「ある。お師匠様から教わった風水をやろう」

「風水を? 確かに大地の精霊の力も借りられれば心強いですけど、あれだけじゃ足りないような……」

 相方がいつものように首を傾げた。


「オトリはさ、日ノ本がどういう形をしてるか知ってる?」

「知りませんよ! 大き過ぎて分かりません」


「日ノ本ってね、なんだか龍みたいな形をしてるんだよ」

「もしかして……」

 相方は目を丸くした。

「日ノ本全部の龍脈を借りる。(ケツ)はこの巨大な黄泉路。それを繋ぐのはあたしたちだ」


 風水は見立てる尺度を変えることが可能である。

 部屋や小屋における道具の配置、村や都での家々の配置、山川と人里の配置……国や島などの規模でも然り。


 水目桜月鳥は知っていた。


 遥か昔の退屈しのぎ旅や、ツクヨミに身体を奪われ神喰いの放浪を行ったさいに、日ノ本のどこに山脈が()し、川が流れ、湖が揺蕩(タユタ)うかを。


 己の翼の限界を験し、空高く昇った時に、この世界が平らでないことも知っている。

 そして、日ノ本が龍のような形を取り、それを抱くように、更に巨大な龍が居ることも。

 日ノ本を龍とし、大龍の陸たちを()と見立て、それをも抱き込む海を(スイ)と成す。

 夜黒(ヤグロ)き力を吸い上げるものの、地の底まで繋がる窪みはすなわち陰穴(インケツ)

 黄泉からの陰ノ気と共に大地の陽ノ気を同時に引き出せるであろう。


「でも、あたしだけじゃこの世界とは繋がれない。巫女のオトリの力が必要だ。オトリなら、あたしのことも大地の精霊のこともよく分かってる。それに、今なら鬼たちの気持ちも分かるでしょ?」

「黄泉の力も借りるってことですか? で、できるかな……」

 不安げな相方。


「やろうよ。一緒にさ」

「はいっ!」

 気楽に笑い掛ければ笑顔が返る。


「……みんな一旦手を止めて聞いて。あたしが今から風水術で、全員の気を高めるから、合図をしたら一斉攻撃だ。あれを壊したら、みんなでお祭りでもやろう」

 地上からの攻撃が止む。


 ミズメは深く息をつく。



――お師匠様。あたし、やるよ。



 ミズメは口を大きく開けると、手をもってゆき“何かを摘まみだす仕草”をした。



「ミズメさん!」

 相方が慌てて腕を伸ばす……が引っ込められる。


「……そっか、これは神様たちのぶん」


 ミズメはツクヨミからかすめ取った多くの神々の魂を引っ張り出した。

 青白くうつくしいそれは霧へ変じ、日ノ本へと溶け込んでいった。



「いざ!」

 振り上げられるは天狗の団扇。広げられるは陰陽の翼。赤星見上げしは“ひと”の黒き瞳。



「……それ清陽(セイヨウ)は天となり五行(アラワ)し、濁陰(ダクイン)は地となり八方定めし、万物に妙用をいたす」


 産まれてすぐは冬だった。生き(ギタナ)き邪仙との昏き過去。我が師にして母、銀嶺聖母との出逢い。


「願わくば花咲き、鳥(サエズ)り、風そよぎ、月を満ち欠かんことを」


 長きに渡った平和と怠惰に重ね続けた三百年近くの春眠。


青春、(セイシュン)朱夏、(シュカ)素秋、(ソシュウ)玄冬、(ゲンドウ)


 欠けたもうひとりとの出逢い、娘として遊び、男として遊び、共に旅を愉しみ、ひとを救い、復讐を果たした暑き日々。


「われらが“ひと”たる魂をもって実りを日ノ本に招かん。精霊どもよ、急々に律令のごとくに応えよ!」


 そして歩み続ける明日(アス)への道。



 水目桜月鳥は、その全てを越え笑う。



 震旦(シンタン)より渡った一羽の白き鴻鵠(コウコク)

 その鳥が撒いた種が芽吹き、天狗が風を吹かせ、燕が雨を運び育んだ。

 次第にそれは一本の大きな樹となり、枝々を伸ばし無数の葉と花をつける。


「日ノ本の精霊たちよ、私をしるべに!」

 巫女が願った。


 訪れる結実。


 大地より引きずり出された巨大ないのち。

 龍のごとくのたうち暴れるそれは全ての生きようとするものへと力を与え、迫り来るおわりを打ち砕いた。



 全てとの繋がりの中、ミズメは多くの気持ちに触れた。


 安心、高揚、友情、愛情。それから希望の芽生え。


 そして、不安、高慢、敵対、憎悪。有り余る力が誘う欲の数々。


「矢張り、ひととは愚かなものだ」

 月讀命の嘆き。


 しかし、彼の鏡が映していたのは、どこか別の場所の様子……。


 宮中か。みやびやかなる人々が居並び、儀式を見つめる。

 典儀(テンギ)を務めるのは年齢不詳の陰陽師。かたわらに若き坊主の姿。それから化粧のゆき過ぎた貴人。

 彼らは一様に両手を握り合わせ、祈っていた。


 身を捧ぐのはふたりの若者。かたや黄櫨染(コウロゼン)の衣をまといし君主、かたやあでやかなる巫女装束に身を包みし斎院。


 ふたりが(タナゴコロ)を天へと掲げれば、宙に光り輝く乳白色の勾玉が現れた。



 優しき月の輝きが鏡の内外から全てを包み込んだ。



 そして太陽が戻り、真夏の日差しが降り注ぎ始めた。



「や、やった! やりましたよ、ミズメさん!」

 宙にて飛び跳ねようとするオトリ。気を乱したか、羽衣が解け掛かって体勢を崩す。



 ……ミズメは、そのまぬけな姿を見上げていた。



 赤きいのちが玉になり、胸から零れ出ているのも見える。



 胸を穿ったのは卑しき仙気。

 そういえば、あの糞爺の棒に穿たれたこともあった。

 怨み果たして久しく割り切っていたつもりでいたが、矢張り、ひとはそう簡単にゆかぬものよ。


 ミズメは心の中で運命(サダメ)に哄笑し、血と羽を散らしながら大地へと落ちて行った。


*****

美豆良(ミズラ)……耳の横で髪を折り束ねた髪型。古代の男神を描いたものや男の埴輪などに見られる、古代の成人男子の髪型。

典儀(テンギ)……平安時代の祭事を司った職。

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