赤パン先輩。
いつ本読んでるんですか?
時折聞かれます。
読んでいるときは読んでいるし、読めないときは全然読めないんだけど(第一話における私のかつての仕事拘束時間をご確認ください)、現状毎年発行される「このライトノベルがすごい!」でいうと上位20作品の半数以上は読んでいるくらいの読書量です。ちなみにいま激推ししているのは「筐底のエルピス」です。ランクインしてましたね! 当然ですけどね!(我が事のように喜んで胸を張ってすいません。全然無関係です)
読書量といえば、かつて社会人になって再会した大学時代の同級生は「一日一冊読んでいる」と言っていました。学生時代から健康セクシーでギャル寄りのギャルで、薄暗い存在の私なんか眼中ねえだろうな……と思いきや、グループ行動をするときに「ねえねえ。私前からまひさん(私です)変わってて良いなと思ってて超好きだったんだ。同じグループになってやったーって感じ。今すごく楽しい」と明るく言われて私の方が「やだ……好き……」となってしまった相手です。
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彼女のことで、とてもよく覚えているエピソードがあります。
私の所属していた学科は縦の繋がりが深く、大学二年生以降二年以上大学院生も含めての合宿などがたびたび行われていました。(被験者を多く集めなきゃいけない研究内容が多く、互いを被験者にすることもあるので、「あの実験、結果どうなった?」という会話から交流も生まれます。というか合宿自体が研究発表を兼ねています)
当時、三年生から四年生にあがるところだった春休みの合宿で、私は下の学年の男子と大喧嘩をやらかしました。
宴もたけなわ、人の気配もややひけはじめた大広間、風呂上りの浴衣姿で、
「人とひとは話せばわかり合えるんです。まひさんにはどうしてそれがわからないんですか?」
と後輩男子に滔々と言われて、
「私とあなた、現に今まったくわかりあえてませんよね。どうして自説が成り立ってるって思ってるのか不思議なんですけど」
もはや周りが羽交い絞めして止めに入るまで私は理詰めで話し続け相手を思いっきり泣かせました。
下の学年の、主に女子の間では「何あのやばい女……」と遠巻きにされるレベルです。
一方、一部の男子には熱狂的にウケたそうで、以降「この間休んでいた授業のノートあるんですが」とか「先日芋羊羹食べたいって聞こえたいんですけど、いま持ってるんです」と話しかけられることも増えました。しかし年下男子の魅力が一切わからなかった私は「なんで授業出て無かったことを把握されているんだ……。なんで舟和の芋羊羹が私を探して現れるんだ……」と不気味に思うだけでした。
そんな、私が陰惨な泥仕合をしていた間、件の彼女はといえば。
浴衣姿で周囲の酔っ払いとかけっこの競争をしてぶっちぎりで勝ちまくり、「赤パン先輩」の異名をほしいままにしていました。
赤いパンツだったそうです。
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赤パン先輩はその後就職活動がうまくいかず「酪農する」と言って北海道に去りました。
住み込みの仕事で月12万円、2万円は生活費としておさめ、周辺に遊ぶところがないので月10万円は貯金。ある程度貯めてから就職活動を再開する、とのことでした。
私が東京で再会したときは、同年代でも給料もらってる方だなって感じのOLさんになってました。
仕事は営業。書類を説明するときに綺麗に見えるからとネイルは欠かさず。営業成績の数字を気にすると死にたくなるからと常に平常心を保つ努力をしていて、「本は一日一冊」ビジネス書でも自己啓発本でも小説でもとにかく読んでいる、と。
今でも私の憧れの人です。
私もブクマの数字とか気にしないで生きようと思います。
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さて完全に脱線した今回ですが、一応伏線回収するとすれば「私は全然年下が好きじゃない」です。
私の小説の作品傾向を見てもよくわかりますよね? 年下キャラいる?
ところで夫になった人は結構年下でした。
スレイヤーズを読んでいたときの年代にズレがある時点で気付くべきでしたが、お互いに「お……?」という空気があったので「あ、私〇〇歳です」とわりと早めに言った記憶があります。
本屋で話し始めて、絵師100人展に行き夫(となる人)が「イラストを見ればどのラノベのイラストレーターさんかだいたいわかります」と妙な特技を発揮していた頃には「結婚するでしょ」って思っていたので、齟齬はなるべくなくしておこうと……
なお、夫の年齢を聞いた私は「そんなに若いの!?(その見た目で!?)」とは言いましたが、
夫は「そんなに歳いってんの!?(その見た目で!?)」とは言わなかったのでセーフです。
見た目ってアテにならないですね。
さて今回はこのへんで。
水瀬さくら様リクエスト回。