一夜目7
「……助かった……ありがとよ……ユウイチ……」
「へっ……なぁに……」
オレ達はへばって床に尻をついていた。
息が荒い。
目の前には腹を裂かれ、脚をもがれた蜘蛛。
未だ小刻みに震えているが、もう反撃の出来る状態じゃ無い。
蜘蛛に被せられた様な仮面を見ると傷一つついていなかった。何度か鉈が当たっていたはずだが……
「ユウイチ、蜘蛛の仮面取ってみな」
「え?」
「やるよ。お前が来なけりゃオレは殺られていた」
「あ、あぁ……じゃあ」
よっこらしょ、と掛け声と共に起き上がったユウイチが、蜘蛛の仮面を剥ぎ獲る。
「あ!?」
仮面はユウイチの手の中でふっ、と消えた。
『本田あさみ』の時は崩れて粉になった。が、今のは……
「あ!おい、見ろよ」
ユウイチのペンダントの数字が0から1に変わっていた。
「なんだよ、あんな苦労して1点?5点くらいくれたって良さそうなのによ」
まぁ、確かに。
しかし……こんな化け物がいるのか。てっきり人間同士で争うのかと。
……人間同士?
「お、おいあんた、タクジ?」
オレは立ち上がると蜘蛛に襲われていた男の許に向かう。
男は絶命していた。
男のペンダントには『2』の数字。
コイツ、誰かの仮面を2つ手に入れていたのか……
いや、蜘蛛みたいなヤツも他にいるだろうし、人間を襲ったのかは判らないが。
屈み込み、男の仮面に手を掛ける。
簡単に外れたそれはオレの手の中で消えた。
途端、オレのペンダントの数字が変わった。
そこには『3』と表示されている。
「な?なんでだよ?蜘蛛が1点でコイツが3点?おかしいだろ」
「ちょっと待てユウイチ、考えるから」
不平を洩らすユウイチを黙らせ、この数字の意味を考える。
なぜだ?
『仮面は一つ1点』
ルールにはそうあった。だから蜘蛛は1点。これは解る。
男のペンダントを見ると『0』に変わっている。
「どうやら、コイツが手に入れていた点も加算されるらしいな」
そう考えると、蜘蛛みたいな……動物なんかは旨味が少ない。こいつらは獲物を狩っても仮面を集めたりはしないだろう。だから1点から変わらないのだ。
オレはユウイチにそう話した。
「じゃあ、点数を稼ぐには……」
「人間を襲った方が効率はいい、って事になるな」
いくら夢だって随分な話だ。
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