徹夜
寮の自室に戻り、買い込んだコンビニ袋をテーブルに投げ出す。
コンビニ袋の中身はコーヒーやガム、煙草など眠気覚ましのアイテム。
自分のPCを開き、掲示板を覗く。
図書館で書き込みしたのは、こちらの位置を特定させない為。あの女に居場所を知られる訳にはいかない。
掲示板にはオレの書き込みに対して馬鹿にするもの、煽り文章を書くものが多い。
だが、その中に『了解』とだけ書き込んでいる者が何人かいた。
(ユウイチとユミ、読んだか?)
『了解』した中に二人がいるかは解らない。おそらくいてくれる、と思う。
ユウイチは怒っているかもしれないな。睡眠導入剤の話をした後だ、今頃『寝れねぇのかよ!』とでも言っているんじゃないか?
深夜を回り、テレビが終わる。
雑誌を読みながら、コーヒーを飲み潰す。
ガムを噛み続け、顎が痛くなる。
慣れない煙草を吸い、紫煙が目にしみる。
ストレッチをして時間を潰し、テレビが始まるのを待った。
二人は、皆は起きているだろうか……
やがて、窓に朝日が、空が紫から蒼に変わるのを見た。
烏が騒ぎながら飛ぶ。
オレは時計を見た。
平日ならいつも起きる時間。それを少し過ぎている。
(終わった)
こちらの思惑通りなら、『夢蠱』は終わっている時間だ。
掲示板を覗く。
『完徹』
『お疲れ様』
『なんとか寝なかった』
『目がつらい』
『もう寝る』
『これで大丈夫なのか?』
『おやすみ』
『徹夜した』
どうやら、結構な数が徹夜してくれたらしい。
返信をしようと指がキーボードに触れる。
(あ……いかん)
今ここで打ち込んでは、何の為に図書館を利用したかわからない。
オレはPCを閉じ、布団に潜り込んだ。
「……やってくれたわね!?」
何も無い空間。
オレの前にはあの女。
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