四夜目7
「案外、当たっているのかもな」
「魔法がか?ゲームじゃあるまいし……ってゲームみたいなもんだけどよ」
「でもユウイチさん?科学で同じ夢を視せる様な機械って、あると思いますか?」
「そりゃあ……」
無理だろう。
科学万能とか、寝言を信じるには出来無い事が多過ぎる。同じ夢を、それなりの人数に同時に視せるなんて科学技術があるとは思えない。
今夜の残り時間は10分を切った。
「目が覚めたら、少し調べてみる。何か解ったら夕方までに連絡する」
明日は土曜日。会社が休みだ。
「れ、連絡ったって、どうやって?電話番号でも教えりゃいいのか?」
オレはユウイチに首を振った。
「いや、匿名掲示板に書き込むから、チェックしてみてくれ」
オレはそう言うと扉を開いて通路の様子を確かめた。
あの女、『主催者』はオレ達にもう他の者と接触させない気だ。
おそらく、この部屋へ至る道は壁でも作ってシャットアウトしている事だろう。
当然、蟲だの獣だのを今すぐ用意出来るはずも無い。
つまり、今だけはどこにいても安全、という訳だ。
オレの前には昨夜の男、その残骸がうっすらと通路の床に積もっている。
オレはかがみ込み、粉の山からペーパーナイフを摘まんだ。
部屋にはめぼしいものが無かった。このペーパーナイフには助けられたからな。
オレはポケットにペーパーナイフをしまい、部屋に戻る。
「明日は多分、あの女がオレ達に人間以外のヤツを送り込むだろう。二人とも気を付けてくれ」
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目覚ましは無いものの、習慣で目が覚める。
いや、カウンターが【00】になったからか……
今頃ユウイチやユミは寝不足で二度寝をしているかもしれない。
オレは起き出すと、着替えて寮を出た。
(図書館でも行ってみるか)
今時図書館で調べものというのもどうかとは思うが、自室でネット検索をするにも何から手を着けていいのか見当が付かない。
何か取っ掛かりがあれば、そこから検索をかければいいだろう。
本棚に並ぶ背表紙を眺めながら一歩づつ進む。
魔法。
ゲーム関係のものは違うだろう。次。
魔術。
古代の宗教儀式。
中世の魔女狩り。
拷問史。
陰陽道。
夢占い。
……
……
……呪い。
(呪い……か、近いかもしれない)
オレは呪いに関する本を手に取り、ページをめくってみた。
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