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ムコ  作者: CGF
24/29

四夜目5


壁から離れ、椅子に腰掛ける。



「なぁ、これってルールが変更されたって事なのか?」


「どうだろうな。オレ達に当てはまらなくなったのは確かだが……」


「……他の人は今のルール、変更されてないかもしれないんですか?」


「あぁ。オレ達の目には見えなくなっただけなのかもな」





『協力すると不快感が累積』


気が付いていない者ならまだ有効だろう。


この夢の主催者は、何故かは解らないが殺し合いをさせたがっている。不快感が積み重なれば殺意にまで発展するのを、オレ達は実際に見ている。



ユウイチがカウンターを見ながら言った。



「あと30分くらいか……考えてみれば最初はアレにもビビッたよな?制限時間かと思ったから」


「制限時間じゃ無いんですか?」


「あぁ。ユミちゃん、アレは目が覚めるまでの時間なんだよ」



ユウイチの説明に、ユミはそれでも慎重に口を開く。



「でも、ああして減っていくのを見ていると……なんか焦りますね」



確かに。


覚醒夢を視続ける事による寝不足感。


協力する事で累積される不快感。


更にカウンターの減りを見せられる焦燥感……か。



「この夢の主催者は、なんともいい性格をしているな」


「まったくだぜ。殺し合いをさせてるのも案外自分の手を汚したくないからじゃね?」






「お褒めに与り恐縮ですわ」






オレ達は三人同時に振り向いた。


オレ達以外誰もいなかったはずの部屋。


その奥に足を組んで座る人影……



オレの懐中電灯がその人物を照らす。



「眩しいわね」



女の声がそう言うと、部屋が明かりをおびた。ほんの少しだが。



「ぅ、うぇっ!?」

「ひっ!?」

「な!?」



思わず声が出た。



いつの間にか現れたその女の顔……


仮面を被らないその顔は歪んでいた。




いや、歪み続けていた!




目や鼻、口が異様に大きくなったり点の様に縮んだり……上下左右に顔の上を滑っている。



「き、キモッ!」

「なななにアレ!?」


「……お、お前が、主催者……?」



オレの問いを聞き、ぐちゃぐちゃに動く顔のパーツが、それでも微笑んだ様に見える。



「主催者……主催者ね、そういう呼び方でもいいわ」



長い黒髪を軽く掻き上げて、組んだ足を替える。



(スカしてやがる)



最初のショックから抜けると、女のわざとらしい仕草が鼻についた。







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