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ムコ  作者: CGF
21/29

四夜目2



「そこの部屋に入ろう。少し話がしたい」



オレは二人を促して近くの部屋に入った。


他の部屋同様、カウンターとルールが壁に薄ぼんやりと光っている。


その壁をユウイチは蹴りつけた。



「くそっ!なんだよ、10点じゃ足りないってのかよ!いくつ取れってんだ!」


「騒ぐなよ、誰か来るかもしれないだろ」



部屋に入る意味ってものを考えてほしいものだ。


置いてある椅子の一つに腰をおろす。二人が落ち着くまで待った。



「話……ってなんですか?お二人は協力し合っているみたいですが」



ユミが切り出す。



「ユミ、オレ達と組むかどうかは取り敢えず脇に置いて……君はいつからこの夢を?」


「昨日から」



昨夜が最初か。


初日から掲示板で情報を得ようとしたとは驚きだ。



「そうか……オレ達は四日目だ、なるほどな」


「なにが『なるほど』なんだよ?」


「おかしいと思わなかったかユウイチ?仮面を集めろという割に、滅多に出会わないだろ?」


「……あぁ、お陰で全然点が増えない」




「それだよ。この夢を視ている人間は少ないって事さ」



オレは二人の顔を見た。オレが言った事を理解出来ているだろうか?



「一度に『ムコ』の中にいる人数が少ないんだろう。だからなかなか出会わない。そして欠員が出ると補充されるんだ、ユミは……」



オレはユミを見た。



「……ユミは補充されたのさ。二日前の欠員、その穴埋めに」


「それが?理屈は解るけどなんだっていうんだよ」


「ルールだよ。協力するとペナルティー、もし万が一全員が協力関係になったら、この『ムコ』は破綻する」


「あ」



……誰でも気付きそうなものだが、ユウイチはそうじゃなかったらしい。



「じゃ、じゃあ、ペナルティーって……嘘なのか!?」


「……いや、まだ解らん」



ペナルティーが嘘とは思えない。


ルールの、他の部分は嘘じゃない。それに『累積』ってのが引っ掛かる。


点数が減点されるものと思っていたが、ユウイチと組んで四日。


……いったい何が『累積』されているんだ?



「俺達は四日目だけどよ……昨日のアイツ、いったい何日いたんだろうな?」



ユウイチが扉を見た。正確には閉じている扉の向こう、粉の山を見るかの様に。



「結構以前から始まっていたのかもな『ムコ』は」



あの男は、だいぶ切羽詰まっていた。長く居過ぎて精神的に限界だったのかもしれない。








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