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ムコ  作者: CGF
20/29

四夜目1


またあの夢に戻ってきた。



それまでと違うのは部屋では無く通路に立ち、足許にある男の死体を見ている事。


そして、ユウイチだけではなく、もう一人いる事だ。



「……よぅ、タクジ、ソイツ……死んだのか?」



殺したのか?と訊かないだけマシか。



「あぁ……お嬢さん、ちょっといいか?」



オレはへたり込んでいる娘に声をかける。


娘はおずおずとした様子で床から立ち上がった。


シチュエーションは繋がっているが、時間切れのせいで実際には半日過ぎている。オレだけではなくユウイチもこの娘も、そのせいで衝撃が抜け冷静になっていた。



「なんですか?」


「アンタをどうこうする気は無い、今のところ。ただ、掲示板にこの話を書いたか?」


「……少し。だめでしたか?」



娘はオレの言葉に身構えた。



「どうこうする気は無いと言っただろ……そうか、立証されたとみていいのか……?」



ユウイチがオレの言葉に反応した。



「立証?何が?」


「この『ムコ』って夢は……何人もの人間が同時に視ているって事がだ。もっとも、まだ可能性が高くなったってだけだから、確証とは言い切れないんだが」



実はやはりこの娘は実在せずに、夢の登場人物だから都合のいい事を喋っているだけかもしれない。



「現実には私がいないって考えてるワケ?」


「可能性だ。オレやユウイチが実在すると思うか?」



オレがそう言うと娘は黙った。





「さて」



オレは足許の男を仰向けにすると、ペンダントを確かめた。




『9』



……凄いな。


あと1点で10点。




『あと1点で』




男の声を思い出す。


この男は10点で『ムコ』が終了すると知っていたのか?


それとも希望的観測ってやつか?



「お嬢さん、名前は?」


「……ユミ」


「何点だ?ペンダント」


「……『0』よ」



よし。



「ユミ、コイツの仮面を獲ってみてくれ」


「おい!もったいねぇよ、タクジが」


「殺したからオレが獲れって?検証だよ」



オレはこの男の言葉を二人に思い出させた。『あと1点』



「もし本当なら、ユミがコイツの仮面を獲れば丁度10点。抜けられる」


「……いいの?」


「女の子がこんな夢にいつまでも捕まってていいはずがないからな。この機会を逃せば、誰かに殺されるだけだぞ?」



ユミはオレ達を交互に見た後、男の仮面に手を伸ばした。


仮面が外れる。







……残念ながら10点じゃ足りなかった様だ。







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