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ムコ  作者: CGF
16/29

三夜目1


……目覚ましのベルが鳴る。



昨日の目覚めよりも疲れの溜まる頭を振りながら起き上がった。


肉体的には休めたと思うが、寝た気がしない。覚醒夢は脳が半分起きている様なものなのだろう。




(こんなのがいつまで続くんだ?)



結局のところ、昨夜はあれから誰とも逢わず、点数は伸びなかった。




「まだ顔色が悪いな、病院行った方がいい」



課長が渋い顔で言う。


労災なんかになると企業としては面倒なのだ。自宅住まいならともかく、寮暮らしだと体調不良を周囲が見落としやすい。それが仇となって『隠蔽したのでは?』と監査に勘繰られる。



「そうですね……」



昼休み、クリニックに連絡をとり、オレは睡眠導入剤を貰った。



(ひょっとしたら)



コレであの夢を視ないで済むかもしれない。








────────



(くそっ!)



睡眠導入剤は効かなかった。


いや、眠れているのだから効いてはいる。単に覚醒夢が続いているというだけで。



「……おはよう、ってのも変だけど」


「あぁ」



オレ達は時間切れになる前籠った部屋にいた。昨夜の始めと同じ様に隠れたのだ。


夢の中だが目覚めた様なものだから、『おはよう』でもおかしくはないか。



部屋の様子は……



……いや、どうでもいいか。


内装が違ったり広さが違ったりしているが、それだけだ。




今夜もうろつかなければならない。


三日も同じ夢にいると、感情がマヒしてくる。睡眠導入剤のせいでは無いだろう。



「さて、と。出るか」



カウンターが動き始めるのを確認して、オレは立ち上がる。



「またウロウロすんのかよ……正直飽きたぜ」


「じゃあ、ここにいるか?ルールを考えたらこのままずっとこの夢が続くぞ?」



行動を──どんな行動でも──起こすか起こさないかは本人次第だ。


だが、何もしないで毎晩こんな夢を視続けたら……現実の方がおかしくなってしまう。たった二日で既に限界を感じるほどだ。



「くそっ、あんたの言う事は正しいんだろうさタクジ」


「突っ掛かるなよ」


「正直ウンザリだぜ……こんな、夢」



本当はオレにウンザリしてるんだろう?オレもさ。


しかしどんなペナルティーがあるのか判っていない状況、他にいい相棒がいないんだ。我慢するしかない。



オレは面倒臭い相棒を促して部屋を出た。






────────

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