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ムコ  作者: CGF
13/29

二夜目3


しばらく進むと分かれ道に差し掛かった。


右に行くべきか?それとも左か?


オレは左右それぞれの通路を懐中電灯で照らしてみる。が、どちらも同じ様にただ暗いだけだ。



(どうしたものかな)



カウンターが『目が覚めるまでの時間』である事が判った今、何処かの部屋に立て籠り時が過ぎるのを待つという方法もある。


しかしその場合、何らかのペナルティーがあってもおかしくは無い。


もちろん、ルールには書いていないのだから『立て籠り』にペナルティーは無いのかもしれないが、最悪これから先ずっとこの夢をさまようはめになるかもしれない。


ルールには既定の点数を集める事が、終了条件となっている。それ以外の方法でこの夢を終わらせる事が出来無いのだとすれば、毎晩この覚醒夢を視続ける事になるだろう。



昨夜一晩だけでも仕事に支障をきたすほどだ、『立て籠り』作戦なんて採れない。



「タクジ……人の声が聴こえた。あっちだ」



ユウイチが右手の通路を示す。




行くべきか?



行けば……戦う事になるかもしれない。


本田あさみと梶原 悟の顔が思い浮かんだ。


夢で死に、現実でも死んだ二人……



……相手の仮面を剥げば現実の何処かで誰かが。


いや……偶然という事は充分に有り得る。だいたいオレの隣にいるユウイチだって、実在する証拠なんてどこにも無いのだ。


二人の死と、『ムコ』というこの夢に因果関係は証明されていない。



しかし……




「どうする?」


「……行こう」



まずは様子をみる。


もしも組めそうな相手なら組めばいい。ペナルティーの件があるが、今のところ何も感じられない。ペナルティーがどういうものか判明して、それが酷いものなら別れればいいのだ。





オレ達は慎重に足を運んだ。


なるほど人の声が聴こえる……言い争っているのか?


声の調子から男と女の二人。それ以上いるのかは判らない。




少し行くと扉の開いた部屋があった。そこから声は聴こえてくる。




オレはユウイチに人指し指を口にあててみせた。


気付かれない様に部屋の中を覗く。




「だから!なんだって貴方はそうなのよ!?」


「お前が云えた義理か!?ふざけんじゃねぇ!」




……おいおい。


部屋には二人の男女が掴み合いになりそうな剣幕で騒いでいた。



(どういう事だ?)



どうみても今出逢ったとは思えない。お互いに相手の欠点をあげつらっている。


組んでいてこれか?


そんなに気が合わないなら、別れて行動するものじゃないのか?



思わずオレはユウイチと顔を見合わせた。






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