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【外】オトナケイカク
「始めてしまったな。《うつつ》は結局見つからないまま...」
男は呟いた。
悔しそうに手を握りしめて。
「我々の悲願だったのじゃ...。もう、時間がなかった...、《またたき》もわかっておるだろう...?」
車椅子の老人が答える。
彼もまた悔しそうに。
「言うな《むすび》。それはここの全員が痛感していることだ。」
それに青年が答える。
「私の能力が及ばなかったばっかりに...」
女性が悔しそうな声をあげる。
「違います! あなたの、《せんり》の所為ではありません!!」
若い男が悲しそうに言う。
「良いのです《いえ》...。私の、仕事だったのです...。私の...所為です...」
その女性はまだ二十歳頃の若い娘で、その前には水晶玉が置かれている。
《せんり》と呼ばれたその女性はその水晶玉を覗き込む。
「あぁ、どこに居るのですか...《うつつ》...」
《せんり》の声に答えるものは居なかった。