2話 校門の開かないガッコー。
【プロフィール No.1】
夜宮 光明
平凡な高校一年生。
ゲーム大好き。特に【阪本ドラゴンの森】をこよなく愛す。
最近の悩みは身長が伸びなくなってきたこと。
「ぎゃぁーーーー寝坊したァァァァァァァ!!!!」
俺はデジタル表示《8:00》のスマホ片手に、叫びながら自室を飛び出した。
「母さんなんで起こしてくんなかったの!?」
俺はそう言ってリビングのドアを開けた。
しかしそこには誰も居ない。
「あれっ......あ」
思い出した。
昨日、勇の家から帰ってきたら兄貴が出てったこと。
その夜母も帰ってこなかったこと。
この感じからして父も帰ってこなかったんだろう。
「学校...行こっかな...」
俺は制服に着替えて、チャリをとばした。
よく考えたら朝ごはん食ってなかった。
更によく考えたら昨日晩ごはん食ってなかった。
学校に着いたはいいけど、校門前で学生がたむろしてるみたいだ。
その中に哲平の姿を見つけて駆け寄った。
「おっはー哲平。どしたの?」
「おはよー光明君。僕もわかんない。」
わかってた。
哲平はこういうヤツだってわかってはいた。
でももうちょい事情知ってるかと思った。
こーゆーのは勇の方が色々事情知ってんだよな。
「あっ、勇君見っけ」
「えっ」
哲平って以外とヒト見つけるの上手い!?
とにかくでかした哲平!!
「おーい勇ー!」
「あっ光明」
俺の呼び掛けに気付いて勇がこっちに来た。
「おはよー勇。何してんの?」
「はよー光明。校門が開いてないんだと。ってか光明、この時間、フツー遅刻じゃね?」
「えっ、何のことカナー」
「へー校門開いてなかったんだー」
「おい哲平、お前数十分前から居たよな?」
「え? うん。」
............
うん、そういうヤツだよね、哲平って。
「お前、数十分間何も考えずに待ってたのかよ?」
「前の方の人が教えてくれるかなーって」
「お前のそーゆートコ、嫌いじゃないよ...」
3人でワイワイやってると、人だかりが動き始めた。
俺はその中に兄貴を見つけた。
「あれっ兄貴、皆どうしたの?」
俺はあえて両親のことや、兄貴が彼女の家に転がり込んだことについては言わなかった。
「あー光明おはよう。なんか変な感じするな...ハハッ」
すると小動物みたいな女の子が顔を出した。
兄貴の彼女だ。兄貴のクセに可愛い人彼女にしやがって...。なんか悔しい。
「こんにちは~。光明君だよね~? 久しぶり~」
「あっ、お久しぶりです。」
兄貴が不安そうに声を出した。
「なぁ、やっぱり母さん達帰らなかったか?」
「え...、あ、あぁ...」
「コイツの両親も帰らなかったんだよ...」
「も~コイツとか言わないでよぉ~♡」
「あはっ、ごめぇ~ん♡ てへぺろ☆」
あっ、ダメだ。
兄貴、彼女が居るとバカになる...
「で、前で何があったの?」
「あぁ、教師とかも来てないみたいでさ、学校の門も開かなくて皆帰るってさ。俺も帰るわ」
「あっ、帰るって私の家? 私の家に帰るんだ~?」
「あはは~♡ 変な意味じゃないよ~♡」
「変な意味ってなぁ~に~?」
バカップルはほっとこ。
「じゃあまた」
俺は勇達にその事を話し、学校から離れた。
「どーせなら一緒に俺ん家来ねーか?」
という勇の案に乗った。
セカイは、変わってしまった。