13話 二度あることは三度ある。フラグ。
【プロフィール No.12】
大海 智輝
大海家の長男。一人っ子。
いとこの華月とは同い年のためとても仲が良い。華月の兄・風鳥に華月と付いて行く事が多く、見る人によっては三人兄弟かと間違われる事もある。
アイドルグループ『めちゃめちゃ☆ねこねこシスターズ』。
まさか雛さんがそのグループのファンだったなんて...
そもそも、雛さんってクラスメートの黒地さんかもしれない訳で...
とか一人もやもや考えてたら、雛さんと猫美ちゃんが同時に口を開いて、
「「早くその皿洗って」」
あれ?
見るとまだ半分程の皿が汚れたままだった。
「すみません...」
「本当に頼むよ? 夜宮君にはこの後中西君達と合流して畑の方やってもらうつもりだからね?」
「え、畑...」
「夜宮君、力仕事は苦手でしょ? だから耕すとかの重労働は中西君に任せて、夜宮君はその後にする軽い仕事...例えば草むしりとか肥料やりとか、そういうのやってもらおうと...」
「ありがとうございます!!」
俺のために、軽い仕事を選んでくれてたのか...!
ありがたい...!
「で、猫美はとりあえず、さっき華月ちゃんと智君に抜いてもらった雑草とかその辺の落ち葉とかを掃いてちょーだい」
「おっけー」
雛さんの采配は完璧なんじゃないか...?
「じゃあ私は藤太と星乃と一緒に工場から布取ってくるね」
「ほーい」
こ...うば...?
その後、俺が皿を洗っていると、雛さんが藤太君と...あの子、あの...妹ちゃん...ほら、ねぇ...
三人で俺が皿を洗ってる流し台の後ろの四角い建物の中に入っていった。
藤太君の妹ちゃん、誰だっけ?
「君と見た花火は...まるで太陽の光...そっと触れただけで...溶けちゃいそうな...わたがしと...君...♪」
儚げで美しい歌声。
例えとか比喩とかそんなんじゃなくて、本当にそう思った。
バッと振り返ると、そこにはほうきで掃除をしながら歌っている──猫美ちゃん。
「赤いりんごあめに釘付けで...ほっぺが真っ赤...りんごみたい...♪」
猫美ちゃんの表情は悲しげで、歌に感情を込めているというか...何かを思い出している...?
「『一口食べる?』って君が言う...私は...君のただの友達...♪」
ってゆーかナツウタってこんな歌詞だったんだ...
え? 好きな子からはただの友達って思われてて、間接キスとか気にしない関係? なにそれ?
「きっとこの気持ちを伝えたら...来年は一人で花火を見るのかなって...そう思うと...ずるいね私...友達のままでもいいかなって...♪」
いつの間にか猫美ちゃんはほうきをスタンドマイクのように持っていて、歌はとうとうサビになった。
「でも君が恋することを恐れてる...私を忘れてしまうでしょ?...友達は彼女にはなれない...解ってるはずなのに...♪」
俺は皿を洗う事も、それどころかまばたきすら忘れて、猫美ちゃんの歌に聞き入っていた。
「法律も歴史も常識も理論も...正しいって解ってるけど...彼女はなれない...私はきっと...恋愛対象外...♪」
最後は呟くように、猫美ちゃんは歌い終えた。
そしてふと振り返り、俺が見つめていた事に気がついて一気に顔を赤くした。
「ア、アンタさっさと皿を洗いなさいよ!!」
やっべ
やっべやっべ
やっちまったやっちまった
「お、俺は何も見てないからね! ちょっとボーっとしてただけだからね!」
「るっさい!! アンタには仕事をサボったことを後悔させてやる!!」
あれ、途中から猫美ちゃんも掃除してなかった気もするんだけど...
あれれ?
あれ? あれれ?
俺は空を見上げた。
どーも嫌な予感がする。




