【華恋】県内横断とお茶と仲間。
「シロちゃんって思ってた以上にお金持ちだった...」
「そうかしら?」
「うん。」
私・明野華恋は、『ねこシス』のメンバーの安否確認をしてまわっている。
姉さんをあのどぞの馬の骨男と二人きりにするのは不安だけど、メンバーの居住区があちこち離れているから、日によっては外で野宿することもあるだろう。と思っていたら、初日から野宿する羽目になった。
シロちゃんの家が一番近かったためまずそこを目指したのだが、ネットも使えず交通機関も動いていないここでは思ったように動けなかった。
「シロちゃんは一番最初に死ぬと思ってた。」
「ひどくない?」
「だっていつもお嬢様で、一年前の合宿なんか目も当てられない有り様だったじゃないの」
「でも使用人の皆さんが居てくれたので、無人島リゾートに来た気分でエンジョイしてたわ。」
「以外と図太い...」
シロちゃんは、私と同じく『めちゃめちゃ☆ねこねこシスターズ』に所属する女の子。本名・白星麗奈。
で、私の兄弟コンビ《しろくろ》に所属している、芸名・シロ。
もう一人のクロちゃんと一緒に、モデル中心の活動をしている。
ちなみに私は《めちゃねこ!》所属の芸名・あかりん。明野だから、あかりん。赤担当。単純。
「私が思うに、消えたのは21歳以上の人だと思うの。」
「そうなの?」
「だって、残ってる使用人さんの年齢から推測すると...」
「20歳以下が残っている、と...」
「大人の居ない世界...か。」
自分の呟いた言葉が、妙にしっくりきた。
「ねぇ、せっかく来てくれたんだからお茶でも飲んで行ってよ。」
「ってゆーか泊めさせろ。」
「なんて図々しい...!」
「うるせー、暗いし寒いんだよ。」
「野宿したんだっけ?」
「そう...、本当、去年の合宿を思い出すわね。」
「あー...あれねぇ...」
本当に、アレはひどいものだった。
「お茶菓子をいただきながら、思い出話でもする?」
「ご飯食べたい。」
「まぁ! こっちも人数分の食料を集めるのに苦労してるって言うのに...!」
「微塵も思ってないだろ。そう思ってる人間はお茶菓子なんか食わねぇんだよ。」
「あかりん口悪いわよねぇ?」
「うるせー、私の持ってる食料あげるから温かい飯食わせろ。」
「えー? こんなにもらってしまっていいのかしらー?」
「棒読み」
そう言いつつ手を私の差し出した鞄の中に突っ込んでいる様子を見るに、シロちゃんも結構したたかだ。
「今日は苦しくも楽しかったアイドル時代でも振り返りましょ」
「アイドル時代って...」
「ふふふ」
そうして私はメイドの女性から、温かい緑茶を受け取った。
お茶でもしましょって言うから紅茶だと思っていた。
お茶菓子じゃなくてお茶請けじゃない?
そんな話をしているうちに、台所から良い匂いが漂ってきたのだった。




