8話 ナマエの覚え方。
【プロフィール No.7】
山本 星乃
山本家の長女。
お調子者の兄と体の弱い弟に挟まれて育ったためしっかり者。
いざという時は山本兄弟のリーダーとしても活躍。
〔季語シリーズ〕
くろ、ち、だと...?
俺の名前は夜宮光明。
O県立春青高等学校1年生。
ダンス部所属で特技はバク転!
只今絶賛混乱中☆
あ~うん、余計混乱してきた...
雛さんが実はクラスメートの黒地さん...かもしれない...と。
黒地さんって基本的に無口で、俺もあんまり話したことないんだよな...
ちょっとだけ話したことはあるけど...ねぇ?
いつも髪型をポニーテールにしてて、髪の毛を下ろしてるところなんて見たことなかったしな...
それに何より、黒地さんって普段はコンタクトじゃなくて眼鏡だったから、面影ほとんど残ってないし。
普段からコンタクトにしてたら良いのに...
あとついでに言うと、黒地さんの下の名前、読み方ヒナだと思ってた...
ヒヨコって読むんだ...
なんてね、現実逃避しててもね、何も変わらないんですよ。
「で、お姉ちゃんの名前が何な訳?」
「へぁ?」
「何その声」
猫美ちゃんに『何その声キモッ』って顔された。
副音声聞こえた。
絶対今心の中で『キモッ』って言ってた。
「だから、お姉ちゃんのフルネーム確認した目的は? もしかしてストーカーとか?」
「え!? いやいや違うけど!?」
「どーかな。お姉ちゃん基本的によくわかんないもの拾ってくるからね。」
「よくわかんないもの?」
「素性もわかんないよーな男共とかぁ?」
いや、もしかしたら素性を知ってるかもしれません...
「猫美の姉貴!! 掃き掃除終わりやした!!」
「やぁ、たろ...藤太君、早いねぇ。」
「今絶対太郎って言おうとしたでしょ!?」
「いい加減名前覚えなよ。せめて今この場に居る藤太とか、あそこの二人とか...ってその顔は覚えてないな?」
嗚呼、今日も空は青いなあ。
「目をそらさない!! ほら! あの、花壇で雑草抜きしてる二人!!」
ん? あ、雑草抜きしてたんだ。
てっきり遊んでるのかと...
おほん。
「えーっと、確か一番年下で、いとこ同士なんだよね? あの女の子と男の子。」
「そのくらいは覚えてたんだ。当たり。」
「えーっと、女の子の方はお兄ちゃんがいて、男の子の方は一人っ子だったっけ?」
「うんうん当たり。」
名前がね~ 思い出せないんだよね~
「女の子の方が、かず...かず...か...ず...、かずこちゃん?」
「げほっ、ごほごほっ!!」
うん、違うな。
「男の子の方は...えーっと、と...から始まったような...?」
「うん、両方とも出だしは合ってる。」
「あっ、ともき君だ!!」
「正解。叡智の智に、輝くで智輝。」
で、女の子の方は...
「かず、までは合ってるの?」
「つ、に濁点のづ、で言ってたら合ってる。」
うん間違ってた。
「かづ...か...づ...こ?」
「なわけないでしょ、んな昭和にも居なさそうな名前...」
「えーっと、か...つき? かづき...ちゃん?」
「おぉっ! 正解! 華道の華に、お月様の月で華月。」
「へー、和風な名前」
「ちなみに華月のお兄ちゃんは風に鳥って書いて、かとり。」
「風鳥君と華月ちゃんか...」
「余談だけど、二人の両親は二人合わせて花鳥風月ってやりたかったんだけど、字を間違えたんだって。」
「字を間違える...ってそんなことある?」
「叔母さんも叔父さんもちょっと天然が混じってるからね~」
いや仮にも自分の子供でしょ?
「まぁでもこの調子なら明日には全員覚えてるんじゃない?」
「...がんばる。」
「えーでもあと半分くらい居るじゃん! ホントに覚えれるのかなぁ~?」
「俺、頑張るよ、たろ...藤太君。」
「え!? なんでここまで覚えられてないの!?」
嗚呼、今日も空は青いなあ...
あ、うん、ちょっと雲が出てるね。
「何て言うか...覚えにくい。」
「えー... ひどいお兄さんだよ...」
「ごめんって! もう覚えた! た、藤太君!」
「あ、皿洗い終わった~?」
ん? 聞き覚えのある声... この声は...
「聞いてよ雛姉ちゃん!! このお兄さんが俺の名前を全然覚えてくれないんだよ!!」
...黒地さんだ。
【あとがき】
二人合わせて花鳥風月ってやりたかったんだけど、字を間違えたんだって、作者が。
花って字を華にしてしまったのだよ。




