【華乃】妹と彼氏と私。
妹が行ってしまった。
私、明野華乃は、妹が出ていった玄関をじっと見つめている。
妹の名は明野華恋。とあるアイドルグループに所属していて、私の自慢の妹。
華恋の所属するアイドルグループは『めちゃめちゃ☆ねこねこシスターズ』。
若い女子からの人気が上昇中で、7人の女の子で構成されてるの。
その中でも二つのグループに分かれてて、5人で構成してる《めちゃねこ!》って方で活動してるらしい。
通称・あかりん。
「大丈夫。帰ってくるさ。」
彼氏の灯明君が私の肩を抱き寄せてそう言う。
けど...
「ん~? 私は大丈夫だよぉ~?」
弱い私なんて、見せたくない...
「無理しなくていい。かののんが華恋ちゃんのこと、とっても大事にしてるって知ってるから。」
「...うん」
「大丈夫。一緒に待とう。」
「うん」
「あっ、そうだ! 明日は連れていってもらおうか!」
「うん!」
すごいなぁ...
この人には私の不安なんか全部お見通しで、それでその全てを、ありのままの私を、受け入れてくれるんだから...
「私、お母さんとお父さんが帰ってこなくて、すっごく不安で、華恋まで帰ってこなくなったらって怖くて...」
「うん。」
「でもね、灯明君がいたから、灯明君が励ましてくれるから、不安なんか吹っ飛んじゃうね!」
「うん。」
「だから、ありがとう!!」
それから、大好き。
でも恥ずかしいし、灯明君ってばすっぐ調子にのるんだから言ってあげない!
「ありがとう。俺も大好きだよ。」
なのに今日は真面目でエスパーで、私の考えてることなんて本当に全部お見通しなんだね。
だから私も、強くならなくちゃ...
「よぉ~っし! 今日の晩御飯は頑張っちゃうぞぉ~!」
「え?」
「とりあえず池から鯉を釣ろぉ~!」
「ちょっと待って、えっそれは」
「そんでもって猫じゃらしのかき揚げもつくっちゃうぅ~♪」
美味しい晩御飯を用意して華恋を待とう。
それが、今、私にできることだから。
【大人が居なくなった世界...だと!?】
やりますか、やりましょうか。
プロジェクト、開始です!




