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俺も異世界に行きたい。  作者: ペン
4/5

夢から

眠いなあ

女の子が夢の中に出てくる。

それもサークルにいるあの子や高校時代にいいなと思っていたあの子、浪人時代にいいなと思ったあの子。

みんな、現実ではありえないような場面で出会い、会話し、行動を共にする。

一見、それらしく愛らしい表情やドキッとするようなことを言ってくれる。

それなのに僕を現実的にしか扱ってくれない。

どうせ夢なのだから、もっと好意的であったり、優しくてもいいのに、

現実の尾を引きずって、

動きが鈍い。

彼女達だけのせいではない。

僕にも問題があるのだ。

良い雰囲気、良い距離感、良い場面。

現実では到底難しい、そんな状況になるにも関わらず。

現実の情報が僕にブレーキをかけてくるのだ。

どうせ、彼女は僕のことなどなんとも思っていない。

どうせ、彼女は裏では彼氏とよろしくやっている。

どうせ、彼女はどんな男にも同じように接する。

現実というよりも僕の思い込み。

思い込みか本当かもわからないけれど。

ネガティブなイメージは夢の中でも

僕の行動を制限し、

どこかそんな不自由に僕は納得し安心しているのだ。


なんだか不自由な感じがする。

これは思想の話ではない。

どうも重たい。

金縛りにでもあったのか。

生温かくて、よくわからないものが上にのっかているような気がする。

布団ってこんなに重かったけ?

なんとなくめんどくさくてでも

起きないといけないような気がして、

身体を起こした。

何かがベットから『うわあああああ』とか言いながら転がり落ちた。

ドスンッと鈍い音が響く。

昨日の夜もそんな音を聞いたっけ。

まだ寝ぼけた頭で視線を床の落下物に移すと

そこには夜、僕が拾い損ねた少女がいた。

少女は立ち上がって、僕を見て、不満そうな顔をしている。

痛かったんだろうな。

もっと驚いて、騒ぎまわるのがスジなんだと思うけれど、

僕は夢の中で女の子から身を引いた自分の不甲斐なさや

少しでも夢の中にいたあの子への喪失感で

気が変になりそうで、

少しでも温かさを感じた情動もあったのかもしれない。

少女を引きよして、抱きしめていた。

少女は何も言わず抱きしめられていた。





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