四十三話 母と子
満月が空に浮かぶ、深夜の人里。
女が顔を隠しこそこそと歩いていた。女の手には薄布でくるまれた、赤子。
この者が赤子を抱き歩いているのは、捨てるためである。ある道具屋の旦那と浮気をし、子供をこさえてしまったのだ。旦那は子供が出来たことにより、女との縁を切った。
しかし、女は男を諦めきれず相手に縋りつくと、相手は赤子を捨ててきたのなら元の関係に戻ろうと話した。これに女は躊躇しなかった。そもそも子を産んだのは自分が、子供を産めない女なのかと心配したためであり、また生まれた子供には、生まれつき眼球が存在し無かった。
そのため赤子を物の様に捨てる覚悟があっさりと決まった。心の中では、なんてことはない。子供なんてまた産めるモノだし、それに目がない赤子などどう育てていいかわからん。 育てるにあたってもこれからの生活が厳しくなるだろう、と考えており罪の意識は無い。
やがて、人里からすぐに出た所にあるゴミ捨て場にたどり着いた。
そのゴミ捨て場は松の木の下の地面を深く掘ったもので、中には生ごみから、燃えないゴミ、燃えるゴミ、死んだ野生動物、吐しゃ物など様々な汚物が入っていた。
彼女はこの場から漂う異臭に顔をしかめながらも、手に持つ赤子をポイと投げ捨てた。
そして無事捨てられたことに安どのため息を吐いた。その時、女の背後から声が。それに女は驚き振り返ると背後にいたのは椅子に座った知らぬ者。女はその者に自らの行いを見られたかと恐怖した。だが相手は無視し、捨てられた子供に向かって話かける。
「私の名はアズ。捨てられた君に力を授けよう…」
そう告げ光球を手から発し、赤子に与えた。その光景を見た女は恐怖し、急ぎ足で家へと帰った。
光球は赤子に当たり、体の中に入り込んだ。するとゴミが赤子の元へ集まる。
やがて赤子は塵によって、見えなくなってしまった。それを見たアズは笑い、この場から消えた。
―――
人里、診療所にて葉月の退院が決まった。戦いの怪我もあったが、霊力の使い過ぎによって、かなりの疲労をため込んでいて長期の入院となった。葉月はもうベットに横にならなくていいと喜び、それを見たミヅクは無茶はしなさんなと告げた。それに笑顔で答えた。
「大丈夫ですよ。無茶してるのはミヅクさんの方じゃないですか。つい最近、難産に立ち会ったばかりなのに、私の面倒を見て」
「ああ、それは問題無いが…」
「どうかしたんで?」
「いやさ、取り上げた子供に、眼球が無くてな。母親は頑張って育てると言ったが心配でなぁ、もしかす
ると…」
その母親は、ミヅクや看護師たちに偉そうにあたり、周りから見ても外見を気にする者だと分かった。それらを考えてミヅクは嫌な想像をした。この世界では何かを持たない者は良く死ぬし、必要ともされてない。それは赤子にも言える事。
(不遇の赤子育てると言ったが、嘘でごまかせる。母親の心はきっと……)
そう考え、ミヅクはため息を吐いた。そんな彼女の気持ちを察し励ますような言葉を発する葉月。
「きっと大丈夫ですよ。親子なんでしょう?だからきっと…元気に暮らしていけますよ」
「葉月。お前は家族というものに幻想を抱きすぎているよ。そんな考えがすべての親子にあったなら、子に失望せず、子は親に暴力を振るわれていない。……今回の場合は、子が悪いのか、親が悪いのか」
「ミヅクさん…… さすがにそこまでの想像は」
「そうだな、その親子に対して失礼だったな。いかんなぁ年取ると余計な考えが…」
「……ミヅクさんて今いくつなんです?」
「ん、秘密だ」
「さいですか…」
葉月はミヅクに謝辞を述べ診療所を後にした。そして先ほどの話を考える。
(私の家族は、暴力何て振るっていないし、阿藤さんも家族を大切にしていた。暦だって思いすぎるあまりか幻覚まで見た。……アサキシに殺された親子もアサキシも家族を大切にしていた。きっとその親は自身の子に眼球が無くても大切に育て、子も親に感謝するだろう)
彼女はそう考えた。彼女がそんな考えに至るのは、自身の周りの者たちは家族を大事にしていたからであり、親が子を大事にしないなんて、考えたくもなかったから。
そんな風に考えていると、管理所にたどり着いた。管理所の外見は修復されておらず、いたるところが黒づんでいた。彼女は中に入り所長室に足を進めた。
所長室の扉を開けると書類整理をしていた菫が葉月を迎えた。葉月がここに来たのはアズとのやり取りを伝えるため。話を聞いた菫は呆れ、アズに対して愚痴をこぼす。
「そいつさ、もっとこう葉月や私に力を与えてもいいと思うんだがねぇ」
「まったくだ」
「しかし、化け物の出現に気付く事しかできないとは、使えん」
「私に言うな…今のところ大したいした事も無い」
葉月の言葉に彼女はならばいいと答え、時計を見た。時刻は昼。
「もう昼か…葉月、飯でも食いにいかねえか?」
書類をかたずけ、食事に誘う。これに了承する葉月。
「ああいいぞ、行こう」
二人は管理所を出て満腹屋に向かう。その道中、葉月はミヅクとのやり取りを菫に話し尋ねる。
「なあどう思う?」
葉月の言葉に彼女は呆れ、答える
「どうでもいいよ、腹減ってんだ。……だがしいて言えば、希望は薄いな」
「何故だ?……」
「ミヅクの奴が,そう思えるほどの人間だったんだろう?その女は。だからだ」
「そうかな……」
「まあ期待はするな」
そう話しながら歩いていると、何処からか、怒鳴り声が聞こえた。二人はなんだなんだと近づいてみると、声がした所に居たのは罵声を浴びせている女と、浴びせられている男。
「嘘つき!、子供を捨てたら、私を!」
「何を言っている。こんなところで、第一君の様な女は知らない!」
「何ですって!」
口喧嘩はエスカレートし、これ以上放っておけば傷害事件になりかねないと、菫は判断し、二人の間に割り込む。二人は割り込んだ者が管理所の所長だと気づき、それ以上の罵声は発しなかった。
しかし言い争いは続き、とうとう辺りに野次馬が出来てしまった。割り込んだ彼女はどこかでいったん落ち着こうとふたりを無理やり、管理所まで連れて行った。葉月も女の子供を捨てたの一言が気になり、菫に着いていった。
管理所にて、葉月たちは喧嘩していた二人の話を聞いて心底呆れた。そしてミヅクが話していた母親が、今目の前にいる喧嘩していた女だと分かりとても苛立った。
「おい、何で子供を捨てた、しかも赤子何だぞ!」
子供を捨てたことに葉月が責めると相手は声を荒げた。
「何アンタには関係ないでしょ!」
その女の態度に葉月は飛びかかろうとするが、菫に諫めら留まる。女は悪態をつく。
「最悪、椅子に座った女も見るし、クソ男が約束まもらなし、挙句の果てにはこんな子供に怒鳴られる
んて!」
その言葉で彼女は再度飛びかかろうと思ったが、ある事に気がつき女に尋ねた。
「おい、椅子に座った女を見たって言ったな。どこでだ!」
「何よ行き成りさ!」
「いいから答えろ!」
「ヒィ…」
女は葉月の威圧に怯え、子を捨てた時の出来事を話した。話を聞き、葉月たちはアズが何かしたと考えた。女を無理やり引き連れて二人は、ゴミ捨て場に向かった。
―――
「化け物が出たぞーーー」
「!?、クっ!?」
ゴミ捨て場に向かう道中、前方から人々の叫び声が聞こえた。彼女たちは驚き、葉月は頭痛に襲われた。そして理解した。人々が言う化け物はアズが関わるものだと言うことが。
ドンッ!ドンッ!と地響きが聞こえた。そして、化け物は葉月たちの目の前に現れた。
「オギャアアアアアアアアア!」
現れたのは、赤子に似た巨大な化け物であった。巨大な体を構成しているのは、様々なゴミ。悪臭が漂う。体から一部ゴミがこぼれを落ち、辺りを汚していく。
「もしかして!?」
「おそらくは、アズの化け物!」
葉月たちはそう判断して、女たちを後ろ下がらせた。そして化け物を見据え、戦闘態勢に入る。
「エルカード発動!」
<ハート><アサルト>
「装着!」
二人は武装を整え、化け物に向う。化け物は二人に気にも留めず、ある方向を向いていた。それを好機と、とらえ攻撃を加える葉月たち。
「オラッ!!!」
菫は化け物の頭目掛け、フックを射出した。フックは頭に引っかかり、そしてロープを巻き込み、頭へ急接近した。化け物は不快そうに頭を揺らし落とそうとするが、クローを頭に差し込み防いだ。
化け物が叫ぶ。
「ギゃアアアアア」
「ゼアッーーーーーー!」
葉月は化け物の動きを封じるため、手足を斬りかかった。刃は足を切断するも、ゴミが辺りに散らばっただけで、損傷を与えることは出来なかった。それは菫も同じだった。
「こいつ叫ぶだけ、ダメージ喰らって無い!?」
二人は困惑しながらも、攻撃を加えていく、が化け物はそれを無視し、進んでいく。葉月があることに気付いた。化け物が進む方向の先に先ほどの女たちが逃げていた。化け物は叫ぶ。
「お”が””ざ」
「…!」
もしや化け物は捨てた母に会いたいがため人里に現れたのではないかと、化け物の叫びでそう考えた葉月。 相手は現状、人を殺したり、建物を破壊したりした事は行っていない。葉月の脳裏に在る考えが浮かび、菫に向かって叫ぶ。
「菫、この化け物は、母親に会いたいだけだ」
「何言ってんだ!お前!有りえんだろう!」
「しかし、化け物は今のところ人を襲って殺したりしてない。やってみる価値はあるだろう」
「……そうだが、くそ、失敗したらお前のせいだからな!」
「分かっている!」
すぐさま、子を捨てた母親の元へ急ぐ。化け物になったとしても捨てた母に会いたいだけだと彼女は信じた。そして逃げ惑う女を捕まえる。葉月の行動に驚き声を上げる女。
「何よ!さっさとあの化け物を退治してよ!」
「あの化け物はあんたが捨てた子だ!お前に会いたがっている」
「冗談じゃないわ!捨てた子供があんな醜い化け物に」
「うるさい、とにかく来い!」
女を無理やり掴み、化け物のもとへ行く。
この騒ぎを隠れるように見ていた者が居た。
「ふん、アズが化け物にしたのは赤子だと聞いてきてみれば…」
見ていたのは人狼であった。アズが捨て子を化け物にしたと聞いて、自分が元母親だったためか、化け物の行動が気になり見に来たのだ。彼女は化け物を見る。
「……子供を使って化け物にするなんて」
この事によるアズへ不快感を口にした。しかしこれから、世界を滅ぼすため行動していくにつれ、子供や家族は死んでいくだろう…… そう思い人狼は余計な罪悪感を振り払うため、頭を小突く。
元は彼女も家族が居て子供が居た普通の存在なのだ。
葉月は女を化け物の目の前に連れてきた。化け物からは悪臭が漂い、女は顔しかめた。葉月の考えが正しかったのか、化け物は動きを止め、女をじっと見つめ、自身の手を小さくし、女のもとへやった。
「お”が”あ”さ”ん”」
化け物はくすんだ声で、母を呼ぶ。葉月たちはこれで事件は収束すると希望を持った。
しかし、女は差し伸べられた手を叩き、
「お前なんか生むんじゃなかった!お前のせいで私の人生は無茶苦茶だ。これからどう生きていけばい
いんだ。化け物を生んだを女として生きたく無い!さっさっと死ね!死んでしまえ!」
化け物に罵詈雑言を与えた。化け物は体を震わし泣いた。
「アあアアアアアア」
「うるさい!泣くな!おいあんたさっさと退治してくれ!」
彼女は葉月に向かって催促する。女の行動に葉月は激怒した。
「お前なんてことを言うんだ!!仮にもお前の子供だぞ!」
「うるさいよ!あんな化け物しらないね!私は母親なんかじゃない!」
「貴様ァ!」
女の顔を殴ろうとした時、化け物に異変が起こった。化け物が体を震わし音をたてて崩れてゆくのだ。二人は困惑した。
「なぜ!どうして!?」
「はは…まさか私の死んでくれ、て願いを叶えてくれたのかい」
「そんな…」
女の言葉に葉月は絶句し、化け物は音を立て崩れ辺りにゴミをまき散らした。そのゴミの中心には赤
子の死体があった。
「……」
葉月と菫は、死体のそばによる。目じりには涙の跡があった。体はごみで薄汚れていた。
「なんで…なんで」
震え声で、葉月が菫に問いかけるが、彼女は顔をそむけ、何も言わない。
「おい、本当に死んだんだろうね、その化け物!」
女が遠くから、葉月たちに叫ぶ。その言葉で葉月はキレた。
「貴様ァ自分の子供にィいいい」
「子供を産んだこともない餓鬼が文句をつけるんじゃないわ!」
女は葉月の言葉に言い返す。その時、
「ならば、母親であった私なら文句をつけてもいいよなァ!」
人狼が飛び出し、女の頭部に踵落としを喰らわせた。女は痛みの叫びをあげることもなく、頭部が破壊され、死に至った。辺りに、脳漿がまき散った。葉月達は人狼が現れた事に驚いた。
「お前…なぜここに」
「……今、私の怒りをお前たちにぶつける。エルカード発動」
葉月たちに告げ、エルカードを使用する人狼。
<モンスター> 本人の資質に合った化け物に変身する。
人狼の体に影がまとわりつく。やがて、影は大きくなり巨大な狼へと変貌した。
「さあ、死ね!!!」
狼は葉月たちに向かって駆けた。二人は回避しようとするが、狼の速さについてゆけず葉月は攻撃
を許してしまう。
「グギギイイ」
相手は葉月を横に払い、家屋へと吹き飛ばす。家屋に叩き付けられるも葉月はすぐさま立ち上がり、追撃に備える。
「おい人狼!聞け!怒りをぶつけるのは私の方だ!」
葉月は狼に向かい斬りかかる。狼は回避しようするも体がうまく動かず、驚く。
「なにぃい!?」
「悪いなァ!」
菫がフックワイヤーを狼に巻き付け動きを封じていた。狼が葉月に攻撃した時に狙ったものだ。それが葉月の攻撃を助けた。
「ゼアッーーーーー!!」
隙をねらい巨大になった目玉に刀を突きさす。狼は激痛で苦悶の声を上げた。
「グオおおおおッ」
「クソ!」
しかし狼はすぐさま葉月を振り落とし、それ以上の攻撃は許さなかった。そして自身に巻き付いているワイヤーを勢いよく引き寄せ、菫をかみ砕こうとする。これに心底焦った菫。
「やべえ!!装着解除!」
菫は装着解除した。これによりパワードスーツの装備品であるワイヤーは消え去り、彼女は狼のもとへ引き寄せられなかった。しかし引き寄せられた勢いであらぬ方向へ飛んで行く。
場には狼と葉月が残った 葉月は再び斬りかかる。相手はそれを手で振り払う。
だがそれを、彼女は札をばら撒き結界の足場を構築して避けた。そして構築された足場の上で、狼に向けて刃を向けた。
狼の周りにはたくさんの結界の足場が出来てた。巨大な狼が結界に触れず、避けることは出来ない。故に何らかの行動に支障が出来ると彼女は考えた。
「これで私を封じ込めたつもりかァ!」
「何ッ!」
だが狼は結界があることを無視し、突撃してきた。結界によるダメージは勿論喰らうが、意に介していない。相手の予想外の行動に葉月は面食らい、同時に攻撃も喰らった。
「ガはッ」
しかし葉月もただ攻撃を喰らっただけでは無い。喰らう瞬間、狼に突き刺さる様に刀を構え直した。
これにより狼が突撃したことで、頭に刀が深く突き刺さり、接近することが出来た。
「グおオオオオオオ」
狼は葉月と刀を振りほどこうとする。葉月も振り落とされぬ様に踏ん張る。
―――
一方そのころ、吹き飛ばされた菫は狼の元へは戻らず、小鉄のもとへ行った。
「おい小鉄!私が言っていたので来たか!」
菫の叫びに奥から、憔悴した小鉄が出てくる。手にはブレスレットが握られていた。それに驚く菫。
「どうした!?」
「いえ、強化に力を注ぎまくって、こうなりました…」
「そうか。で、スーツの強化は出来たのかッ?」
「強化することにはできましたが、逆に不安定になりました。使えば命の危険が……」
「命などどうだっていい!出来たのなら貸せ!」
菫はそれを取り、再び人狼の元へ向かう。
―――
狼は葉月を振り落とそうと、暴れまわっている。そのおかげで、近くにあった家屋に被害が及んだ。
葉月もこれをどうにかせねば、周りの被害が増えるばかりだと分かってはいたが、今のところ狼に致命
的な一撃を与えることが出来ずにいた。その時である。狼の目前に菫が現れた。
「葉月もういい!どいてろ!」
「しかし!」
「私が終わらせる。大装着!」
言葉を発するとパワードスーツが菫に装備されていく。やがて現れたのは、全身真紅の装甲を纏った
戦士だった。
葉月は見たこともないスーツに目を丸くし、そして危険なものだとも分かり、狼から飛んで離れた。相手は菫に敵意を向け排除しようと向かう。相手の攻撃に対し淡々と言葉を発しる菫。
「ハイパーマキシマム」
〔ハイパーマキシマム〕
音声入力したことで、全身の装甲が赤く輝き、突撃する狼の攻撃を片手で受け止めた。
「何だと!??」
狼は自身の攻撃が受け止められたことに、驚愕した。菫は相手を逃がさぬ様掴み、拳を構える。
「ハイパーマキシマム・パンチ」
その言葉で腕の光がより輝いた。そして相手目掛け拳を放つ。
「ギゃアアアアア」
相手は塵へと変わりながら、叫び声を上げ吹っ飛び、怪物の狼の姿から元の人の姿に戻った。
菫のスーツは強化されたことで能力が飛躍的に向上し、スーツの特殊能力である発光部分に触れたら爆破が変わり、発光部分に触れたら、塵へに。故に相手を圧倒することが出来た。
しかし使用代償は重く、菫の生命力を奪った。
「グギャウウウウ」
人狼は全身から血が溢れながらも、何とか立ち上がり、葉月と菫を睨みこの場から去った。
その時、菫のスーツから音声が流れた。
〔使用時間終了。武装解除〕
装甲は解除され、菫が現れた。現れた菫は口、鼻、耳 眼から出血しており、何も言わず倒れた。
「おい!?菫!?」
葉月はすぐさま、菫を抱え、診療所に向かった。
―――
翌日の人里
通りには化け物の体になったゴミが散乱し、辺りに悪臭を漂わせていた。人々は怪物に対し悪態つき、
人々は赤子に対し生まれなきゃ良かったと口にした。化け物のもとになった赤子の死体は墓地に埋葬された。
清潔な診療所では菫が横になっていた。ミヅクは大装着すると命が危ないと菫に忠告する。
適当に相づちを菫。
「へーき、へーき」
「ちゃんと聞いてね……」
菫が死ななかったことに葉月は安堵し診療所を後に。
家に帰る道中、人里で親子が仲睦まじく歩いていた。それを見て、母に捨てられて化け物になった赤子が頭に浮かんだ
「…………」
葉月はあの赤子はどうしてああなれなかったのだろうと心を痛め、赤子が埋葬された墓地に花を添えることにした。




