四十二話 破滅の作成
菫が戦っていた同時刻、診療所にて、葉月は謎の頭痛に襲われていた。
しばらくたつと頭痛は収まった。彼女は突如、自分に襲った頭痛に困惑しながらも、容器から水をコップに入れ飲みほす。この行動は自身の心の安定を図るためのもの。
もう一度と、容器から水を入れようとした時、辺りが真っ暗になった。
「!?」
突如の暗闇に困惑し、もしや死期が来てしまったのではないかと、恐怖する葉月。しかしそうではなかった。
背後から聞いたことがある声がし、振り返るとそこにはアズが椅子にゆったりと座っていた。アズに驚き、構えをとる葉月。
「アハハハ」
アズはそれを見ておかしくなり笑った。そんな相手に何の用だと、食って掛かる葉月。
彼女は葉月に与えた能力の説明をし忘れていた、そのことを今思い出し伝えに来たと話す。
「えーおほん、葉月先ほど頭痛に襲われただろう?」
「そうだ、何故知っている?」
「それは破滅の前兆を伝えてくれるものだ。先ほど、人里に私に組する化け物が現れた、その時に頭痛が始まった。そして菫によって退治され収まった。要は頭痛で滅びの代行者の出現が解ると言うことだ」
「それだけか、与えた力は」
「そうさ、じゃあ伝えたし、帰るね」
「待て!」
葉月はアズを捕まえようとしたが、瞬間移動されてしまい、空振り失敗に終わってしまう。暗闇も消え、彼女は先ほどの病室に立っていた。
―――
夢幻界のどこかの山の麓にてアズと人狼が居た。人狼がアズに呼び出せされたのだ。呼び出された人狼は何故呼ばれたのか分からなかった。
「なんです。行き成り呼び出して?」
「君に話があったんだ。うっかり忘れていた、私は先ほど人里に化け物を出現させた」
「何ですって!?どうやってですか」
説明を求める人狼。人狼が驚いたわけは、人里に化け物を侵入させることは難しく困難であることを知っていたからだ。さらに人狼や化け物の出現したことで管理所の警備が厳しくなったため、そのため彼女は自身の侵入も不可能だと思い、動かなかったのだ。
それをたやすくやったと言うアズに人狼は目を丸くし、相手はそれを見て笑いながら話す。
「捨てられたモノに力を与え、化け物にした。先ほど人里に放った化け物は、テルテル坊主がもとだ。これからも化け物を作っていく、その時は協力してやってくれ」
「わかりました、しかしすごいですね、テルテル坊主を化け物にするなんて」
「ふふん、私の力すごいだろう」
彼女はどや顔を人狼に向けた。
「そして化け物が暴れることで、人々の心が不安定になり、新たな化け物を生み出せるようになる。完璧さ、そもそもゴミを化け物にできるのだから、ストック切れは無いねえ」
そう楽しげに話す。話を聞いた人狼の頭に疑問が浮かんだ。
「それほどの力がおありなら、何故私などに協力を?」
「それは私が与える者で滅ぼす者であるからだ。君の様な今の世界に恨みを持つ者をそのままにしてはならない。チャンスを与えなければならない。故に力を与え、率先し私に力を貸せば臨んだ世界に生まれ変わらせてやる事にした」
「なるほど、貴方の心気遣い、感謝いたします」
その言葉に頭を下げ、謝辞を述べた。アズはうんうんと頷き、それを受け取った。
「人狼、これから頼むよ 滅びのために」
アズの言葉を聞き人狼は笑みを返した。




