第三十四話 飢えと男
安奈が家から離れて、数日がたった。彼女は腹が減れば、雑草や木の皮を食べて過ごしていた。
「お腹すいた……。お肉が食べたい」
そう言って近くにある、木の皮にかじりついた。木の皮を食べ始めての頃は、何度も吐き戻したが今現在は問題なく咀嚼出来るようになった。彼女は木の皮を食べても大丈夫な自身の体に感謝した。
木の皮を食べて、胃に物を入れるが、喰えども食えども飢えは体から消えず、一人でいる不安で彼女の精神は衰弱して彼女の体は家にいた頃よりやせ細ってしまった。
「……肉が食べたいなあ」
そう言って、家族で食べていたシカの肉を思い出していた。
木の皮を少し食べたあと彼女はまたあてもなく歩き続けた。彼女の周りに人は存在せず、自然しかなかった。
「誰かいないかな」
彼女は目の前の木々や草木に嫌になっていた。そんなつぶやきに応じたかのように、彼女の肩を誰かがが知りとつかんだ。
「ひいっ!?」
彼女に驚き肩のほうに振り返る。そこにはクマのような男が安奈の肩をつかんでいた。男の風貌は険しく山賊のような汚れた恰好をしていた。男は安奈に低い声で話しかけた。
「おい、お前は一人か?」
「……うん」
「そうかなら」
そう言って、男は安奈の腹を殴った。
「グハッ!?」
安奈は腹を抑えて、気絶してしまった。男は安奈を肩で背負い自分が住む洞窟へ連れて連れて帰った。
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「痛い……」
安奈が気絶から、目覚めると地面のごつごつした感触に気が付いた。そして自分の身に何が起きたのか思い出して、周りを確認した。
彼女は松明で照らされた洞窟内を見渡す。彼女の横には杏理と同い年くらいのやせ細った少年が座り込んでいた。
安奈は少年は怯えながらここはどこか訪ねた。
「あのここはどこ?」
「ここは山賊の洞窟だよ。君も奴に捕まえられたんだよ」
『山賊』その言葉で、彼女の頭に自分を殴った男の顔が浮かんだ。そして青ざめた。
「そんなどうしよう」
そうつぶやいたその時、洞窟の入口のほうから大男が入ってきた。男は背に謎の肉を携えていた。そして安奈が起きたことを確認すると、安奈の体をなめるように見て彼女に襲い掛かった。男は安奈を暴行するために自分の洞窟に連れて帰ったのだ。
「きゃ!?」
安奈は組み敷かれぬ様に抵抗するが、男の腕力にはかなわなかった。安奈は少年に助けを求め目を向けるが少年は助けず、「僕の変わりが来てよかった」と小さくつぶやいただけであった。
安奈は男に汚された。
時間がたち男は満足したのか、安奈から離れて夕食準備を始めた。そして男を手伝う少年。安奈はただ横になり涙を流していた。少年が安奈に近づき、謎の肉のかけらを置いて話かけた。
「男の言うとおりにしたら、飢え死にだけはしないよ」
「…………」
安奈はその言葉に反応できず、ただ自分の身に降りかかる不幸を呪った。




