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夢幻界 望み叶えるモノ  作者: はぎの
第一部 了、編
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第七話 人と妖怪 前編

 

 夢幻界には人里の他に、妖怪だけが住む『妖怪の里』がある。妖怪の里は人間の生活圏を離れた山奥に存在しており、景観は人里と似ている。人里と違う所は木製のツリーハウスの様な建物が多い所だ。


 その妖怪の里の大して賑わっていない小さな飲み屋にて、カウンター席に座る山伏の服装着こなしている『カラス天狗』の少女が、酒の勢いで愚痴をこぼしていた。少女の姿は若く黒髪で、片方のもみあげを伸ばしていた。


「なぜ、仲間たちは戦わないッ」


 そして酒を飲む。少女が頭にきているのは、この夢幻界が人間主体で動いていることに対して何も行動しない妖怪たちのことであった。

 そもそも少女は今いる人間のやることなすこと、どこか気に入らなかった。


「……そんなことはどうでもいいからさ、風華(ふうか)


「何?」


  店にいる客は一人だけと思っていたために、少女は不意の返答と自分の名を呼ばれたことに驚き、声の方に顔を向ける。


 そこには、部屋の角の目立たないテーブル席に、茶髪で長髪の頭部に二本の角を生やし、赤と黄色の着物を着た長身の『鬼』の女性が酒をつまらなそうに飲んでいた。着物は少し乱れており、肌が見えていた。

 風華は鬼の顔みるや、イラダチが沸き起こった。


「どうでもいいことだと、弱者に好き勝手やらせることもかイバラキ。鬼は弱者が嫌いだろうッ」


 イバラキと呼ばれた鬼は何も言わない。風華は黙っているイバラキを無視し話続ける。


「特にアサキシとかいう奴は我々の存在をなめきっている」


 アサキシは妖怪を弱者として接している。それが許せなかった。その様子を見ながらイバラキは酒飲みながら、「それで何がしたいんだ」と適当に相づちをうつ。イバラキの言葉聞き、にやりと笑みを浮かべた。


「人里襲い、制する。そして妖怪の強さを思いださせる」


 イバラキはそれだけかと聞くと、風華はそうだと返した。イバラキはその言葉でため息をついた。そしていさめるように言葉を発する。


「それは無理だ、第一にそんなことをやったって」


「鬼のあんたが力を貸してくれば仲間ももっと集う」


 しかし、説得の言葉も風華の言葉にさえぎられる。イバラキは再びため息をついて尋ねる。


「ハア…… 仲間いるのか、どれだけ?」


 その問に風華は苦い顔をする。風華の作戦は無謀なものであり、賛同者は一人だけであった。そのため今に至るまで何もできてない。風華は頼む。


「数が少ないかもしれないが、あんたが力を貸しくれれば」


「嫌だね…… 無駄なことだ…… それに怖い」


 鬼は頼みを断った。その言葉に風華は哀しみの目を向けた。


「あんたは鬼だ。強き妖怪だ。かつては人間世界に名を轟かしたほどのあんたが」


  風華は手を強く握りしめ、イバラキを見る。しかしイバラキは目を合わさず、「昔は昔さ、今は逃げた臆病者さ」 そう言い捨てた。その言葉に風華は拳を握りめ、捨て台詞を吐いた。


「わかったよ。あんたの力がなくたって人間なんて弱者。なんとかしてみせるっ!」


 そして金を置き、扉を行き良いよく開けて飛び去って行った。鬼は一人なった。


「人間が弱者か、その人間に負けたからこの世界にきたんだろ……」


 そうつぶやき、イバラキはかつて人間につけられた右腕の傷跡をじっと眺めた。鬼のイバラキはかつて人間界で人間との戦いに負けて、行く当てもなくさまよっていた所、夢幻界に来てしまったのだ。


 ここは夢幻界、行き場をなくしたもの 不要となったものがくる世界。


 ―――<第七話 人と妖怪>


 朝の人里、管理所にて。


 所長室には、了、葉月 菫 アサキシがいた。アサキシに呼ばれ了達は来た。

 菫は寝起きなのか目をパチパチとしている。菫の格好はこの世界では珍しいTシャツにジーンズである。葉月は仕事中呼び出されたため可愛らしい店服のまんまであった。

 了はそんな二人を見て少し可笑しくなり笑った。


「急に呼び出してすまないな葉月。君の力も必要かもしれないんでね。 勤め先からは私が言っておく」


 アサキシの言葉を葉月は、聞き少しほっとした。仕事を抜け出して気が引けたのだろう。


「なあ呼び出したのは仕事か」


 菫は眠気を抑えながらアサキシに話を切り出す。


「そうだ、妖怪の里で一部の妖怪が人里を襲う計画が建てられてる話がここ管理所に来た」


 アサキシの話を聞き、3人は驚いた。アサキシは話を続ける。


「その話を妖怪の里に行き詳しく調べ、真偽を確かめてくれ」


 その話を聞き葉月は怒りの形相になっており。やる気十分だ。菫は面倒そうだ。了はとくになかった。


「やってくれるな」


 アサキシの言葉に葉月は快諾し、了と菫もそれにつられ承諾した。


「では、行ってくれ三人でな」


 その言葉に3人ともげんなりした。


―――


空は快晴


 妖怪の里は人里の北に位置し田畑や林をぬけ、山道を通った山の奥にある。なぜ山なのかは妖怪に対する恐れを守るためである。 


 了はカードの力を使い飛び、菫と葉月はバイクに乗って目的地に向かっている。葉月は初めてバイクに乗り、楽しそうにしていた。菫は呟く。


「妖怪が人里を襲う計画立てるなんてな」


「妖怪の里は一つのまとまりではないしなあ、そういった考えを持つ者もいてもおかしくない」


「了、それはどういうことだ」


 菫の呟きに了が答えると葉月が口を挟む。それを聞いた菫はそんなこともしらんのかと小ばかにした

 葉月はムッとしたが妖怪の里ができたのは、封魔が解散した後であったため、詳しい情報は知らなかった。


「ぬぬぬぬ」


 言葉が出ず困ってる様子を見て、了は助け船をだした。


「妖怪の里は人里と違い複数の団体で構成されている。天狗なら天狗組、妖狐なら狐組といった感じでな」


「その団体から……」


 そう考えたが、菫に否定される。


「いや、全ての団体は今回の出来事にかかわってないらしい、アサキシから管理所に出る前聞いた。それに団体を組んでいる妖怪は人間に比較的に友好的だ」


「襲おうと企む奴らをかばっているだけじゃ」


「かもしれんが、管理所に今回の話を持ってきたのが、全ての団体の使者からだ。そいつらもそんな噂立てられ困っている。ある程度は信用できるだろう」


 了は菫の話を補足した。話を聞いた葉月は考えを口にした。


「つまり、集団に属してない者、あるいは危険思想もっていたため追い出された者か?」


「たぶんな、もしかすると全く知らない世界から来た奴かもしれんしなー」


 3人は考え込んだ。菫はつぶやく。


「まっ行ってみなきゃわからんか」


 それに二人は頷き、道を進む。了はふとあることに気が付いた。


「そういや菫、武器はどうするんだ月の時に壊れたろ?」


 了の疑問に葉月もそう思っていたらしく、不思議そうにしていた。


「新しいパワードスーツを持ってきたから問題ねー」


「パワードスーツ?」


 疑問を浮かべている葉月に、了がお前が月で戦った機械鎧の事だと説明した。


「それはどこにあるんだ?」


 葉月は疑問に思い、問いかける。菫はバイクを停めて腕にしている赤とグレーのブレスレットを見せた。


「これにむかって『装着』といえばスーツが現れ装備されているんだよ、原理は分かんねーけどな」


「パワードスーツはみんな『ブレスレット』なのか?」


 その葉月の疑問に菫は「そう、持つのが楽さ」と言って再びバイクを走らせた。


―――


 しばらくすると三人は山道の入り口に着いた。入り口には朽ちた鳥居と看板があり、内容は≪この先 妖怪 多数 出没≫である。

 調査するにしても妖怪のテリトリーに入るのだ、命の危険がある。


 了は立ち止まり、二人に覚悟はいいかと尋ねた。二人は頷き、いざ進もうとしたその時、葉月が呼び止めた。呼び止められた二人は怪訝な顔して彼女の方を向いた。


「菫に了、お前たちに聞きたいことがある。私が戦うのは妖怪が人を傷つけるから 許せないから戦う。お前たちはなぜ戦う」


 葉月の真剣な問いに菫が答える。


「この世界は多くの犠牲で成り立っている。もし世界が荒れることになれば犠牲が無駄となってしまう

そうならない様に私は戦っている」


 菫の思いは本物だった。その言葉に納得し、残る了の方に顔を向け尋ねる。


「了お前は?」


「私は守りたいものは守るのと、困る出来事はなくした方が良い」


「なるほどな」


 了の答えにも葉月は納得して頷く。すると菫が葉月に顔を赤らめて葉月に突っかかる。菫は自分の思いを語り恥ずかしくなったのだ。


「つーかよー恥ずかしいこと聞いてんじゃねーぞ」


 しかし葉月はそれを不愛想にいなす。


「月での出来事があったのでな、人間性を確かめただけだ」


「ぐぬぬぬ、ゆるさん!」


 葉月の言葉に切れる菫。了はそんな彼女を諫めようとする。


「葉月一言多いぞ お前も問題あるだろう」


 葉月に苦言し、何とかしようにも菫はかなり怒っていた。


「バイクから降りろよ。ここから先は別行動だ」


「いざ困っても守らんからな」


 葉月はバイクから降り、山の獣道を歩く。慌てて声をかけ止めようとする了。


「おいどこに行くんだ 道はこっちだ」


 大声で伝え止めようとするが、止まらない葉月。


「こっちの方が妖怪の気配がする」


 そう言って山の中に消えていった。了は仕方ないとため息をつき菫に話しかける。


「まったく、おい菫」


 そう言いながら菫の方を向くとそこには、誰も居なかった。菫も先に行った後だった。

「ええ…… 居ないだと」


 残された了は再びため息をつき、自分も妖怪の里へ向かった。


―――


 了は妖怪の里に着いていた。 里は人里と作りが似ているが辺りを見渡しても人はいない。妖怪だけであった。そして人里と違い、立ち飲み形式の飲み屋やが乱立し、香ばしい匂いを漂わせていた。その飲み屋にはまだ昼にもかかわらず、多くの妖怪が飲んだくれていた。


 飲み屋が売っているもはカエルの串焼きなどのから珍しいものから、普通の鶏肉があったがそれらの質の差があまりにもひどく、人里の料理のレベルより低かった。道には絨毯を地面に敷き半裸で寝ている者もいた。


 そんな場所で了は情報収集を行いはじめた、その間なぜ人間がいるのかと不思議がられたが管理所からと伝えれば情報収集に協力してくれた。


「時間がかかったが大体は把握できた」


 了は菫や葉月を探しながら、得た情報をまとめていた。


 (今回の話は風華という天狗が考えた。理由は人間、弱者と共存したくない、どちらが上かハッキリしなければならないというもの。現在どこに居るのかわからない)


 主犯の風華の居場所が分からないことに悩みながらも、今回の事件の核である天狗少女の風華を考える。


 (性格は好戦的で自分より強い相手でも戦うほど。戦いにおいても自分から先に進み、使い魔を使役しないなど戦いにこだわりがある)


 他の天狗たちに風華のことを尋ねると、みんな気軽に教えてくれた。その事を考えが移る。


 (風化以外の他の天狗は社会的な妖怪で、力を無暗に使わず、強者には頭を下げ戦いを避ける。他の天狗からしたら風華の性格は好ましくない。だから私が管理者の者であるにしても、気軽に教えてくれたのか。 他と考えが違えば、孤立するか)


 考えをまとめて、風華に会わなければならない事がわかった。


「風華とやら探さないとな…… しかし菫が居ないな」


 菫はバイクのためより早くこの場所につくはずだ。そう思い了は不安になり、つぶやいた。


「何かトラブルか」


――――



続きが読みたいや、おもしろいと感じたら、評価やポイントしてもらえると嬉しいです。

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