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夢幻界 望み叶えるモノ  作者: はぎの
第一部 了、編
12/84

第六話月の願い 中編

 二人は開けた場所にたどり着いた。そこにはたき火跡があり、誰かいた痕跡があった。


「おそらく、ここらへんにいるだろう」


 葉月はあたりの茂みや木々を見渡し気配を探る。それを了は見て尋ねた。


「わかるのか?」


「ああ。封魔に居たから妖怪の気配がわかるんだよ…… 近くにいるぞ」


 そう言いながら刀を構え警戒する葉月。葉月の言葉に了もカードを取り出した。


 その時、居ることがばれたと思ったのか茂みの中から、古代中国のドレスを着た兎の耳を生やした、人のような妖怪が叫びながら飛び出してきた。


「先ほどの恨み! 喰らえや(けが)れ人―――」


 戦いが始まった。


 数分後。そこには


「どうか命だけはご容赦を……」



 涙を流し、命乞いをする一人の妖怪がいた。了は何とか落ち着かせ話を聞く。


「お前たちはどこから来た?」


 了の問いかけに相手は口をもごもごさせながら、月からと答えた。その答えに了はため息をつき、葉月は信じず怒り刀を向ける。


「月からだと嘘言うな!!」


「本当ですって……」


「本当だとも!!」

 妖怪は小さい声で答えた。了は情報を聞くため、怒る葉月を鎮めようとする。


「落ち着け葉月。この期において嘘言う奴なんていないだろ。 お前たちは何者でどうして来た?」


「私は月の(みやこ)に住む月兎(つきうさぎ)と呼ばれるもので、ある方の命でここに来た」


「ある方とは誰だ。なぜエルカードを盗んだ。あと(けが)れ人ってなんだ」


 葉月は刀を構え、脅しながら聞く。そのせい月兎はおいおいと泣き出してしまった。


「怖いよ……」


 了が再び、泣き止ませて話を聞く。了は泣き止ませている途中、何をやっているんだろうと謎の感情が浮かんだ。

 泣き止ませた甲斐あってか、月兎は了に対して心を少し開いたのか詳細を話しはじめた。


「名は言えませんがある方がエルカードなる物がこの夢幻界にあるから持ってきてほしいと……」


「なるほど、さきほどの穢れ人とは、いったいどういう意味だ?」


(けが)れ人とは生きる上で殺生をしたり、老いたりする者や罪を受け入れた者の事です」


「しかし生きる上で殺したり老いたりすることは普通ではないか」


 了の言葉にそんな考えだからと月兎が否定する


「それは穢れた地にいる者の言い分。月は穢れてなく心穏やかに暮らせるのよ」


「そういうもんかね。なぜエルカードをほしがった」


「ある方が夢幻界は最も穢れた場所でエルカードがそんな場所にあってはもったいないと……」


「前から夢幻界の事は知ってたのか」


 了の言葉にうなずく月兎。


「『五年前の出来事』で夢幻界の存在は認知していましたが、夢幻界はゴミが集まる世界。最も(けが)れた地で接触してはならないと言われていました。しかしこの(けが)れた地にふさわしくない宝があると知り……」


「それで盗んだのか、お前たち月に住んでるやつらロクでもないな」


 葉月が口を挟む、その言葉に月兎が大きな声で反論する。


「そんなことない、月は清らかなものしかいないぞ!!」


「なのに(けが)れている地には勿体無いという理由だけで盗んだ。やっていることは蛮族(バンゾク)だな。輝夜姫もそりゃ戻りたくないと言うものだな」


「何だと!! 輝夜姫さまのことは言うな!」


 葉月の言葉に月兎が抗議した。月に住むものとして彼女らにも多少の優越感、プライドがあるからだ


「……輝夜姫の例えは冗談で言ったんだがな。本当に月からか」


 葉月は少し驚いた。幼少のときに聞いた物語の人物の名が出たからだ。そんなやりとりをよそに了は、なぜ、お前は帰らないのかと尋ねた。


「お前はどうして此処にいる? 盗んだ奴と一緒に月に帰ればよかったのに」


「私はこの夢幻界の調査を命じられた。それにさっき変な機械にのった(けが)れ人に、月に帰る装置を無理やり使われて月へ帰るまでの力がたまっていないのだ」


 そう言い光る玉を取り出した。了は月兎が言った変な機械に乗った(けが)れ人について、思い当たる者が居た。


「変な機械に乗った(けが)れ人とは(すみれ)の事かな」


(すみれ)、誰だそれ?」


 葉月は了のつぶやきを聞き、説明を求めた。


「管理所で働いている奴で私と同じくもめ事を解決する仕事をしている。特殊兵器パワードスーツをつかってな。乗っていたのはバイクという乗り物だ」


「パワードスーツにバイク?」


 葉月は(すみれ)が使う機械知らないため、首を傾げる。了は機械でできた鎧と自転車に似た機械と説明した。それを聞いて葉月は納得した。


「そうか。頼もしいな」


 そんな言葉を了は首を振り否定する。


(すみれ)は。常識外の事は嫌いで、夢幻界を荒らす者を絶対に許さない奴だ。荒らした者に対してやり過ぎた罰を与える。ほんとは良い奴だけどな」


 了は友人に対して、少し言い過ぎたかも知れないと思ったが、以前起きた事件を解決する際、必要以上に殴る蹴るなどの手荒な真似を菫は行った。平和を守るため必要以上の暴力を振るう。菫は過激な平和主義者だった。


「そんな人が月の都に……」


 月兎は話を聞き怯える。そんな月兎達に了は何とかすると安心させた。


「だがな、エルカードの事もあるからな、盗んで来いと命じたお方とやらに文句ぐらいは言わせてもらうぜ」


 そして月に連れて行けと月兎に言う。月兎は少し考え月の事を思い、了と葉月を月に送ることにした。

エネルギーの問題は葉月の霊力がエネルギーの代わりになった。二人は月兎から光る玉を受け取り使い方を教わり、起動させた。二人は光に包まれた。


 ――――


 ―――月

 二人は気がつくと四角い壁に囲まれた中華風の古都の大通りにいた。塀や壁は朱と白で美しく彩られていた。道を舗装しているのはコンクリートでは無く大理石。道の脇に木々が生えており、美しい金銀の美しい果物らしきものがなっていた。

 しかしそれだけであった。都は不思議と明るかったが余りにも静かで、住む者の気配が感じられなかった。みやこ静寂(せいじゅく)に包まれていのだ。


 了は本当に月に来たのかと空を見上げる。しかし 空には星々が無かった。ここが月ならば、地球という星や輝く星が見えるハズである。


「ここは本当に月の都なのか?」


そんな疑問が了の脳裏によぎる。そんな量の隣にいる葉月はボーっとしていた。何かあったのかと思い、葉月に声をかける了。


「おい、葉月どうした」


「い、いやなんでもない」


 了の言葉に葉月はハッとした。自分が月にいる事が信じられなかったのだ。夜空に輝くあの月に。了は葉月にどう行動するか話す。


「葉月、とりあえず二手に分かれよう。ここは意外にも広い。1時間経ったらここに戻ろう」


「わかった」


「それにエルカード及び菫を発見したら連れて戻ってくること。いいな」


「ああ」


「じゃ行くか」


二人は都を駆けた。

――――


 葉月は都の壁沿いを走っていた。

 しかしここが月だなんてな。

 走りながら思いを巡らせていた。幼いころから空にあった月、そこにいるのだ。そう考え少し笑みを浮かべた。その時、


「ぎゃああああああ」


 誰かの悲鳴が聞こえた。何事かと思い、声がした方に急いだ。悲鳴がした場所にたどり着くとそこには、月兎らしき者が見たことない近未来的デザインの白色の機械鎧パワードスーツを全身に着た者にいたぶられている場面だった。その近くには自転車に似た機械バイクがあった。


「おい、お前何している!!」


 葉月は臆せず話しかける。パワードスーツを着た者は葉月の方に振き相手をする。


「何だお前、月の者じゃねーな」


 年若い女の声であった。葉月は相手が正体不明の怪物でない事に安心した。


「私は管理所からの命で夢幻のまちから来た、封魔の者だ」


「そーかい遠路はるばるご苦労さん」


 そう言い茶化す。葉月はスーツによって顔が確認できないが一応、菫かどうか確認する。


「お前、もしや(すみれ)か、特殊兵器を使う」


「そうだけど、お前誰よ?」


 菫であることを確認し、今何をしているか尋ねた。葉月は襲われている月兎を見る。

 月兎の口からは大量の血と歯の欠片が出ていた。足には蹴られたあとが青くなって残っている。


「何って、殴ってんだよこいつらきもいし」


「!?」


「だってよ、こいつら月の奴らは私たちの事を最も穢れた地に住まう穢れ人て見下しているんでね。そんな奴らが月にいて、私たちはそれを見ていた何てぞっとするぜ」


 菫は月兎を蹴る。月兎は悲痛の声を漏らす。月兎の顔は恐怖と血と涙が混じっていた。


「しかもこいつから襲いに来たんだぜ穢れ人めーってね。さらにこいつが盗んだ犯人だと言う。殴る蹴る権利はあるね」


 更に月兎を踏みつける。月兎は痛みによって叫ぶ。


「ぎゃあああああああ!!」


「やめろッ!」


 月兎への余りにもやり過ぎた暴行を見て思わず、声をかける。しかし止めようとした葉月に対し、何を言っているんだと言った反応をした。


「止めろだと、封魔は妖怪に恨みある奴だろう? 一緒にこいつを退治しようぜ」


 葉月は封魔と呼ばれ、言葉に詰まる。


「助けて…… 助けて……」


 月兎は葉月を見て何度も懇願する。菫はそれを見て助けるわけないとささやく。


「なあ、どうする?」


「私は……」


 月兎を見る。そして脳裏に了の言葉がよぎる。


 一度くらいは助けたらどうだ。


 葉月の沈黙に菫は苛立ち、威圧的に問いかける。


「どうすんだよ」


「……だけ」

 葉月はか細く答え、菫が再び問いかける。


「なんつった?」

 それに対し葉月は大声で叫び答える。


「一度だけだッ!」


「あ~?」


 葉月の答えに菫は怪訝な顔になる。葉月は月兎に向かい叫ぶ。


「一度だけッ助けてやるッ」


 言葉と共に葉月は菫に上段斬りを仕掛けた。


「クソッ」

 菫は悪態をつき、月兎を放置し後方へジャンプし回避する。刀は当たらず(くう)を裂いた。葉月の行動に菫は怒り声を荒げる。


「何なんだテメェはよ!!」


「うるせーうるせー!!」


 葉月は月兎に向かって逃げろと指示した。月兎は感謝の言葉をかけ、遠くへ逃げた。場には葉月と菫だけになった。菫は話しかける


「なあテメェ、封魔の者なんだろなぜ逃がした」


「わけがある」


「わけね…… フンッ封魔の奴らは哀れでおかしいやつらだからな、それでか」


 菫の挑発的な発言は葉月をイラつかせた。


「だってそうだろ、不確かな妖怪なんて存在と戦っている何て、傍から見たら滑稽だぜ」


「貴様ァ」


「で今は仲良しこよしなんて、可笑しいよな」


「私は違う!妖怪なんて滅べばいい!!」


 力強く否定するが、菫に馬鹿にされるように否定される。


「でも今助けたァ」


「グググ」


 葉月は歯噛みした。菫の挑発は続く。


「封魔は家族などを殺された者たちが、殆どなんだろ。死んだ奴らが報われないよな」


「それ以上言うなッー!!」


 攻撃を仕掛けるも菫はそれを避ける。そして葉月から離れ再び話しかけた。


「お前、妖怪はどんな存在だと考えてるか、もう一度教えてくれよ」


「いらない奴らだッ!!」


 怒りを含め答える。菫は笑い、言葉を発する。


「だったら、いらない奴らに殺された奴は、大したことない存在てことだよなァ」


 葉月はこの言葉で激怒した。


「オオオオオオ」


 雄叫びを上げ、菫に向かい駆ける。それは菫がが想定した速さより上であった。


「クソッ!」


「デャアアアア」


 菫の体を斜め右に斬る。ギャンという音と火花が散った。鎧は切断までいかなかったが大きな斬り傷ができた。パワードスーツが傷つかないと思っていたため菫は驚愕した。

「嘘だろ!?」


「まだだっ!」


 装甲が薄い関節部分を狙い斬ろうとする。その時。


〔オートモード〕


 謎の音声共に菫が葉月の間合いから遠くへ一人でに吹っ飛んだ。菫は急な動きによって発生した衝撃によってダメージを負う。それにより一瞬だけ動きが止まる。


「何だ今のは!?」


 葉月は菫の行動に頭が冷え、警戒しつつ刀を向ける。


「クソックソ」


 菫は内心悪態をつく。


 (本来なら逆上させて隙を作り一撃で終わらせるつもりだったが、考えがあまかったな)


 立ち上がり腕につけてあるタッチパネルを操作する。そして音と共にバイクが菫に向かい自動でやって来た。そしてバイクに設置されているブレードを取り出し、地面を斬りつけ、葉月を見る。


「さっきまでは、気絶程度許してやったが……潰してやる」


 菫は葉月に対して明確な殺意をぶつけた。

(私にはパワードスーツの特殊機能の自動回避機能がある。いくら相手が封魔であろうとな)

 彼女は勝利を確信した。


 葉月は刀を構えつつジリジリと距離を詰める。菫も葉月に向かい歩を進める。やがて両者の間合いに入った。


「チィ!」


 刀を先に振りかざしたのは葉月だ。あまりの速さで菫は対処できない。そう菫は。


〔オートモード〕


 菫の鎧は菫の体を急速に動かし、紙一重で避ける。


「グギャアッ」


 機能によるダメージを受けたが、菫は葉月の隙を作った。そして逃さず葉月にブレードを叩き付けた。パワードスーツもあって人間以上の力が出せる。普通の人間なら一刀両断だ。


続きが読みたいや、おもしろいと感じたら、評価やポイントしてもらえると嬉しいです。

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