第一章⑥ 『短小包茎ふた〇りロリ? そんな恥ずかしい身体の人知らないっ!』
……一体どういうことだ。
下腹部でぴくんぴくんと脈打っているのが、はっきりと感じられる。
全貌こそ見せないものの、ソレが幼女の身体にあってはいけないものであることは、一目瞭然だった。
「でもこれ、俺のじゃねぇよな……」
俺だって、多感な男子高校生。自分のち○こくらい、先っぽだけで見分けられる。
今、目の前にあるソレは、どちらかというとショタに似合うだろう。この姿で年齢だけ見るなら、年相応のサイズだ。
しかし、この場において俺は幼女。
脱いだ直後に、つるつるだったことは確認している。
ま、まぁ、俺もお年頃だし……是非もないよネ!
「てことは俺……男に戻りかけてる……?」
もしかして、夢から覚める兆候なのだろうか。
幼女が少しずつ男子高校生に……悪夢だろそれ。
そういえば、その……オンナノコの方はどうなってるんだろう。
ち○こと引き替えになくなっているのか、それとも……。
俺はごくりと生唾を飲み、泡まみれの股間を睨む。
「……流して、みるか」
意を決して、シャワーに手を伸ばす。
軽く水を出しながら、それを腹部に優しくかけてやると……。
想像通り、大半を皮に包まれたまま上を向くイチモツが、その姿を現した。
「ちっちぇなぁ……」
昔は俺のもこんなモンだったのかと思うと、感慨深いものがある。
い、今ですか? ボ、ボクニホンゴ、ワカラナイネ~。
だが、問題はこの下。
そこにあるものが、袋なのか、割れ目なのかで――ジャンルが大きく変わってくるのだ。
俺は目をつぶって、ゆっくりと立ち上がる。
この角度だと、ちょうど下半身が鏡に映り込んでいることだろう。
ひっひっふー、と呼吸を落ち着かせ、心の準備を整える。
なんかこれ、すっごいやましいことしてる気分だ……。
だ、大丈夫! チラッと一瞬見るだけだから!
そう自分に言い聞かせて、指の隙間からおそるおそる覗く。
キラキラと反射する鏡面の奥、うっすらと開けた視界に勢いよく飛び込んできたのは――
「えっ……?」
――薄く赤みがかった割れ目、のみ。
「あ、あれっ?」
慌てて、自分の下腹部に目を下ろす。
間違いない。ちゃんとある。
しかし、再び鏡を見てみると……
「付いて……ない?」
なにがどうなってるんだ……?
少なくともコレは、たしかに存在している。
触れることだってできたし、今だって本物のごとく元気に脈打ってる。
なのになぜ、ココだけ、鏡に映らない?
「やっぱり、所詮は夢ってことか……」
なんだかんだでここまで違和感がなかったから忘れかけていたが、本来夢なんてのは、辻褄が合わないもんだ。
べ、別に転生とか期待してたわけじゃないですけど? PCのハードディスクも処理してないから、むしろ困るっていうか?
でも、どうせ夢なら、醒める前にもう一度、二人とおしゃべりしたい。
こんなにすごい妄想、次にいつできるか分からないからな。
それに、もっと詳しく覚えておけば、また見れるかもしれない。
あとどのくらい猶予があるか分からないが、そんなに長くはないだろう。急がなければ。
「とりあえず上がろう」
目を閉じて身体に付いた泡を洗い流し、タオルを巻き付けて迅速に大浴場をあとにする。
が、脱衣所に戻り、身体を拭き終わったところで、一旦動きが止まった。
「パンツ、どうしよう……」
そう。今ここにあるのは、女児用の、しかもシオンのパンツのみ。
そして今の俺には、オトコノコが付いている。
……さすがに履くのは、いろいろとマズい!
こ、こうなったらノーパンか!? いや、もっとダメだろ!
シオンが貸してくれたの、短パンのジャージだし、隙間から見えちゃう!
は……履くしかないのか……?
純白の小さな布を前に、俺は息をのむ。
いくら夢と分かってるとはいえ、やはり現実のように感じられてしまうことに違いはない。
もしもこれで、女装に目覚めでもしたら……。
「……へっくしゅん!」
しかし、そんな葛藤を繰り広げているうちに、身体が冷えてくる。
くそっ、そういえばもう時間も残されてないんだった!
あと少しで現実に戻らなきゃいけないってのに、こんなところで――ッ!
「だぁぁ、こうなったらもうヤケクソじゃぁぁ!」
俺は勢いづけて、秘部隠蔽用薄柔布を掴み取り――
もういい! ハマったらそんときはそんときだ!
――グイッ!
「ひゃうんっ!?」
なんか変な声出ちゃったぁぁぁ!?
こ、腰まで一気に持ち上げたせいで、裏が擦れて……。
いそいそと圧迫されたムスコのポジを修正しながら、思う。
せっかくのロリの嬌声なのに、自分で発声したと思うと……複雑だなぁ。
※
その後は特に滞ることもなく、俺は服を着終え、前の服とタオルを持って脱衣所を出る。
ふわっとしたジャージの短パンなので、ぱっと見ではアレが目立つことはないが、歩くときはなんとなくへっぴり腰になっちゃうよね……。
こんなにおっきい風呂がある家に住んでるとは……やっぱりサミュちゃんたちはお金持ちなんだろうか。
あくまで俺の妄想内での話だが……。
「えっと……四階の10号室、だっけ」
たしかシオンには、上がったらそこに来るよう言われてたはずだ。
一体どれだけの部屋がこの建物にはあるんだろう……。
脱衣所のドアの横、階段があるのを見つけたので、それで四階まで登っていく。
エレベーターとかあれば楽なのになぁ……。
「ふぅ……やっと着いたぁ」
小さい身体でなんとか上がった先には、まるでホテルのように、ドアが立ち並ぶ廊下があった。
「8……9……10、ここか」
右に曲がった突き当たりに、『410』と書かれたドアを発見。
ご丁寧に、脇に【サミュ・シオン】と書かれた札まで付いている。
ホテル並みに部屋が多すぎるとか、しかもなんでわざわざ四階なのかとか、疑問はいろいろあるが、細かいことは考えるが負けだろう。夢だからと割り切ろう。
俺は一つ呼吸し、コンコン、と軽くドアをノックする。
「あ、戻ってきたかな!」
と、すぐにサミュちゃんが飛び出してきた。
「おかえり! 早かったね、入って入って!」
「お、おじゃまします」
そのまま腕を引かれて部屋に入る。
壁際には、本棚とタンスに二つのベッドが、真ん中に丸い机が余裕を持って置かれた、至って普通の部屋だ。
調度品の類はあまりないが、片方のベッドには、ぬいぐるみが所狭しと並べられている。
もう片方にシオンが座ってることを見るに、こっちがサミュちゃんかな?
「あ、タオルとかってどうすればいい?」
「えっとね……シオン、この袋でいいよね?」
「ん? あ、あぁ、大丈夫だ」
サミュちゃんが渡してくれた紙袋に、一式を入れる。
「ありがとねシオン、いろいろ貸してもらっちゃって」
「べ、べつにまだ使ってない新品だから、気にするな!」
ちぇっ、新品かよ……。
「……と、とりあえず、適当に座れ」
消え入るような声で言って、布団から降りるシオン。
俺とサミュちゃんも部屋の中央へと進み、三人で円卓を囲む形になった。
「じゃあまずはミミズちゃん!」
「あっ、おい!」
さっそく話を切り出したサミュちゃんを、シオンが裾をつかんで止め、なにか耳打ちする。
「あっ、そうだった! えっと、ごめんねミミズちゃん……」
するとサミュちゃんは、なにか思い出した様子で、俺に物憂げな表情を向けると、
「今からミミズちゃんは、ミミズちゃんじゃなくなっちゃうんだ!」
「……はい?」
え、なに俺改造でもされちゃうの?
それともあれか、夢から覚めるってことか?
「ま、待てサミュ、私から説明するから」
混乱する俺を見るに見かねて、シオンがサミュちゃんを手で制した。
「え、でもシオン、できる?」
「少なくともお前よりはな。ま、まぁ、だいぶ慣れてきたし……うん、大丈夫だ」
ふ~、と一度深呼吸をはさみ、シオンが口を開く。
「お、お前は記憶喪失だから、知らなかったのも仕方がないんだが……」
そう前置きして、
「じ、実は、ミミズっていうのはな、――別の生き物の、名前なんだ」
自分のち〇こくらい、先っぽだけで見分けられる……よね?