プロローグ「勇者の資質」
はじめまして。英国在住の英国紳士です。
今作品が初執筆となります。
色々至らない点、経験不足が露呈する点も多々あると思いますが、
お付き合いください。
本作品はR25やアラサーの人物が主体に活躍していく予定です。
昨今流行りである学生ラブコメや異世界ファンタジー系とは一線を画し、
大人向け(ネタなど)の現実世界の話を軸に執筆していきたいと思います。
勇者とは?
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勇者(ゆうしゃ、ゆうじゃ、ようしゃ)とは、勇気のある者のこと。
しばしば英雄と同一視され、誰もが恐れる困難に立ち向かい偉業を成し遂げた者、
または成し遂げようとしている者に対する敬意を表す呼称として用いられる。
武勇に優れた戦士や、勝敗にかかわらず勇敢に戦った者に対しても用いる。
wikipediaより
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所謂RPGゲームにおける主人公的キャラの役割<ロール>としての呼称である。
現実世界ではほとんど用いられず、「英雄」と言う言葉で表現される場合が多い。
「英雄<ヒーロー>になりたい!」
「お姫様<プリンセス>になりたい!」
そう夢見た少年少女も少なくはないだろう。
「俺、大きくなったら会社の社長さんになるんだ!」
「私、大人になったら○○君のお嫁さんになるの!」
これは死亡フラグでもなんでもない。
幼少時代及び十代前半頃までの特権であり、誰しもが一度は通った道である。
しかしそのような恥ずかしくも微笑ましい小さな願望<ゆめ>は
時の流れと共に忘却の彼方へと追いやられる。
かつて少年だった青年はこう言った。
「あの頃は俺も若かった」
別の青年はこう振り返る。
「実家に帰る度に、家族や親戚連中に小さい頃の話を聞かされからかわれる」
「もう忘れたい」
また、お嫁さん願望を持っていた女性は
「彼とは家が近所でよく学校が終わった後一緒に遊んでたわ。 まあ幼馴染ってやつね。
でも進学の時別の中学校に進んでそれっきり疎遠になったわ」
恋愛シミュレーションでは鉄板であり安牌でもある幼馴染キャラも、
現実と言う世界<ゲーム>では攻略難易度に補正はない。
そうやって少年少女の夢は、青春時代を経て淡い想いへと昇華し、
大人の世界に足を踏み入れると共に黒歴史として記憶の片隅に追いやられていく。
言うなればこれは大人になる為の過程<プロセス>であり、
理想と現実のギャップを肌を持って体感し、
自分の身の丈を文字通り「身をもって」覚えるのである。
人間と言うのは業深き種であり、十の成功よりも一の失敗を深く記憶し、
今後の人生の選択肢に於いて多大な影響を及ぼす。
最も、たった一つの失敗で人生プランが台無しになるケースも多く、
一度失敗と挫折を経験した者が再起を図れない。
社会の仕組みにも問題はあるのだが・・・。
このように生の数だけあった分母<ゆめ>が歳を重ねるごとに或いは失敗を、
または挫折を経験していく事で分子が減り続ける。
そしていつしか新しい行動を起こす、夢を持つことに対し臆病になってしまう人達が増えていく。
現代社会において、これらの人が圧倒的多数派<マジョリティー>であり基盤となって経済を動かしている。
「長いものには巻かれろ」「事なかれ主義」になるのも無理はないだろう。
こうした負の感情が蔓延している社会に毎年新たに夢を持った若人が足を踏み入れて行く。
大きな夢を持ち、穢れ無き翼を持つ雛鳥。
立派な白鳥になろうと現実社会と言う荒波の中を必死にもがき進み。
目の前に立ちはだかる大きな波の前に足が震え歩みを止めてしまう雛鳥。
果敢に立ち向かおうにも周りの鳥たちに足止めされてしまう雛鳥。
金槌を持った大きな鳥たちに打たれてしまう雛鳥。
甘い餌に釣られ味を占めてしまう雛鳥。
気づくと夢見ていた大きな白い翼は少しずつその色が褪せ、くすんだ色へと変貌を遂げる。
一度変色した翼を元に戻す事は並大抵の努力では実らず、深みに嵌る者、現状維持に努める者。
そうやっていつしか飛び立とうとしていた雛鳥達は飛ぶことを恐れ忘れてしまう。
「大きくなったら勇者になりたい」
言葉の意味を理解しているか否かはさておき、こう表現した人は少ないだろうと思う。
でもちょっと考えてみてほしい。
「社会」と言う大きな荒波に船を漕ぎした者たち。 泳ぎだした雛鳥達。
進む事を諦め、輝きを失いかけている先人達が居る海の中を無我夢中に進む様、
停滞している社会<せかい>に風穴を開けんとする姿はまさに
RPG世界で魔王の恐怖に怯える世界に光を照らさんとする勇者のごとく。
「人間誰しも、勇者となる素質を持って生まれている」
そしてその資質が開花する時間も場所も人それぞれである。
少年の頃の夢と想いをいつまでも己の内に忘れさえいなければ・・・。
<<これは少年時代の夢を追い続けた勇者見習い達の物語である>>
最初はどうしても説明や世界観の描写が多くなってしまうのはご愛敬です。