最終話
三日後。
リユンはまたあの地上牢にいた。
「今日の夜。お前は処刑される」
リユンは静かに言った。回りくどいことなんてせず。
「そうか...」
セレーネは落ち着いていた。
それが当たり前だから。
捕らえられたセレーネは民衆の前で見せしめとして処刑される。そんなことは常識だ。
「また、夜来る」
リユンはそれだけ言って立ち去ろうとした。
「待ってくれ」
それをセレーネが止めた。
「笑ってくれ」
「ああ」
リユンは振り返らず答えて去っていった。
***
今日の夜は珍しく国全体が賑やかだった。
中でも国の中心にある広場では、屋台なども出るほどの賑わいだった。
広場の中心に処刑台があり、そこにセレーネとリユンがいた。
夜に処刑すること、自分の手でセレーネを殺すこと、どっちもリユンが決めたことだった。
そして処刑の時刻になった。きっと国中の人々が注目しているのだろう。
セレーネは口を開いた。
「今日は月がきれいだな。」
一瞬で周りがバッシングの嵐になった。
誰一人として意味を理解しているものはいない。
リユンはバッシングを気にせず返した。
見上げると、今日は見事な満月だ。
「そうだな、こんな日ならお前の顔も少しはましに見えるだろうよ」
リユンは笑った。セレーネの最後の願いを叶えるため。
セレーネも笑いながら下を向いた。
「こんな日なら死んでもいい」
セレーネのその言葉を聞いてリユンは剣を振り上げた。
fin
短かったけど、完結しました!
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三隈来夢