第二話
ここまで戦いが長くなると思っていなかたった両国は段々と苦しくなっていた。
そこで段々とルールが決められていった。
まず、一ヶ月に一度、休戦日があること。
その二日間で両軍は、体を休め、母国から物資を受けとる。
今日は休戦日だ。
リユンは腕を上にあげ、背中を伸ばした。
夜風が気持ちいい。
本来総司令官であるリユンが一人で夜出歩くのは許されていない。
だが、度々決まり事で縛られるのが嫌いなリユンは、基地を抜け出してこのように散歩をよくしている。
リユンは橋の近くまで歩いてきた。
橋の上に誰かが立っているのが見えた。
リユンは目がいい。それがセレーネだとすぐにわかった。
見張りもつけず一人でなにをしているんだろう。
この橋の上は両方共有の軍地だ。
いつもは両軍の見張りがついているがモーント軍の方にはそれがいなかった。
そんな絶好のチャンスだが、イリアコ軍の見張りは自分一人ではセレーネに太刀打ち出来ないとわかっているのか睨み付けているだけ。
リユンがさらに橋に近づくと、近づいてきたとわかった見張りは慌てて近寄ってきた。
「なにやってるんですかリユンさん!出歩いちゃダメでしょう?」
「見張り交代してくれない?」
「なに言ってるんですか!あそこにセレーネがいるのが見えるでしょう!?もしものことがあったら....」
「今日は休戦日だ。あいつだってそれくらいわかっているだろう」
「でも...」
休戦日には戦ってはいけないという決まりもある。
「いいか、俺がいたこと言うんじゃないぞ」
なかば強引に見張りの背中を押すと、諦めたように基地に戻っていった。