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満月の夜には  作者: 三隈来夢
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第一話


夜になってシンと静まった川辺をリユンは一人で歩いていた。



昼間はこのあたりで銃弾が飛び交って、何人もの人が死んでいるなんて信じられないくらいだ。



ここはリユンが指揮を執るイリアコ軍の基地。


川を挟むと敵国のモーント軍の基地がある。



この川は幅が広く、渡ることは難しい。



そんな二つの基地を繋げるのは一つの橋のみだ。



扉もなにもなくすぐに渡れてしまうが、普段は戦っているので、あまり関係がない。


しかも川の両端には交代で見張り番がつくので不審な動きをしているとすぐにばれてしまう。




この戦いが始まったのはいつからだろうか。


リユンはこの戦いが始まった頃を思い浮かべていた。ちょうど五年前、この戦いは始まった。


理由はこの川だ。


産業革命があった両国は水資源に悩んだ。



そしてこの川に目を向けたのだ。


リユンは18のときにこの軍の総司令官に任命された。


戦いのときにすべてを指揮し、動かす役目だ。


そんな役目ももう二年が過ぎていた。



敵国であるモーントの総司令官はセレーネという女だ。


戦いの場では異例の女の総司令官。


セレーネは相当頭がよく、人数で負けているモーント軍が今までイリアコ軍に負けていないのはそのセレーネがいるお陰だろう。


リユンはセレーネに敵対心ももちろんあるが、それと同時に尊敬と好意を寄せていた。


総司令官は普段基地で戦況を聞き、次の作戦を伝えるが、たまに自ら戦地におもむき、戦うことがある。


今どのような状況かを自ら体感するためである。


戦っているセレーネは女と思えないほど凛々しく美しい。


リユンは、段々セレーネを目で追うようになっていた。


もちろん敵であるセレーネと結ばれることはあり得ないし許されない。そんなことわかってる。



だからこの叶わない恋は胸のうちにしまってある。


この戦いがいつまで続くかもわからない。


終わる、ということは、どちらかが負けるということ。


どちらかが降参するか、リーダーのセレーネが殺されるか。






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