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黒色の幻視 7
「おはよう」
「おはよう」
翌朝、リビングで顔を合わせた彼女はにこりと微笑んだ。いつも通り。いつも通りに。
「今日は一日ゆっくりするんだっけ?」
「うん」
「そっか」
うなずいて。・・・・・・キッチンへ向こうとした彼女の手をゆるく握った。
「? なあに?」
「あのさ」
「うん」
「夜眠れないなら昼間寝てみよう? もしかしたら眠れるかも。俺、見張っとくから」
「・・・・・・」
「大丈夫、眼に焼き付けるだけで写真は撮らないから」
「・・・・・・なにそれ」
小さく彼女は笑った。・・・・・・今度はやわらかい笑顔だった。
「その時点で大問題だよ・・・・・・」
「眼に焼き付けるだけだよ。それになにもしません」
「当たり前だよ。ともりは・・・・・・」
ふは、と、彼女が微笑う。
「ともりは、馬鹿だなあ・・・・・・」
「・・・・・・うん。そう」
その貌を見てーーー眩しいものを愛おしく見つめて、きゅっと、手の中に残る手を握りしめる。
「そうなんだ」
そうなんだ。
胸がいっぱいになってしまうから。
あなたがいつも、いっぱいにしてしまうから。
〈 黒色の幻視 その時間 〉




