邂逅、あの日の自分。
昔、よく通った道を久しぶりに歩いてみる。
当時は、自転車でよくこの道を走ったものだ。
夏、木から木へと飛び移る最中のソミの体当たりをくらった。
冬、危ないからと自転車を押して歩いてたけど、結局、滑ってころんだ。
あの頃の私は、この道を通るたび何を考えていたのだろう。
何も考えていなかったのだろうか。
ふと、自転車に乗った子が私を追い越した。
その子は昔の私だ。私は、昔の私を呼び止めようとする。
でも、昔の私は行ってしまった。
当時、流行っていた服を着ていた。
一時停止の標識を無視して突っ走っていた。
私は、あの私がこれからどんな人生を生きるか知ってる。
追いかけたほうが良かったのだろうか。
叫んで、無理やり呼び止めたほうが良かったのだろうか。
これからの未来を伝えれば良かったのか。
ふと、後ろから誰かに呼ばれたような気がした。
振り返っても誰もいない。
気のせいだろう。そして、私は、私の道を歩み始めた。
読んでいただき、ありがとうございました。