温泉ミステリー(三百文字お題小説)
お借りしたお題は「温泉ミステリー」です。
同窓会で久しぶりに再会したかつての仲良し三人で温泉に行く事になり、週末を利用して出かけた。
目的地はひなびた温泉街で夏目漱石の小説に出て来そうな雰囲気があった。
宿泊先は「上草津温泉ホテル」という現代的な鉄筋コンクリート造りの真新しい建物。
古びた温泉旅館より現代的なホテルが好みの私はホッとした。
「温泉に入りましょうか」
食事の前に一っ風呂と思い、部屋を出て大浴場がある地下に行った。
「お風呂は『温泉』ではありません」
入口に首を傾げるような看板がかかっていた。
「どういう事ですか? 温泉ホテルでしょ?」
近くにいた仲居さんを捕まえて尋ねると、
「ウチは『温泉ホテル』ですよ」
脱力な答えが返って来た。
という事でした。