奇襲
「ここに魔法使いがいる事は間違いない。それに多分」
私は後ろの扉をチラッとみる。
「こうやって入ってくる人を閉じ込めて殺しているのかも・・か」
オレンがそれに続くように言う。震えた声が私の耳に残る。
「こっちから仕掛けるしかないか」
「へ?何言ってるの!?そんなことできるわけないじゃない・・」
オレンはもはや泣きそうになりながら言った。
魔法使い同士の戦いーー。それは学園でも授業の一環でしたことがある。だがそれはあくまでもスポーツとしてで、このように殺し合いになるかもしれないような戦いはしたことがない。
私は魔力を込め水に変えそれを扉に向かって思いっきりぶつける。
ズゥーン!!!
という音が場でこだまするが扉はピクリともしなかった。
やっぱりダメか・・・。
「オレン!行こう。二人で奇襲かければなんとかなるかもしれない。それに戦う戦わないにしても奥に進まないと話にならないと思うし」
「う・・うん」
まさかこんなことになるとは思わなかった。軽い気持ちだった。しかしこうなったら行くしかない。魔法使いと戦うことになっても私達の魔法も世間では決して低いわけではないだろうし・・。
それに。
一ヶ月後のことを私は考える。これは訓練なんだ。私は自分にそう言い聞かし前に進んだ。
進みながら私は話しかけた。まるで今ある恐怖を打ち壊すかのように。
「オレン。残りのカードの枚数は?」
「今日の授業、休み時間に使ってさっき1枚使ったからあと30枚くらいかな」
「そっか」
オレンの魔法はトランプのカードから魔力を放出することができる。私と違い元々魔力が篭っているカードから魔力を放出することができるので、込めてから発動する私の魔法と違いタメがないので桁違いに早く魔法を使うことができる。
多分、使い方によっては私より強いかもしれない。でもオレンは女々しく怖がりなのでそこが一番の弱点だ。
「勝手に寮から抜け出したから怒っているだろうなー」
私はオレンに笑顔を向けながら言う。
「え!皆寝てるから大丈夫ってリプカ言ったじゃん!」
「ん?言ったけ?」
「もー!」
会話したことによって雰囲気が少し穏やかになった。さっきオレンは怖がりと言ったが間違いだったかもしれない。意外としたたかかも。
しかしそんなことをぶち壊すかのようなことがすぐ起きた。
「これって・・」
「もうやだ帰りたい」
バサバサバサバサバ!!!!
さっきの倍以上。数百匹はいるであろうコウモリがこの協会を埋め尽くすくらいの勢いでまたこちらに向かってきた。
私が魔力を武器である傘に集中させるが
ダメだ。間に合わなーーーーー