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プロローグ

私は総ガラスのエレベーターに乗った。

中には背の高い、二人の外国人がいた。

一人はラテン系の堀深い顔だちの男で、もう一人はフランス系のような色素の薄い男だった。

どちらも何かのモデルのように整った顔だった。

「……。…………?」

「…………、…………!!」

二人は私を見て小声で何か言っているが私にはわからない。

無表情で穴が開くほど見られ、私は居心地が悪くなり体をエレベーターの小さな個室の隅に寄せた。

ふと二人の男が私に近づいてきた。

「ひっ!?」

小さく悲鳴をあげ、しかし逃げる場もなく私は男たちに壁に押しつけられた。

私の腕はラテン系の男に壁に縫い付けられ動かすことはできない。

そもそもあまりの恐怖に身がすくんで、私は瞬きすらできないでいた。

相変わらず無表情の男たちの顔があまりにも恐ろしかった。

白人の男の指が私の顎を掬った。

何をされるのか全くわからず、私の体は怖くて震えていた。

するとラテン系の男が私の震えている頬に顔を近づけた。

とうとう目をつむる。

ちゅ、ちゅ、ちゅ。

一瞬何が起こったかわからず、私は目を見開き固まった。

数秒遅れて、どうやら頬にキスをされたらしいことがわかった。

それも三回。

チクチクしたあの感触はひげか、など少しずれた考察が頭をよぎった。

どうして彼は、なんで…。

わからない。

チーン。

エレベーターがある階に止まった。

どうやら彼らはこの階で降りるらしく、ラテン系の男がまだ固まっている私の手を離した。

扉が開き、男たちが出ていく背中を茫然と見送る私。

くる、と白人の男が振り返り私の腕を掴み強い力で引き寄せた。

ちゅ。

軽いリップ音がして私はキスをされた。

頬でなく今度は唇に。

そして二人の男性は、何事も無かったかのようにエレベーターを降りていった。

私には赤面する暇すら無かった。


それは夢だった。

ベッドから飛び起きた私は火照った顔を、立てた膝の間に埋めた。

足に掛かったままの白いシーツに、声にならない叫び声を浴びせる。

ドクドクと心臓が早鐘を打っている。

(なんだあれは、なんだあれは、なんだあれは!私は欲求不満なの!?無意識の内に恋愛を求めてるの!?)

キス一つ、と言われても初恋もまだな私には、充分赤面に値する夢だった。

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