one´s prologue
――――――立ち上る焦煙にむせかえる……。
燃え盛る炎の光と、焦げ跡と灰の闇に、彼は絶望した。
繰り返される殺戮、負の輪廻、非力な自分――――
――また間に合わなかった…。
空を見上げれば、漆黒の闇の中に炎の赤が混ざり合って全て飲み込む深淵のようだ。
これは、絶えず繰り返す絶望の物語――――――‥
黒と赤の世界の中、
「おねいちゃん!!」
少女の悲痛な叫び声が響く。幼い瞳に大粒の涙を溜めて、隣にいるもう一人の女性を見上げている。
「大丈夫よ。絶対、私が助けてあげるからね」
“おねいちゃん”と呼ばれた女性は弱々しい微笑みを浮かべながら、泣いている少女を心配させまいと優しく言う。
「でも…ッ」
それでも心配そうに見つめる少女を、女性は強く抱きしめた。互いの体温が互い体を伝わっていく。その瞬間を噛み締めるように、女性は涙を堪えて言葉を紡ぐ。
「私は…、もうダメかもしれない。でも、忘れないで。あなたの使命を――――――‥」
女性は少女から体を離すと、立ち上がり、少女に背を向ける形で口を開く。
「あなたは、私達だけじゃない…。この世界の最後の希望なの……」
そこで言葉を一旦区切ると、悲しそうな微笑みを浮かべて振り返った。
「だから…、あなただけは生きて…――――――――」
そう言い残すと、女性は燃え盛る炎の中に消えていった。
――――…その時君に、全てを受け入れる覚悟があるなら……




