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プロローグⅡ―あの日―
――――やっと見つけた・・・・・・『 』――――‥
弱い日差しが、早くも傾き始めている。
ほどなく彼が現れた。
悪戯っぽく笑う彼女に、彼はいつものように優しい微笑みを浮かべる。
風が出てきたようだ。
彼は鮮やかな黒髪をなびかせながら空を見上げる。
それに釣られて、彼女も夕日の色が移った薄いクリーム色の髪を押さえて、空を見上げる。
茜色に染まりつつある空を、優しい眼差しで見つめる。
そんな彼女を、彼は愛おしそうに抱きしめた。
彼女は一瞬、驚いたように目を見開いたが、少し照れたような表情で彼を抱きしめ返す。
まるで、お互いの温もりを忘れまいとするように――――‥
――――やがて、彼は彼女と固い約束を交わす。
ふたりに忍び寄る闇の気配に、今はまだ気付いていない。
消え行く世界の中で、ふたりの縁は切れることはないだろう。
たとえ、時を越えて、世界が変わったとしても………