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FLARE  作者: Hiro S.Inchi
炎を渡す者たち

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第34話:闇の深淵

狭間の道を進むにつれ、光の柱はまばらになり、代わりに影が濃くなっていった。

やがて道は途切れ、そこに広がっていたのは――底の見えない奈落。


黒い海のような闇がうごめき、絶えず呻き声を上げている。

まるで無数の亡者の記憶が溶け合ったかのようだった。


「……ここが、“闇の深淵”……」


リサが小さく呟く。木箱を抱きしめる腕が震えていた。


カイは唇を噛みしめて立ち尽くす。


「何も……見えない……。立ってるだけで、心が吸い取られる……」


その時、深淵から巨大な影がせり上がった。

形は人に似ているが、輪郭は溶け、瞳だけが真紅に燃えている。


『――来たか。光を名乗る者よ』


その声は地鳴りのように響き、耳ではなく魂を揺さぶった。


「お前が……闇の本質……?」


リオが拳を握る。


『我はすべての影。奪われた声、忘れられた願い、燃え尽きた命。光に裏切られ、闇に沈んだものの残滓だ』


影は腕を広げ、無数の黒い触手を伸ばす。

その一本一本が悲鳴のような声を放ち、仲間の心を引き裂こうとした。


「やめろ!」


リオが炎を放つが、闇は容易くそれを呑み込む。


『光など儚い。お前の炎も、いずれは闇に飲まれる。希望は幻――絶望こそ真実だ』


リオは歯を食いしばった。

たしかに、炎は弱く見えた。


燃やし尽くした夜の記憶が再び胸を刺す。

そのとき、仲間が声を上げた。


「違う!」


ミナが風を巻き起こす。


「たとえ小さな光でも、風が運べば遠くまで届く!」


「記録は消えない! 灰は忘れられても、わたしが抱えてる限り、生き続ける!」


リサが木箱を掲げる。


「僕は勇気でここに立ってる! 闇なんかに呑まれない!」


カイが枝を構えた。


三人の声が重なり、リオの心に流れ込む。

胸の奥でアウラが囁いた。


『リオ、聞こえるだろう? 彼らの誓いが――君の炎を強くする』


リオは目を閉じ、深く息を吸った。

そして、掌に再び黄金の炎を灯した。


「幻じゃない。僕たちの誓いは本物だ!闇がどれほど深くても――この炎で照らす!」


焔が輝きを増し、深淵の影と正面からぶつかり合った。

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