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FLARE  作者: Hiro S.Inchi
炎を渡す者たち

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28/63

第28話:迫りくる闇

星降る夜の約束を交わしてから数日後――。


リオたちは山を越え、荒野へと足を踏み入れた。

だがその道中、空は急速に曇り、太陽の光が遮られていった。


「……妙だな。風の流れが止まってる」


ミナが警戒の目で空を仰ぐ。

リサは箱を抱きしめ、肌を刺すような寒気に震えた。


「これは……灰じゃない。もっと重い……“闇”だ」


次の瞬間、地平の向こうから黒い靄が押し寄せてきた。

それは大地を這い、空を覆い、すべてを呑み込もうと広がっていく。


「う、動けない……!」


カイが膝をつき、影に足を取られる。


リオが掌に炎を灯すと、その光が靄を押し返した。

だが、炎はすぐに黒に染まりそうになり、まるで“逆流”するかのように揺らいだ。


『リオ……! 気をつけろ! この影はただの囁きではない。“意思”を持った闇――お前と同じ“炎”を狙っている!』


アウラの声が胸で警告する。


「意思を持った……闇……」


靄の奥で、ひとつの影が形を取った。

それは人のようでありながら、人ではなかった。


燃え尽きた焔の残骸のように黒く、瞳だけが赤々と燃えている。


『……炎を照らす? 笑わせる……炎はただ燃やし、奪い、影を残すだけだ……』


低い声が、リオの誓いを嘲るように響いた。


「お前は……誰だ!」


リオが叫ぶ。

影は口元を歪め、答えた。


『我は“燃え尽きぬ影”。お前が進む限り、どこまでも追いすがる闇。――炎よ。証明してみろ。お前が希望だと、どうやって?』


影が腕を伸ばすと、地平線まで広がる黒が一斉に蠢き出した。

その圧は、大地を揺るがすほどに重く、濃く――。


仲間の誓いを、試すには十分すぎるほどの脅威だった。

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