第25話:星の導き
焚き火の灯りが静かに揺れる夜。
リサが木箱を開き、街から持ってきた破片のひとつを取り出した。
それは煤に覆われた古い石板のかけら。
「これ……ただの石だと思ってたけど、星を見たら違って見えたの」
リオは受け取り、火にかざした。
煤の隙間から刻まれた線が浮かび上がる。
曲線がいくつも重なり――それは、夜空に広がる星座の形だった。
「星図……?」
ミナが目を見開く。
「でも、普通の星座と違う……知らない並びだわ」
アウラの声が胸で響いた。
『これは“精霊の地図”。古代の人々が、星を手がかりに大地の聖域を記したものだ』
「聖域……」
リオが呟く。
『次の精霊の眠る場所を示している。炎、水、大地に続く――“風と空の試練”だ』
カイが星空を見上げ、小さな手で石板の線をなぞった。
「これ……あの星と繋がってる。あの輝いてるやつ……」
彼が指さしたのは、ひときわ明るく瞬く星。
まるで仲間の約束に答えるように、光が強く瞬いた。
「……導いてくれてるのね」
ミナが微笑む。
彼女の風が、星を確かめるように柔らかく流れた。
リオは拳を握り、仲間を見渡した。
「行こう。次は“空”の精霊に会いに」
リサは星図を木箱に収め、カイは胸を張った。
それぞれの瞳に星明かりが映っている。
夜空に輝く星は、まるで進むべき道を示す灯火だった。
それは偶然ではなく――確かに“星の導き”だった。




