表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FLARE  作者: Hiro S.Inchi
炎を渡す者たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/63

第13話:弟子の願い

小屋の中は、ほの暗かった。


窓は木の板で塞がれ、光はわずかな隙間からしか入ってこない。

カイは膝を抱えたまま、リオたちから距離を取っていた。


「……みんな僕を怖がるんだ」


カイの声は震えていた。


「火を持たないのは“呪い”だって。僕のせいで畑が枯れたって、雨が降らないって……」


リサが眉をひそめた。


「そんなの、ただの言いがかりだよ」


ミナも強くうなずく。


「風だって火だって、本来は恵みの力。無いからって、誰かを責めるのは間違ってる」


けれどカイは首を振った。


「でも……みんなそう思ってる。僕は“外れ者”なんだ」


沈黙が落ちる。

リオは膝を折り、カイと同じ目線までしゃがみ込んだ。


「カイ。君は火がなくても、守りたいものはある?」


問いかけに、少年の瞳が揺れた。

しばらく唇を噛んでいたが、やがて小さく答えが漏れる。


「……ある。母さんを守りたい。僕を信じてくれてるのは、母さんだけだから」


その声はか細く、それでいて必死だった。


『リオ。彼は炎を持たないけれど――心の中には、立派な“火種”がある』


アウラの声が胸で囁く。

リオはゆっくり頷き、拳を握った。


「カイ。火がなくても、強くなれる方法はある。だから……もしよければ、僕の“弟子”にならないか?」


その言葉に、カイは目を見開いた。


「……弟子?」


「うん。僕も炎を怖がられてきた。けど、守りたいって願ったから前に進めた。君も、その願いがあるなら、きっと強くなれる」


小屋の空気が、静かに震えた。

カイは唇を結び、そして小さな声で――それでもはっきりと答えた。


「……僕を、弟子にしてください!」


その瞳には涙がにじんでいたが、炎にも負けない強さが宿っていた。

リオはにっこり笑い、手を差し出す。


「よろしく、カイ」


小さな手が、しっかりと握り返してきた。


その瞬間、焔を持たぬ子が――確かに“弟子”となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ