第29話 2日目の学園生活
編入2日目
午前中は普通の授業が行われた。オレの隣で真田はずっと寝ていた
そして、それは真田だけでは無くクラスの何人かは寝ていたり、スマホを弄ったりして授業を聞いてはいなかった。にもかかわらず、授業は進んでいった
全ての授業を桜田先生が行っているが特に注意は無い
様子を見ている限り、普通の授業は此処ではそれ程重要視されていない様だった
そのまま時間は過ぎて昼休みになった
「北大路飯行こーぜ」
「良いけど、、どこで食べるんだ?」
「お前そんな事も知らないのかよ!」
「仕方ないだろ、今日が2日目で昨日は誰かさんのせいで途中から寮に居たんだから」
「俺のせいかよ!まぁ〜悪かったよ。飯奢るから行こーぜ」
真田に言われてオレは席を立ちついて行った
しばらく歩くと大きな食堂に着いた
「お前は何食うんだよ」
「え!?」
真田の質問にオレは戸惑った
食堂に来るのは初めてでよく分からなかったからだ
「そんなの聞いたって北大路くん、今日初めて来たんだから分からないよ!」
後ろから白里が話しかけてきた
よく見ると士部崎と烏藤、紫苑も一緒だった
「そういえばそうだったな!わりーわりー」
「お前のせいでな」
「うだと!クソガラスが!!」
「あ゙ぁ゙!?」
「ストーープ!!折角お昼食べに来たんだからやめてよね、2人とも!」
「ちっ!」
「わーたよ」
「あ、あの、北大路くん、、私で良ければ食堂の使い方教えようか?」
3人が言い争っている間に士部崎がオレに聞いてきた
「士部崎は昨日此処に来て知ってるのか」
「う、うん。昨日来て教えて貰ったから・・・」
「そっか、じゃあ頼むわ」
「う、うん!あのね、此処は無料で利用出来てね、カレーライスとか、ラーメンはいつもあって、それとは別に日替わりランチが3つあるの。食べたい物の食券を選んで、カウンターに出せば後は待つだけだよ」
「寮と仕組みは一緒なんだな」
「うん、そうみたい」
編入してから寮での食事も同じシステムだったのですぐに理解出来た
「ん!?真田、奢るとか言ってたけど無料じゃんか!」
「わりーわりー雰囲気で何となく言ったんだった。まぁー結局無料なんだから良いだろ?で、結局何食うんだよ?」
真田は笑って誤魔化していた。騙されたような気はするが真田の言う通り無料であるのは変わりないので気にしないことにした
「ラーメンでいいや」
「たったそれだけかよ!?いくら食っても無料なんだからもっと食えよな!」
「みんなお前みたいなゴリラじゃねーんだから食えねーよ」
「バカにしてんのかコラァ!!」
「ハイハイ、後ろが列になるから早く注文しちゃおう!」
烏藤と真田の口喧嘩を白里は上手くあしらっていた
オレと士部崎は苦笑いをしながら料理を注文した
料理を受け取ると空いている席を探した
「シー、こっち・・」
先に注文し席に座っていた紫苑が呼んだ
「シオちゃん早いね!」
「おなか空いてた」
紫苑は待ちきれずに先に食べていた
席にはカレーやラーメン、日替わり定食と数多くの品が並んでいた
「これ、、全部食べるの?」
「そうだけど・・」
オレは気になり聞くと紫苑は不思議そうに答えた
「シオちゃん凄いよね!初めて見た人は大体驚くよ」
白里は笑顔でそう答えた
「へ、へぇ~・・・」
オレは未だに信じられず顔が引きつった
(あの小さい身体によく入るな)
「俺らも食おーぜ」
オレ達も席に座り食事を始めた
「午後はやっと"能力"についての授業だな。ここまで暇すぎて大変だったぜ」
「お前は寝てただけだろうが」
「うるせーテメーだって似たようなもんだろうが!」
「ハイハイ、何度言えばいいの!喧嘩しないでよ」
再び白里が止めに入った
「所で真田っち今日は座学らしいよ?」
「まじかよ!聞いてねーよ・・というかずっと気になってたがなんだよその呼び方」
「え!?真田っちの事?可愛いかなって思って」
「鬱陶しいからやめろ!」
「何でよ、良いと思ったのに・・」
「私も、、良いと思う・・・」
紫苑が会話に参加してきた。よく見ると既にあれだけあった食事は無くなっていた
「でしょ?シオちゃんもそう言ってるんだから決定〜!」
「何でそうなるんだよ!」
その後オレ達は、真田や白里達の会話を聞きながら食事をして教室に戻った
しばらく席に座ってボーっとしていると桜田先生が入って来て授業が始まった
「ではこれから能力についての授業を始めます。北大路君や士部崎さんは今回が初めてなので、最初は能力の基本情報から話していこうと思う」
桜田先生は能力に必要な各"要素"や"能力者"について話した
「ではこれから本格的に授業を行っていくわけだがその前に、、士部崎さんちょっと良いかしら?」
いきなり名前を呼ばれたので士部崎は驚き、不安そうな顔をした
そんな士部崎の様子を見て桜田先生は申し訳なさそうに言った
「ごめんなさい、いきなり名前を呼んでしまって。ただこれからそれぞれの系統に別れて授業をしようと思ってね・・だからその前に、士部崎さんの系統を判明させておこうと思うの」
「「「「「「「「!!!」」」」」」」」
その言葉にクラスがざわついた
「先生〜系統を判明させるってどういう事ですか?そんな事しなくても、ほとんどの奴が自分の系統が何か理解してると思いますけど〜」
「確かに壬生の言う通り、大多数の者は能力を発現させて使う内に、何が要素となっているのか、そして自分の系統が何なのかを理解しているだろう。だが少数とはいえ、士部崎さんの様に限られた条件下でしか使えない人もいて、現状系統が不明の人もいるのよ」
「へぇ~そうなんだ」
「だから我々協会は、これまでの能力についての情報を元に系統を調べる方法を考えたの。今はまだ実験段階だけどね、成功すれば新たな"能力者"の発掘に利用しようと思っているわ」
「実験段階ってそれ危なくないんですか?」
今度は白里が質問した
「えぇ、やる事自体は簡単で危険も無いわ。するかどうかは士部崎さんに任せるけど、どうする?」
「・・・私やります」
士部崎は桜田先生の方を向いてそう言った
それを見て桜田先生は微笑んでいた
「分かったわ!じゃあ始めましょうか」
「はい、お願いします」
「あ!そうそう、北大路君と真田君も一緒にして頂戴!」
その言葉にオレと真田は驚き席から立った
「おいおい!何で俺がしないといけないんだよ!俺はソイツと違って自分の系統なら分かってるぜ」
真田の言葉に士部崎は悲しそうな顔をした
「士部崎さん1人して貰うのは可哀想でしょ?それに君達は昨日問題を起こしたんだからその埋め合わせよ」
痛い所を突かれた
それに士部崎には今まで助けられてきたので断りにくかった
「・・分かりました」
「北大路!お前納得すんのかよ」
「士部崎1人にさせるのも悪いし、それにあぁ言われたら断れないわ」
「ったくめんどくせーなぁ〜」
オレの言葉を聞いて真田も嫌々納得した
それからオレ達3人は前に出た
すると桜田先生はポケットから消しゴムを出した
「先生、これは何ですか?」
「何って、消しゴムだが?」
「消しゴムは分かりますけど、これで一体何をするんですか?」
オレの質問に桜田先生は得意気な顔をしながら続けた
「今から君達には能力で消しゴムを創り出して貰おうと思う」
「何で消しゴム何か創らねーといけないんだよ!」
真田が不機嫌そうに言った
「まぁ、落ち着け。いいか?消しゴムは作りが簡単かつ、君達にも馴染みの深い物だ。従ってどの系統でも簡単に創り出す事が出来るんだよ」
その言葉にクラスからは"へぇ~"と言う声が聞こえてきた
「しかもだ!試してみれば分かるが、系統別の違いが分かりやすく出るので、個々の系統を調べるにはとても向いているという訳だ」
「なるほど・・・ 」
オレも他のクラスメイト同様話に納得した
「あと、別にさっき言った条件さえ満たしていれば消しゴムである必要は無いよ。今回は消しゴムにしたけど」
「まぁいいや、早くやろーぜ」
最後まで納得していなかった真田も諦めてする事にした
オレ達3人は、教卓の上に置かれた消しゴムを見ながら能力で創り出し始めた
「これで良いのか?」
最初に創ったのは真田だ
手には教卓に置かれている物と全く同じ消しゴムが握られていた
「うむ、上出来だ」
「けっ!これで何が分かるんだよ、誰でも同じ様に出来るだろ!」
「まぁまぁ、それは2人のを見ていれば分かるよ」
そう言って桜田先生と真田はオレと士部崎の方を見た
クラスメイトもオレ達を見ていたので緊張してきた
「いいか2人とも!難しく考えなくていい、ただ消しゴムを創り出そうとすれば、それで出来るはずよ」
そう言われてオレと士部崎は落ち着いて目を瞑った
「・・・や、やった、、出来た」
横から士部崎の声が聞こえてきた
オレの手にも何かが握られていた
「2人とも出来た様だな。どれ見せてみろ」
そう言われてオレ達は手にあるモノを見せた
オレのは真田が創ったモノと同じ形だったが、薄い青色だった
「え!?わ、私の、、形が違う・・・」
士部崎が創ったモノは、色は白色だが形は猫の様だった
「いや、これで問題無いよ。ありがとう士部崎さん」
桜田先生は士部崎をフォローした
「どういう事だよ!何でコイツら違うモノを創ってんだよ」
「今から理由を説明するから席に戻りなさい」
桜田先生に言われて真田は渋々席に戻った。
オレと士部崎も席に戻った
オレ達が席に戻ると先生は話し始めた
「今創って貰ったこの消しゴムの違いが3人それぞれの系統の違いだ。真田君、君は"見聞系"だよね?」
「あぁそうだよ」
「見聞系がこの検査をすると目の前にある物と全く同じモノを創り出すんだよ。恐らく、目の前にある物を見ているという"経験"をトリガーにしているからだろうね」
「けっ!」
真田は腕を組んで不満そうにしていた
「次に北大路君、君は"心緒系"だったよね?」
「はい・・」
「心緒系は色が変わるのよ。北大路君の消しゴムが薄い青色なのは、その時の"感情"が要素になった結果なのよ。だから今度また消しゴムを創ろうとしても同じ色で出来るとは限らない。別の色かも知れない」
(そういう事なのか・・・)
よく分からなかったが、その通りになっているので納得した
「はいは〜い」
白里が手を上げた
「じゃあみゆちゃんは何なんですか?」
「それを今から言うから待ってなさい」
桜田先生は白里に呆れながら注意した
「で、最後に士部崎さんの消しゴムなのだけれど、これは"幻影系"の結果よ」
「「「「「「「「!!!」」」」」」」」
その言葉にクラスはざわついた
「みゆちゃんすご~い」
白里は驚き大喜びをしていた
他の人達も士部崎に注目した
「ゴホンッ!静かに、幻影系が珍しいのは分かるけど落ち着いて。いい?消しゴムの形が違うのは、"想像力"を要素にした結果よ。士部崎さん、消しゴムと猫で何か思いつくものは無いかしら?」
「え!?えっと、その・・・」
そう言って士部崎はしばらく考えていた
「あっ!あの、昔家で飼ってた猫が私の消しゴムを食べちゃった事があって・・・」
「なるほどね。恐らく士部崎さんの中でその時の記憶が印象的で、消しゴムを創り出す時にその猫のイメージが要素になったのね」
クラスからは驚きの声があがっていた
「こんな感じで幻影系は、消しゴムを作り出す時に形などにその人特有の変化が出るのよ。どう?これで士部崎さんの系統が分かったでしょ?」
先生は得意気にそう言った
士部崎の周りでは白里達が褒めたりしており、それを士部崎は嬉しそうな、恥ずかしそうな顔で聞いていた
「じゃあ次は能力値を調べましょうか。北大路くんと士部崎はこの学園に来てからは初めてでしょうからね。他の人達は前回と比べてどうか調べましょう」
そう言って桜田先生は見覚えのあるタブレットを取り出した
明日は1日投稿お休みしたいと思います。更新は明後日からとなりますのでよろしくお願い致します。




