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第27話 差し出された手

27話


 静まり返った室内でゆっくりと喋り始めた


「オレは、、復讐する為に"能力センシティブ"を発現させた」


「「「「!!!」」」」


 オレが話始めた事に全員が驚いた


 けれど誰も何も言わず、ただオレの言葉を待っていた 


「オレの両親はさ、殺されたんだ。前の学校のクラスメイトに」


 言葉にすると記憶が蘇り辛くなり声が震えた 


 その様子に士部崎はより悲しそうな顔をした


「オレ、、さ、高校入った後、イジメられてたんだ。この左眼もイジメで潰されてさ、、誰も助けてはくれなかった。と言うよりオレも助けられたく無かったんだ。両親にイジメられてるのを知られたくなくて黙ってて、、何とか毎日をやり過ごしてたんだ」


 オレの言葉だけが室内に響いた


「そんな時に世界中で能力が見つかったんだ。オレさ、、めちゃくちゃ嬉しくて、、もしかしたら今の現実を変えられるかも?とか思ってた。けど・・現実はそんな事無かったんだよ。オレを待ってたのはより辛い現実、、絶望だったんだ・・・」



「ちょ、ちょっと待って北大路くん、、能力使えるよね?どうしてより辛くなるの?」


 疑問を持った白里が質問して来た


 その白里を烏藤が睨んだ


「あぁ、、オレが能力を発現させるのはもう少し後なんだよ。それより前にオレをイジメていた奴らが発現させたんだ」


 その言葉を聞いて白里は下を向いた


「能力を発現させた奴らは今度はそれを使ってイジメだしたんだ。今までよりも痛くて、、辛くて、、耐えきれなくて・・・」


 士部崎も思い出したのか声を殺して泣いていた


「逃げて、、もう、どうする事も出来なくてさ、、両親に、今までの話をする事にしたんだ。けど・・両親には話す事は出来なかった」


 オレは思い出し更に悲しくなった


「・・どうしてだい?」


 弓ヶ浜の質問にしばし時間を使って話した


「家も、、両親も、、燃えてしまった・・・」


「「「!!!」」」


 オレの言葉に弓ヶ浜は驚き、顔をしかめた


 白里も烏藤も同様の反応をした


「オレをイジメいた"鳳仙大我"がって奴がやったんだ」


「鳳仙大我だと!?」


「烏藤くん、何か知ってるのかい?」


 烏藤が大我に反応し、弓ヶ浜が質問した


 オレや士部崎、白里も烏藤の方を見た


「俺も詳しくは知らねーけど、清源が言ってたんだよ。東の"能力者プレイヤー学園"に凄い奴が居るって。そいつの名前が確か鳳仙大我だった筈・・・」


 烏藤の言葉にオレは顔をしかめた


 広がる差に怒り、悲しみが湧いた


「何でそんな人が学園に通ってるの?おかしくない?」


 白里が烏藤に質問した


 烏藤が答えようとしていたが、それよりも先にオレが続きを話し出した


「大我は政府、、教会によって無罪になったんだよ」


「そんな・・・」


「お前も知ってるだろ?特別待遇について、、俺達だってそれを受けて此処に居るわけだし」


 白里は悲しそうな顔で下を向いた


「その後オレは大我に復讐する事を目標に能力を身に付けたんだ。まぁそれは今使えなくなったけどさ」


「桜田先生から聞いたよ。お前、元々は別の能力を使ってたんだってな」


 烏藤の言葉に頷いた


「あぁ能力を夏休みに発現させて、新学期に学校に行ったら、、大我は能力者学園に編入した後だった。けど・・大我の仲間だった奴らは変わらず居たんだ。オレはそいつらにまたイジメられた。今度は庇ってくれた士部崎と一緒にな」


 士部崎はその時を思い出して下を向き震えた


「みゆ・・・」


 そんな士部崎を白里は心配そうに見た


「で、オレは、、そいつらを殺した」


「「「!!!」」」


 オレの言葉に全員驚愕した


「そいつらは大我と一緒にオレの両親を殺したんだよ。それを知ったら殺さずにはいられなかった。オレの能力はその為に発現したんだからな」


 オレは気持ちが入り少し声が大きくなった


「後は何となく分かるだろ?オレも大我と同じで無罪になって、士部崎と一緒にこの学園への編入を進められてって感じだよ」






「そう、、だったんだね・・・」


 弓ヶ浜はオレの話にショックを受けていた


「北大路、お前の能力はいつ今の"雷"になったんだよ」


「大我の仲間を殺した後に、協会の汐留さんって人から今の大我について聞いてさ、、オレじゃ勝てないから復讐なんてやめろって言われたよ。けど・・そんなの認めたくなくて、、雨の日に雷に打たれたんだよ」


「「「「!!!」」」」


「それで雷を出せるようになったんだ。けど、他の能力は使えなくなった。この左眼も能力で創ったモノなんだよ。元々はこんな見た目じゃ無かったけど、雷の影響でこうなったんだ」


「なるほどな」






 皆静まり返った


 想像もしていなかった話にショックが大きく何と言って良いか分からなかった




 しばし沈黙の後に弓ヶ浜が喋り出した


「北大路くんは、まだ、、復讐するつもりなのかい?」


「当たり前だろ」


 オレは弓ヶ浜を睨んで答えた


「そう、、だよね・・・なら、何で僕達に話してくれたんだい?」


 弓ヶ浜はオレの気持ちを肯定しながらも臆さず聞いてきた


「士部崎だよ・・」


「エッ!?」


 自分の名前が出るとは思わず士部崎は慌てた


「どういう事だい?」


「今の士部崎はオレが知ってる士部崎じゃ無い様に思えてさ、、よく分からないけど、此処に来るまでに士部崎に何かあったんだろ?だから・・・」


 上手く言えない


 何となく今の士部崎の変化に惹かれて話しただけだから


「みゆちゃんね、私達に北大路くんを助けて欲しいってお願いしてきたんだよ」


 白里の言葉にオレは驚き士部崎を見た


 士部崎は申し訳なさそうな顔をした


「私さ、正直、、北大路くんの話を聞いて、自分でも同じ事考えるかもって思っちゃった・・」


 白里は苦笑いをして言った


 烏藤や弓ヶ浜は下を向いていた


「でも、、さ、やっぱり、、そんな復讐の仕方は間違ってると思うな。みゆちゃんの言う通り、そんなの北大路くんも関係ない人も傷つけるだけだよ。それに北大路の両親だってきっと、、望んでないよ」


「オレには、、こうするしか考えられないんだよ!!」


 白里にオレはキレた


 白里にキレるのはおかしい、そんな事分かっていたが抑えられなかった


「だから私達がいるんだよ!みんなでいい方法を考えようよ」


 キレられたのに白里は臆さずオレに言った



「ちょっといいかな?」


 オレと白里の間に弓ヶ浜が割って入った


「今考えたんだけど、その、鳳仙大我くんに罪を償わせる事が出来るなら、、どうだい?」


「はぁ!?」



 弓ヶ浜の言葉に少し考えた。納得いかない気持ちもある


 けど・・誰も傷付けずにもし、、それが出来るのなら




「償わせられるなら気持ちは変わるかもな・・・」


「そうかい・・・」


 弓ヶ浜は微笑みながらそう言った


「おい弓ヶ浜、どうするつもりだよ」


 烏藤が弓ヶ浜に質問した


「簡単だよ。北大路くんの能力が鳳仙くんよりも価値あるモノになれば協会も北大路くんを優先させるだろ?そうすれば無罪を取り消す事も可能な筈だよ」


「「「「!!!」」」」


 弓ヶ浜の言葉に全員が驚いた


「確かに」


 オレはまだ話についていけていなかった


 オレでは思いつかなかった方法に脳が追いつかなかった


「だけどな弓ヶ浜、鳳仙は清源が認める程だぞ。コイツがそれ以上になれるとでも言うのかよ」



「北大路くん、もしかしてだけど鳳仙くんは"見聞系けんぶんけい能力者プレイヤー"じゃないのかい?」


「確かに、、大我は見聞系だけど・・・」


「やっぱり」


「どうして分かったんだ?」


「さっき北大路くんの話を聞いて、かなり初期から能力を発現していた様だったし、紫苑さんが認めてたって話を聞いてもしかしてと思ったんだ」


「そういう事か・・・」


「え!?え?どういう事なの?」


 白里は分からず烏藤に聞いた


「何でわかんねーんだよ、初期から発現していたって事は発現しやすいって事だ。それに成長速度も早いようだしな」


「それって才能じゃ無いの?」


「あぁ、才能もあるがそれ以上に系統の違いだよ。さっき言った特徴は全部、見聞系の特徴だ」


「なるほど〜でもそれと鳳仙くん以上になるのとどう関係するの?」


「それは」


「それは僕から言うよ。見聞系の特徴は白里さんも知ってるよね?」


「うん。見聞系は発現しやすくて成長も早い。けど・・他の系統に比べて特殊な能力は身に付けられないって聞いたよ」


「そう、、見聞系は特殊な能力を身に付けられないんだよ。言うなら希少価値という面で大きく劣るんだ。だからもし、北大路くんが他の人が使えない、固有の能力を使いこなせたなら鳳仙くん以上になれるとは思わないかい?」



「「「!!!」」」



「やるじゃん暁斗くん!それならイケるかも!」


「う、うん、北大路くんなら出来るよ。絶対・・・」


「ちっ!」


「弓ヶ浜、、何でオレなら出来るって思うんだよ」


 弓ヶ浜の話を聞いてもオレは自信が無かった



「馬鹿にしてんのかよ!お前は真田が何で絡んできたのか分かってねーのか?」


「え!?」


 いきなり烏藤がキレた


 オレは訳がわからず動揺した


 そしてそれは白里や士部崎もだった


「ちょっと!カラスくんいきなりどうしたの?」


「う、烏藤くん・・・」


「烏藤くん!抑えて」


 弓ヶ浜がオレと烏藤の間に入った


「ちっ!」


 それによって烏藤は一旦落ち着いた


「北大路くん、、君はもう少し自分の事を理解した方がいいよ」


 止めてくれた弓ヶ浜が真面目な顔をしてそう言った


「烏藤くんも僕も真田くんについては詳しく知らないけど、、それでも、真田くんが北大路くんの能力を認めなかった理由は分かるよ」


「!?」


 オレにはどういう事か分からなかった


「君の能力に嫉妬したんだよ」


 その言葉にオレは驚いた



 真田の能力はオレのより正直凄いと思った


 だからこそ弓ヶ浜の言っている意味が分からなかった


「北大路くん、、"雷"なんて普通は能力に出来ないんだよ。僕や烏藤くんも男だからね、能力の事を知ったら一度は考えた事あるよ」


「ちっ!」


 烏藤は不機嫌そうに舌打ちをした


「きっとそれは真田くんもだろうね。アニメとかを観てれば雷、電気なんて真っ先に考えるからね」 


 弓ヶ浜は恥ずかしそうに笑った


「だから知ってるんだよ。北大路くんの能力は普通じゃない事を・・・僕達は出来なかったから」


 オレは汐留との会話を思い出した


「真田くんは嫉妬したんだよ。自分に出来ない事をする北大路くんに・・・そして同時に腹が立ったんだよ。凄い人が能力を使いこなせていない事に・・・」


「ちょっとちょっと、使いこなせてないって北大路くんの能力は十分凄かったよ?ね?みゆちゃん」


「う、うん、、私もそう、思います」


「確かに凄かったよ。だけど正直あれぐらいなら発現出来ない筈無いんだよ」


 続けて烏藤も喋り始めた


「最後の奴以外は見た目程の力無かったな。それが真田には使いこなせてない様に思えて我慢出来なかったんだろ?」


「あぁ僕もそう思う」


 2人の言葉にショックを受けた


「でも、、だからこそ可能性があるんだよ!北大路くんその能力を自分のモノにするんだ!そうすればきっと鳳仙くんを超えられるよ」


 弓ヶ浜が手を手を差し出してきた


 オレはそれに答えられるか不安でいた 




 その様子を見て士部崎も手を出した


 そして白里も烏藤の手を無理やり取って出してきた


 今までの人生で味わった事の無い気持ちが湧き上がってくる



 未だ先が見えないけど、、その手を取れば前に進めるような気がして・・・


 オレはみんなの手を取り立ち上がった




 気づくと頬を涙が伝っていた






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