第26話 何かに惹かれて
夕方
寮へ帰る準備をしていた士部崎の所に烏藤を連れた白里が来た
「みゆちゃん帰ろっか・・」
「う、うん」
2人とも元気は無かった
「おい、何で俺まで一緒に帰らないといけないんだよ」
「いいじゃんカラスくん、、お願い」
烏藤をじっと見つめて白里は言った
「はぁ〜わーたよ」
「うん、ありがとう」
白里は嬉しそうにそう言った
3人は寮に帰ってきた
寮に着いたが白里は烏藤から離れようとはしなかった
「お前らの部屋は別の階だろ。何でついてくるんだよ」
「北大路くんに会おうと思ってさ・・」
白里の言葉に烏藤と士部崎は驚いた
「お前も弓ヶ浜達と同じ様に納得して無かったのか」
烏藤の言葉に士部崎は下を向いた
「違うよ!!そんなんじゃない、、ただ・・私はみゆちゃんが心配で、、みゆちゃんの力になりたいの!その為には北大路くんから話を聞かないとと思ってさ」
烏藤を見ながら言った後に白里はちらりと士部崎の方を見た
士部崎の顔は驚きと戸惑い、気まずさを含んで泣き出しそうにしていた
「分かったよ、、まぁ俺も聞きたかったしちょうどいいわ。士部崎さん、アンタはどうする?来ても碌な目には遭わないと思うけどな」
「わ、私も、一緒にいく・・」
「そうか・・・」
3人は烏藤と北大路の部屋に向かった
近づくと部屋の前に誰かが立っていた
「弓ヶ浜、、お前ここで何してんだよ」
「あれ?暁斗くんどうしたの?」
「やぁー烏藤くん、白里さん、それに士部崎さんも」
部屋の前に居た弓ヶ浜は3人の方へ来た
「士部崎さん、、さっきはその、、申し訳なかった。士部崎さんの気持ちも考えずに自分の言いたい事だけ言ってしまった」
弓ヶ浜は士部崎に頭を下げた
いきなり謝られた事に士部崎は動揺し、烏藤と白里は少し驚いていた
「ゆ、弓ヶ浜くん、頭を上げてください」
その言葉に弓ヶ浜は従った
「弓ヶ浜、士部崎さんに謝罪したかったなら階が違うぞ。ここは俺の部屋だ」
「そうだね、烏藤くんと、北大路くんの部屋だ」
「知ってるなら何でここに居るんだよ」
「それは、、北大路くんから話を聞こうと思ったからさ」
「今謝ったくせに、結局納得して無かったのかよ!何がしたいんだお前は」
烏藤はより不機嫌そうに言った
「士部崎さんへの謝罪はあの場での僕の発現についてさ。けど、、納得してないというのはその通りだ。だからこそ北大路くんに聞きに来たんだよ。彼を知り、仲良くなる為に」
「弓ヶ浜くん、、烏藤くん、、まなみちゃん、、ありがとう」
士部崎が出した言葉に3人は驚いた
「北大路くんがどうするか分からないけど、、私は3人に聞いて貰いたい。北大路くんを助けてあげて欲しい」
士部崎は泣きそうな顔で言った
「北大路くんに何があったのかは分からないけど、必ず力になるよ。同じクラスになった仲間だからね」
弓ヶ浜は笑って言った
「めんどくせーな」
「みゆちゃん、、私も力になるから。絶対北大路くんを助けようね」
「みんな、、ありがとう」
4人が話をしていると部屋の扉が開いた
中からは桜田先生が出てきた
「貴方達そこで何してるの?」
「先生、北大路くんはどうでしたか?」
「ん!?あぁ、本人も反省していたし落ち着いているから明日からまた来て貰おうと思っているよ」
「そうですか、それは良かった」
「それで、烏藤くんはともかく他の3人はどうして此処に?」
「僕達は北大路くんの話を聞こうと思って」
「!?士部崎さん、貴方はそれでいいの?」
「・・はい」
「そう、なら北大路くんは中にいるから話を聞くといいわ。本人が話すかは知らないけどね。私はこれから真田くんの所に行くから」
そう言って桜田先生は消えていった
残された4人は部屋に入って行った
「烏藤、、帰ってきたのか」
オレはベットに腰掛け扉の方を見た
「!!!」
「何で、士部崎達も居るんだ?」
「北大路、お前に話があるんだ」
「やぁー北大路くん、ちょっといいかな?」
「お邪魔しまーす」
「お、おじゃまします・・・」
4人は部屋に入りオレの近くに座った
「で?話って・・」
オレの質問に烏藤が答えた
「大体分かってるだろうが、今日の事についてだよ」
桜田先生からも聞かれた
そしてクラスでオレの話になった事も聞かされた
だからこそ、これから言われる内容についても見当はついていた
その現実から目を逸らしたくて下を向いた
士部崎は心配そうにオレを見た
「烏藤くん、僕から言わせて貰えるかな?」
「ちっ!勝手にしろ」
「ありがとう。北大路くん、あの後クラスでは君の話になったんだ。君の"能力"についての話に・・・桜田先生から少し教えて貰った。だけどもっと詳しく聞きたいから僕達は来たんだ」
弓ヶ浜の言った事はオレが予想した事とほぼ同じだった
オレは何を言っていいのか分からずにいた。聞かれた事は話したく無かったが、どう言えばいいのか分からない
「北大路くん、、君に何があったのかは知らないが、あの時の君はもしかすると真田くんを殺してたかも知れない。正直僕はそんな人とこれから一緒に過ごせる自信が無いんだ。ごめん・・・」
(弓ヶ浜の言葉は正論だ)
あの時もし壁が無かったら、、オレは・・・
「だからお願いだ北大路くん。君の事を教えて欲しい。僕らにチャンスをくれないか?」
弓ヶ浜がオレを見ながら言ってきた
その言葉、その眼、その顔全てがオレには眩しかった
眩しすぎて弓ヶ浜から目を逸らした
暫し沈黙の後、烏藤がオレの胸ぐらを掴んできた
「鬱陶しいな!話すのか話さないのかはっきりしろよ!」
烏藤の行動に白里、弓ヶ浜が止めに入った
「カラスくん止めて!!」
「烏藤くんやめるんだ!北大路くんだっていきなり言われて困ってるんだよきっと」
烏藤はオレの胸ぐらから手を離すと睨みながら喋り出した
「北大路、、お前、此処に何しに来たんだよ。今のお前で目的は果たせるのかよ」
烏藤の言葉をその場に居る人は静かに聞いた
「果たせるならもう話せとは言わねーよ。お前の勝手にしろ。オレは相部屋を変えてもらうし、クラスの奴らも近づかねーだろーがな」
そう言うと烏藤は自分の荷物をまとめだした
「ちょ、ちょっとカラスくん!何してるの」
「今言っただろ?オレはコイツと相部屋は御免だ。部屋を変えて貰う」
「そんな、、北大路くんを助ける、力になろうって話したじゃん」
「コイツがそれを求めてねーからやめるんだよ」
「烏藤くん・・」
「北大路くん!!」
士部崎が大きな声を出した
オレを含めてその場にいた者が士部崎に注目した
「私、、もう北大路くんに誰かを傷つけて欲しくない。殺して欲しくないよ」
「「「!!!!!」」」
士部崎の言葉にオレ以外は驚いていた
「その方法は北大路くんも関係ない人も傷つけるよ。お願い、、別の方法を考えよう?」
涙を流しているが強い瞳でオレを見て士部崎は言った
オレはその眼に以前の士部崎とは何か違うと思わされた
「どういう事か分からないが士部崎さんの言う通りだよ。お願いだ!」
士部崎につられて弓ヶ浜もオレを見て言った
白里と烏藤も言いはしなかったが、オレの方を見てきた
その眼に、、その言葉に気持ちが揺らいだ
真田に対してした事をオレは少なからず後悔していたから・・・
そして士部崎の変化に確かな強さを感じたから
オレとは違う成長をしている士部崎に、どこか惹かれるような気がした
だから・・・話す事にした
士部崎はオレの事情を知っているのだから、遅かれ早かれ他の奴も知るだろうとか自分に言い訳して話し始めた
今日迄の、、オレの物語を・・・




