第13話 手にする衝撃
立ち尽くした。そしてあの時の記憶が蘇った
(これだ。あれを"能力"に出来れば・・・)
汐留との会話を思い出した
「汐留さんは、成長率では"見聞系能力者"に負けると言っていたけど、能力の可能性なら大我を上回れるはず」
そう考えるとじっとなどしていられなかった。ただ、今見えた希望を追いかけずにはいられなかった
「どうするか、、扉の向こうは警察の人が居るし」
(けど、どうしてもあの雷をもっと近くで見たい・・・感じたい)
思考を巡らせているとホテルの部屋に付いている窓に気づいた。ただの興味本位だったが窓に近づき開けた
「とてもじゃないが、ここからは無理だな」
(空を飛ぶ能力があれば別だけど、今そんな事考えてもしょうがないしな)
時間だけが過ぎて辺りは暗くなって来た
そんな時、ある事を思い出した
「待てよ?"絶壁闇夜"で熊の攻撃を防いだ時、熊自体には効かなかったけど、アイツの攻撃は無力化してたよな、、」
熊との戦闘で音や衝撃を感じなかった事を思い出しそれについて考えた
「"絶壁闇夜"を使ってここから飛び降りれば脱出出来るかも、、違っても壁としての役割があるならどうにか助かるかもしれない」
(完全にギャンブルだな。それも自分の命を賭ける。それでもこれが1番可能性があると思う)
オレの中に、今動かないという選択肢は無かった
改めて窓から下を見た。躊躇したくなるほどの高さだったが、それでもやるしかなかった
(いける!信じるんだ自分の能力を)
「"絶壁闇夜"」
オレは窓から飛び降りた。付けていた眼帯は落下の風圧よって飛んでいった
身体から出た闇がオレを包んだ。余りのスピードに耐えられず眼を閉じた
何秒?何十秒?何分?一体どれだけの時間が経ったか分からないが、眼を開けるとオレは地面の上で寝ていた
「よしっ!!!やった!やったぞ。思った通り落下の衝撃を消す事が出来た」
起き上がり興奮しながら落ちて来たホテルの方を見た
「きゃぁ~〜〜〜!!!」
「人が、人が落ちて来た!!!」
気づくのに遅れたが、オレの周りではパニックが起きていた。雨が振り、辺りが暗くなっているとはいえ人はちらほらいた
その人達からすればいきなり人が落下してきたのだからパニックになるのは仕方の無い事だった
「ヤバい!逃げないと」
オレは更に多くの人や警察なんかが来ると思い走ってその場から逃げた。ただ、やみくもに走るのではなくちゃんとした目的地があった
(雷を近くで見るのなら高い所だ。山はこの辺りには無いし、ビルなんかの屋上は出入り出来ない。なら残された場所は、、学校だ)
そう考え学校に向けて走った
どのくらい走ったか分からないが到着した
「はぁ、はぁ、はぁ〜っ!やっと着いた」
(学校も問題あるだろうけど、それでもここが1番マシだよな)
「"絶剣闇夜"」
鍵の掛かっている扉を壊し中に入った。
屋上までのルートも分かっているので迷わずに行けた。屋上につながる扉にも当然鍵は掛かっていたが同様に壊した
屋上にたどり着くとそこから空を見上げた。雨が顔に激しく当たり眼を開けているのが辛かった
それでも空を見上げた
空は漆黒の雲に覆われていた
"ゴロゴロ"と音をたてながら時折中で光っている様だ
(後は雷さえ落ちれば・・・)
しばらく待ったが雷は落ちず時間が過ぎた
「考えてみれば当たり前だけど、そう簡単に見える所に落ちる訳無いよな」
そう思ったが諦めることは出来なかった
(何か無いか?少しでも雷を落とせる方法は)
そんな事を考えているとオレの眼にある物が飛び込んで来た
(これだ!!)
"避雷針"
学校の屋上に付けられている避雷針が目に入った
「"絶剣闇夜"」
オレは右腕を上げその上に絶剣闇夜を出した。刃の形状をしているがとにかく長いモノを出した
(これで上手くいけば言う事は無いけど・・)
正直これで上手くいくなんて思わなかったが、とりあえず試してみるだけしてみようと思った
そんな思いとは裏腹に突如、頭上に閃光が走った!!!
そしてほぼ同じタイミングで落雷が絶剣闇夜に落ちた。凄まじい爆音を出しながら稲妻が"絶剣闇夜"と接触した
絶剣闇夜と接触した事で、雷自体は消えていったが、オレの右手には変な違和感があった
(な!?なんだこれ)
雷は消えたはずなのに右手は"痺れ"、"痛み"、"痙攣"があった
すぐに収まったが今度は"それら"が左眼に感じられた
「ぐあ゙ぁぁぁぁ〜〜〜」
左眼に感じるそれらは脳に直接訴えかけて来ているようで、堪らず声が出た
(どうにかなってしまいそうだ)
どのくらいの時が過ぎたか
ようやく収まった。視界や身体に特に違和感は残っていない
ただ気になったのでスマホで左眼を確認する事にした
スマホで自分の顔を見ると声を失った
(左眼が、、左眼が薄い青色になってる)
赤黒かった左眼は今全体的に薄い青色をしていた
(キレイだ)
「って!そうじゃない。何だよ・・・これ。一体何がどうなってるんだ」
遅れて混乱がやって来た。しばし混乱したが強引に何かを考える事で自分を落ち着かせた
「左眼が変わった理由が雷なら、きっと能力にも何か変化があるはず」
以前発現させる事を諦めた雷を能力として発現させてみる事にした
「集中しろ。雷を受けた"経験"を、その時の"想像力"そして"感情"を要素に発現しろ!!」
左眼が熱くなる感覚がした
それと同時に身体から稲妻が噴き出した
右手を前に出すと稲妻が集まった
"バチバチバチバチッ!!!!!!!!"
「出来た・・・!?」
一度は諦めた雷を・・・
あの衝撃を手に入れた
閉ざされかけていた道を自力でこじ開けた事に歓喜して浸った
「こら!!そこで何をしている」
(やばい!長く居過ぎた)
夢中になっていて気づかなかったが、学校の下にはパトカーが止まっており、屋上の入り口には数人の男達が立っていた
オレはまた連行されたのだった




