『三本角』の勇者〜後編〜
『ギィ!ギィ!』
「来てくれるの?ありがとう!」
三本角のモンスターはキオナを助けようと部屋を飛び出たエインの後を追いかけてくる。
「さあ、キオナの所に…!」
意気揚々とキオナの所へ急ごうとするが次第にその足が遅くなり次第に止まってしまう。
「そう言えば…キオナって、何処にいるんだろう…。」
『バウ…!?』
助けたい一心はあったもののよくよく考えてみれば、この城の何処にキオナがいるのか知らなかったのだ。そもそも自分が今城の何処にいるかも知らないのだ。
「どうしよう…。」
『…キャンキャン!』
困り果てているとロボはエインに何かを訴えよるように吠えていた。
『…キャン!』
ロボは地面の匂いを嗅いで、暫くしたらこちらを振り返り吠えてくる。まるで何かを指し示すかのようだった。
「もしかしてキオナの場所が分かるの?」
『キャンキャン!』
「そうだ」と言わんばかりにロボはその場を駆け回り、「こっちだよ」と暫く歩いた後に振り返る。
「よし、行こう!ロボ、キオナの所に!」
『キャン!』
ロボを先頭にエインと三本角のモンスターがキオナの元へと急ぐのだった。
『ギャギャギャ!』
「ひいいっ!?」
『ギュイイィィ!』
「ああああっ!?」
しかしながら城の中は血に飢えた獣達…ディモルフォドンやエンテロドンまで加わりどんどんと苛烈になり人々は次々とその犠牲になっていた。
「こんなことになってるなんて…!?」
昼間では全く見られなかった獣達の襲来と、それによってもたらされる地獄絵図のような光景に息を呑むエイン。
『ギャギャギャ!』
「うわっ!?」
城の廊下を走っていると窓ガラスを破ってディモルフォドンが転がり込んでくる。身体を起こすとエインに狙いを定めたのか不気味な唸り声を出していた。
『バウ!』
『ギャギャギャ!?』
しかし、その背後からロボが食らいつき前脚の翼膜を噛みちぎる。咄嗟のことに驚いたディモルフォドンは飛び立つも、暫く飛ばない内に力無く床に落ちてしまう。
『ギャギャギャ…!?』
「あ…翼が破けてる…。」
鳥と違って翼竜の翼は膜状の物であり、破けるともう二度と空が飛べなくなるのだ。エインにもこのディモルフォドンがもう空を飛べないことは理解出来た。
『ギュイイィィ!』
「っ!」
地獄絵図のような光景だが地獄の底にまで響くような鳴き声にハッとなって振り返るとエンテロドンがこちらを見ていた。
『ギュイイィィ!』
「わひゃっ!?」
イノシシのような見た目に違わず、エンテロドンは突進して来る。エインは咄嗟に壁から照明器具にぶら下がって回避する。
『ギャギャギャ!?』
エインは回避したがそもそもエンテロドンの狙いは彼ではなく、その背後にいたディモルフォドンの頭に齧り付いていたのだった。
「…行こう!」
『バウ!』
唖然となるも今は先を急ぐため再びロボに案内して貰う。
「はあ…はあ…!?」
「姫様…私…もう…!?」
その頃キオナと侍女のティアは部屋に入り込んだディモルフォドン達に抗っていたが力尽きる寸前だった。
『ギャギャギャ…!』
「ひうっ…!?」
捕食者ゆえに相手が弱りかけているのが分かっているのか、ディモルフォドンがにじり寄り今にも飛び掛かろうと態勢を低くする。しかしその直後にバリケードが外から打ち破られる。
『ギャギャ!?』
「「きゃあ!?」」
打ち破られたことで家具が雪崩のようにディモルフォドンの上に落ちてくる。低く構えていたために咄嗟に逃げ出すことが出来ずに、そのまま下敷きになってしまい他のディモルフォドン達も慌てて飛び立つ。
「な…何ですか?」
『ギィ〜!』
突然のことでキオナもポカンとしており、部屋の入り口を見てみると、まだ子供のようだが三本角のモンスターが頭を振っていた。
「スゴいパワーだね…。」
「エイン!?」
モンスターの正体は分からなかったが、その後ろにエインがいたことにキオナは割れんばかりの声を張り上げる。
「キオナ!」
「エイン!会いたかったですわ!!」
互いに再会に打ち震え抱き合おうとした瞬間にキオナが思わず立ち止まる。
「エイン…その匂いは何ですの!?」
「あ…ごめん…。」
色々あって忘れていたがエインの体は悪臭のする水溜りの匂いが付着していたのだ。再会の場面だと言うのに雰囲気がぶち壊しである。
「あの…キオナ様のご友人ですか?」
「あ、はい。あなたは?」
「私はキオナ姫様に仕える侍女のティアです。今は姫様を安全な所に移動させたいのですが心当たりはありませんか?」
しかしながら今はティアの言う通り、再会を喜ぶよりも安全地帯へ行くのが先決だった。
「安全地帯って言われてもここ以外に安全な場所なんて…。」
だが、一番安全なはずの城にまで恐竜や野獣達が入って来たことでもはや安全なこところなんて皆無に等しかった。
「ところでエインはずっと何処に…城の外がここまで大騒ぎになっていたのに…。」
「え?ずっと地下牢に入れられていたけど…。」
「地下牢ですって!?何故そのような所に!?」
城の外だろうと中だろうとかなりの修羅場だったはずだ。それまでどうやって無事にやり過ごしたのか聞いたキオナだったが、その返答に信じられないと言う表情を浮かべる。
「僕がキオナに手を出したとかって…。」
「手を出したって…私はあなたに助けられたと言うのに何たる非礼を…!?」
幾ら熱で寝込んだとは言え、命の恩人である友人がそんな目に合っていたと聞いたキオナは更に信じられないと言う様子で頭を抱えていた。
「姫様、今はここから離れないと…少なくとも地下牢に行けば安全かと。」
「そうね…エイン、案内してください!」
しかし少なくとも地下牢ならば鍵を掛けられるし、籠城するにはうってつけかもしれないとエインに案内させる。
「じゃあ、こっちに…。」
「貴様ー!?」
先頭に立って案内しようとするが部屋にリオーネが剣を手にしたまま飛び込んで来てエインを押し倒す。
「どうやって逃げ出した!また姫様に手を出す気か!?」
「うぐっ…!?」
服がボロボロであちこち傷だらけであり、よほど激しい戦いをしたと見て取れた。そんな激戦を潜り抜けたためかいつもより頭に血が上っていた。
「リオーネ!無事だったのですね!」
「姫様もご無事で…!」
恐竜達に襲われて安否を気にかけていたが、取り敢えず五体満足らしくホッとするキオナだがみるみると顔が険しくなっていく。
「あなたに聞きたいことがあります。」
「な…何でしょう…!?」
敬愛しているキオナから冷たい視線を向けられてさすがのリオーネも青ざめる。
「私はそこのエインに命を救われたのです。それなのにあなたや他の人達は彼の悪い所しか見ないで決めつけて、挙句の果てに罪人として幽閉するとは恥を知りなさい!」
「うぐっ…!?」
押し倒した際にエインに言い放った台詞からエインを幽閉したのはリオーネが主犯格で間違いないと判断したキオナは、リオーネに対して強く捲し立て萎縮させる。
「し…しかしこいつは…。」
「問答無用!あなた達がエインを蔑みの目でしか見ていないのなら、その顛末は彼を貶めるだけしかありません!そんなの聞き入れる訳がないじゃないですか!」
出会った時から多少アグレッシブな一面はあったが、打って変わって王族としての厳格な一面をこれでもかと見せるキオナにエインも傍らで唖然としていた。
「も…もう良いよキオナ…。」
「貴様!姫様を呼び捨てにするのか!?」
「私が良いと言ったのです!あなたは口出し無用!」
止めようとしたがそれが返ってリオーネを逆上させ、更にキオナを更に激昂させることとなった。
「姫様!今はここから…。」
「そうですね。リオーネ、これから私達はエインの案内で地下牢へと行きます!他の市民の方々も地下牢や鍵を掛けられる場所に避難させなさい!」
ティアの言葉で冷静になったキオナは取り急ぎ市民の避難をリオーネに指示する。
「はっ…仰せのままに…。」
キオナの指示には従うが彼女を避難誘導するのはエインだと聞いて、王女の身を守る者としてはこれ以上ない屈辱を味わい更には嫉妬心を滾らせる。
「エイン、案内を頼みます!」
「こっちです!」
リオーネが避難誘導に当たり、キオナはエインが通った地下牢へと続く道へと案内される。
「皆さん地下牢に!地下牢や鍵の掛かる部屋に籠城してください!衛兵の指示に従ってください!」
案内される傍らでキオナは避難誘導の手助けとして道行く人に声を掛け、衛兵がいれば遠回しに避難誘導をするように指示する。
「もうダメなんだ俺達は…!?このまま食い殺されるんだ…!?」
それを聞いていたのは一人の勇者らしき格好をした男で、彼は恐怖の余り塞ぎ込んでいた。
「そんなことはありません!あなた達はまだ生きてるじゃないですか!こんな修羅場は何度も潜った英雄ではないのですか!?」
誰もが英雄として輝かしい功績を挙げていたのに、この有様は何だとキオナは叱咤激励する。しかし彼は俯いたまま動こうとせず、周りにいる他の国民達も同様だった。
「姫様!?」
やはり心配になって追って来たリオーネが何かを一刀両断にすると、側に血飛沫と真っ二つになったディモルフォドンの死体が転がる。
「リオーネ…!どうして…。」
「やはり気になって様子を見に来たが…エイン!それとティアも!姫様にモンスターが迫っているのに気が付かなかったのか!」
人々に声をかけるのに夢中で気が付かなかったが、ディモルフォドンがキオナに急降下しているのを見たリオーネは、いても経ってもいられずに助太刀したのだ。
「姫様を安全な所に連れて行く身でありながら何を…ぐあっ!?」
声を掛けるに夢中でキオナの安全を疎かにしたエイン達を咎めるリオーネだが、彼女も咎めるのに夢中で背後からの突進に気が付かなかった。
『グオオオ…!』
「ぐっ…しまった…!?」
背後にはナイフでつけられた傷跡を顔に持つティラノサウルスの子供がいて、リオーネは噛まれはしなかったものの倒された後に左脚を載せられ動けなくなる。
「リオーネ!?」
助けようとするも「邪魔するな」と言わんばかりに吠える子供のティラノサウルス。まだ幼い見た目ながら小さな相手なら逃げ出しそうな唸り声だ。
「誰か手を…!?」
「お願いします!?」
エインとティアも周りの人達に助けを求めるも、自暴自棄になっているか、はたまた萎縮するかで頼りにはならなかった。
「姫様…逃げて…!?」
「リオーネ…!?」
小さいとは言え噛まれれば重傷は間違いない。それどころかリオーネの頭蓋骨が粉砕するまで決して離さず噛み続けると言う地獄の苦しみを受けるはずだ。
「姫様に仕えられて…幸せでした…。」
最後まで守れなかった未練は残るものの、最後に見る顔がキオナの顔だったことにリオーネは満足そうな笑みを浮かべていた。
「そんなの…!?」
リオーネの死へのカウントダウンはキオナだけでなくエインも見ていたが、彼は恐怖で竦む身体を震わせ握り拳を作るのだが次第にパチパチと静電気のような物が生じていた。
「そんなのダメ!?」
気が付くと走り出していたエインは子供のティラノサウルスの顎がリオーネの頭に到達する前に飛び付いたのだ。
『グオオオン!?』
「うわっ!?うわあっ!?」
いきなり顔に飛びつかれたために思わず頭を振り回すティラノサウルス。しかしエインも離してなるものかと必死にしがみついていた。
「エイン!?」
「なんて無茶を!?」
助けるためとは言えかなりの無茶を…いや、寧ろこれは無謀と言っていいエインの行動に二人は開いた口が塞がらないでいた。
『ギシャア!?』
ティラノサウルスは顔にへばりついているエインを振り解こうとしていたが、尻尾に痛みが走ってそれどころではなくなる。
『グルルル…!』
「ロボまで!?」
エインの行動に触発されてロボまでもがティラノサウルスの尻尾に噛み付いたのだ。
「その人から離れろ〜!?」
『グルルル…!』
何とかしてリオーネから離れさせようとするがティラノサウルスは脚を離さない。だからこそエインとロボも放すつもりは毛頭になかった。
「ぎゃっ!?」
『ギャン!?』
だが、相手は子供とは言え暴君竜としての力は持ち合わせており、頭と尻尾を床に振り下ろしてエインとロボを振り払う。
「う…ううっ…。」
『グルルル…!』
「エイン!?」
床に叩きつけられ意識が混濁しているエインに噛みつこうとティラノサウルスは顎を開いて迫ってくる。
『グア!?』
するとエインの身体からパチパチと静電気のような物が発せられており、顎を近付けた途端に電気が流れその痛みでティラノサウルスは怯んでしまう。
「今のは…?」
「え…?」
何が起こったかは見ていたキオナにも、意識が混濁していたエイン本人にも分からなかった。
『ギィ〜!』
訳が分からないでいると三本角のモンスターがその間にティラノサウルスを狙って駆けていく。
『ギャアアア!?』
そしてモンスターの三本の角はティラノサウルスの右脚にクリーンヒットし、ミシミシと骨を軋ませる音を響かせ、そのダメージにティラノサウルスは悲痛な悲鳴を挙げて倒れる。
「かはっ…!?けほっ…!?」
「リオーネ!?大丈夫ですか!?」
倒れたことでリオーネはティラノサウルスと圧迫感から解放され暫く咳き込んでいた。
『グルルル…!?』
『ギィ!ギィ〜!』
脚を引きずりながら立ち上がり三本角のモンスターを睨みつけるも、モンスターも引き下がる気はなく角を振りかざしながら威嚇する。
『グアアア!』
「ダメ!?」
大きな口を開けてモンスターを喰らおうとするが、エインが今度は右側から首にしがみついたことでバランスを崩し再び倒れてしまう。
「ぐううっ〜!?」
「エイン…身体から何を発しているのですか…!?」
無我夢中でモンスターを助けようとして、結果的に…ティラノサウルスを押し倒したエインだが、その身体からはバチバチと青白い電流のような物が流れ出ていた。
『グルルル…グオオオン!?』
電流の痛みに耐えられなくなったティラノサウルスは暴れながら起き上がると同時にエインを振り払い、左脚を引きずりながら去っていく。
「はあ…はあ…もう大丈夫だよね…?」
「エイン!何処かケガをしたのですか!?」
危機が去ったのを見てエインはその場に寝そべってしまい、キオナも思わず駆け寄って安否を確認する。
「あ…あはは…な…何か…安心したら今になって怖くなって…力が入らなくなっちゃって…。」
考えるより先に身体が動いていたが、今になって恐怖心が蘇り、寝そべりながらも涙目でキオナに話し掛けるエイン。
「…無謀にも程がありますわよ。でも無事で良かったですわ。」
「おい…何故、私を助けた…。」
呆れつつも無事であったことにキオナもホッとしたように微笑む中、リオーネは何故自分を助けてくれのかと質問する。
「私は…私は散々お前に酷いことをしたんだぞ。迫害し地下牢に閉じ込め、挙句の果てにはお前を囮にしたんだぞ…そんな私を何故…。」
「リオーネ…。」
殺されそうになった所を助けられ、思わず恩義を感じたリオーネは懺悔するかのように呟く。
そんなことまでしていたのかとキオナは一言文句を言ってやろうとしたが、リオーネは忌み嫌って迫害したエインに助けられた屈辱と恩義の板挟みになっているのを見て何も言えなくなる。
「助けるのに…理由なんているの?」
「それは…。」
「でも、ない訳じゃないよ。」
確かに誰かを助けるのに理由なんていらないが、エインは全くないと言えば嘘になると話す。
「だって…あなたが死んだらキオナが悲しむし、あのまま殺されたあなただって悲しいんじゃないかって…。」
「…!ぐっ…!?」
百歩譲ってキオナを悲しませたくないのは同意出来た。そのためなら死ぬことすら覚悟していた。
しかしエインはこれまで迫害してきた自分のために命を懸けて守ってくれたことに苦虫を噛み潰したような顔を浮かべていた。
「リオーネ、あなたはエイン達に命を救われた以上、もう蔑むことは出来なくなりましたね。」
「はい…返す言葉もありません…。」
もしも逆の立場としてエインが襲われたとしてリオーネにも同じことが出来たか?
その答えは一目瞭然であり、リオーネはエインをキオナの命令だとしても助けず、寧ろ処刑する手間が省けたとしてそのまま見殺しにしていただろう。
そのことを見透かしていたであろうキオナの叱咤激励とエインへの恩義によりリオーネはもはや勝てないとガックリと項垂れるのだった。
「あの…僕はなんて言ったらいいか…そんなに気にしなくても…。」
「うるさい!お前に助けられた以上、姫様に仕える騎士として命を救われた借りは返さねばならない!」
エインは別に恩を売るためにやったことではないが、結果的にそうなってしまったためリオーネもヤケクソ気味に借りを返そうとする。
「ましてや魔法もスキルも使えなくなっては貴様と大差変わらん…。」
「本当にスキルも魔法も…なくなったんですね…。」
これだけは国民の士気を下げるため認めたくはなかったが、スキルも魔法も使えないなんて『無能』だと蔑んでいたエインと同じ立場にあると嫌でも認める他ならなかった。
「しかしエインは何か電流のような物が出ていましたが…。」
「えっと…僕は何かしたつもりは…。」
そのことでキオナはエインが電流のような物を出していたのを指摘するが、本人からすれば何が起きているかは分かっていなかった。
『ギィ…。』
『キャン!』
「そもそも僕は特別な力なんてないよ。この子やロボが助けてくれなければ今頃…。」
三本角のモンスターとロボが擦り寄って来て、エインは優しく頭を撫でる。
「それにしても…こんなモンスターは図鑑でも見たことがないですね。アースドラゴンのようにも見えますが…。」
アースドラゴンとはドラゴンでありながら翼がなく、地上で生活をするドラゴンだ。それっぽく見えはするがやはり別種のようにも思えた。
「しかしあれほど大きな相手を前にしても、勇敢にリオーネやエインを助けてくれたことは称賛に値しますわ。ちょうど槍みたいな角を持ってますしナイトの位を授けても宜しいかもしれませんね。」
この三本角のモンスターは自分達の膝小僧ほどの大きさしかないが、人間の頭一つ抜きん出たティラノサウルスの子供にも果敢に挑む様は確かにナイトの気構えがあった。
「姫様…モンスターにナイトの位なんて勿体ないです。」
「あら?そのモンスターに助けられたのは誰だったかしら?」
これまでの意趣返しとして、クスクスと笑いながらリオーネに意地悪なことを言うキオナ。
「この子は何と言う名前なんですか?」
「名前…そう言えば決めてないや。」
今気付いたがこの三本角のモンスターにはまだ名前がなかった。
「そうでしたの?では…あなたの角の配置、まるでフォークのように見えますね。そう…『フォーク』にしましょう!」
正式にナイトの位を与える訳ではないが、キオナはこの三本角のモンスターに『フォーク』と言う名前を与えるのだった。
無論この三本角のモンスターにも正式名称があり、ティラノサウルスと同じく『恐竜』の仲間であり、三本の角を持つことから『トリケラトプス』と呼ばれていた。