秘密が『眠る』花園
「そろそろ寮に戻りますわよ」
「そうですね」
時間は夕刻になり男子生徒は男子寮に、女子生徒は女子寮へと分かれて向かうことになる。
「いよいよね。バレないように気を付けて」
「はい…」
寮への道はT字路のように男子と女子とで分かれているが、女子寮へ続く廊下には『男子禁制』の貼り紙が貼られていて警告する物はもちろん、『お前のこと!』や『入ったら…分かるわよね?』など個人を指し示すような物も貼られていたためエインも少し緊張していた。
「夜になればきっと寮内で何か動きがあるはずよ。見逃さないでね」
今回の潜入捜査の目的である侵入した連続殺人事件を引き起こしたモンスター、コードネーム『引き裂きジャック』は夜行性であるため行動を起こすとするのなら今夜寮内で行われるはずだ。
「私はこの子に寮の中を見せて回ってくるわね」
「そうですか。私達は先にお風呂を頂きますわ」
「ラーナ、あなたもお風呂に行ってロイルが何かおかしな行動をしないか見てくれる?」
「分かりました」
モルマは上手く立ち回ってエインが混浴するのを防ぐと同時にラーナに見張りをさせるのだった。
「寮の中は見た感じ、怪しそうな雰囲気は無さそうでしたね」
「そうね。やはり基本的には外で飼育しているのでしょうね」
まずほ女子寮内を捜索したり、他の女子生徒に聞き込みするもモンスターの形跡や目撃情報は得られなかった。それでもモンスターは寮内にはいないことだけが判明出来たのだった。
「カイくん達が言うには相当身体が大きかったらしいけど」
「隠すとしたら馬小屋か備蓄倉庫かしら」
相手は木の幹の高い位置に爪痕を遺しているため、サイズ的にも熊にも匹敵するため隠れる場所は限られているはずだ。
「僕は馬小屋に行ってみます。馬が何か知っているかもしれません」
「そうね。あなたならあのワイバーンもどきの子供とも意思疎通が取れていたし、お願いするわ」
候補として挙がった馬小屋には生体電流でモンスターや生き物と意思疎通が取れるエインが向かい、モルマは残る備蓄倉庫に向かうことにするのだった。
「きゃあー!?」
「今のは?」
「私が行くから先に行ってて」
直前に女子生徒の悲鳴が聞こえてきて騒然となるも、そこはモルマが対応しに向かいエインは先に候補として挙がった場所に向かうのだった。
「どう言うことですの!?」
「ない!ない、ない!?」
「どうしたの?」
悲鳴の大元は脱衣所からであり、モルマが中に入るとタオルを巻いた女子生徒達が青ざめながら何かを探し回っていた。
「私達の下着がないんですの!」
「あたしのも失くなってる!」
「お気に入りの可愛いのが〜!?」
彼女達は全員が口を揃えて下着が失くなったと騒ぎ立てていた。
「まさか下着泥棒?」
幾らここが異世界とは言え、いきなり下着が失くなるなんてことはあり得ない。考えられるとしたら下着を盗む輩の仕業だろう。
「モルマ先輩〜、あたしの下着も盗まれました〜!?」
「ラーナまで…」
しかもロイルを見張っていたはずのラーナまで下着を奪われたと聞きモルマは唖然となる。
「花も恥らう乙女の下着を盗むとは…許しがたいですわ!」
「一体何処のどいつだ!とっちめてやる!」
「そうですよ!モルマ先輩も手伝ってください!」
「引き裂きジャックを追っていたはずなのに…まさか下着泥棒を追う羽目にになるなんて」
下着泥棒は女の敵の代表格であるため被害に遭った女子生徒が許すはずがなかった。ラーナも被害者の一人であるため最初の目的を忘れ、モルマをも巻き込んで犯人を見つけ出そうと躍起になっていた。
▷▷▷
「どうしよう…馬小屋へ向かってたはずなのに、ここは何処だろう」
その頃エインは目的地に向かっていたはずなのだが、昨日今日とでは学校の構造を覚えることは出来ず、まるで秘密の国のアリスのように道に迷ってしまっていた。
「あれ、この柵はなんだろう」
ふと、強い力で壊された柵が目に入り何事かと注視すると土を踏み締めたであろう跡が学校の中へと続いているのが目に入った。
「まさか引き裂きジャックがやったのかな」
もしやと思い、エインは警戒しながら跡を追って学校の中に再び入るのだった。しかしこれらは全てリリー達の仕業と言うのは知る由もなかった。
「と言っても何処に行ったのやら…」
しかし道に迷っている状況は変わっておらず、引き裂きジャックを見つけるどころではなかった。
「わっ!?何だ!?」
すると頭にズシッと何かが飛び掛かったような重量が襲い、突然のことでエインも慌てて振り払う。
『クキュウ』
「君は…『メイ・ロン』だね」
名前からして人の名と思うかもしれないが、それはエインの目の前にいるのはアヒルサイズの羽毛恐竜の名前だった。
『キュウ…』
「あ!それは僕のリボン!返して!」
メイの口には頭に飛び乗った際に奪ったのだろうか、エインが女装する際に髪を結んでいたリボンが咥えられていた。
『クキュウ!』
「待って!」
エインの意思に反するようにメイはリボンを咥えたまま反対方向へと走り出してしまう。
『クキュウ!』
「この穴は…?」
するとメイは人工的に開けられたであろう壁に開けられた四角い穴の中を通り抜けていき、エインもその後に続いていく。
「ん…く…狭い…それに何だかこの中はヤケに風が流れてるような」
穴は狭苦しいが何とか通れる範囲で、恐らく通風孔なのか中を暖かい風が流れていく。
「何だか眩しい…」
暗い穴の中を進んでいると中がやたらに明るくなり、前方に格子状の蓋があるのが目に入る。
「きゃあっ!?何なの!?」
「誰なのあなた」
「あれ、ここは?」
蓋を押し退けると何処かの部屋らしく、そこでお菓子を食べたりして寛いでいた女子生徒を驚かせてしまう。
「そんな所で何やって…って、頭に乗せてるそれって!」
「頭?」
そこの女子生徒達はエインが通風孔から出てきたことはもちろん、頭に乗せている物を見て更に驚いていた。
「何これ」
「それ…失くしたと思ってた私の下着!」
一体何処でくっついたのかエインの頭には女性用の下着が乗っていたのだ。しかも持っていたのはこの部屋の生徒の物だったようだ。
「あなたが下着泥棒だったのね!」
「え、下着泥棒って…待って、何のこと」
「問題無用!それが動かぬ証拠よ!」
弁明しようとするが下着を何故か持っていたことでエインは下着泥棒の容疑者にされてしまう。
「とにかく降りてきなさい!」
「う…ごめんなさい!」
エインからすれば何故他の女子達から怒られているか分からないし、今はメイを追っているため謝りながら通風孔の中へと戻っていく。
「どうしよう…こんなことになるなんて」
一応は潜入捜査をしているのに、こんな悪目立ちしてしまってはエインでも良くないと分かっていた。どうしようかと途方に暮れていると、湯気が充満する場所でガコンと言う音と共に浮遊感を覚える。
「うわああああっ…わぶっ!?」
どうやら通風孔が壊れて、エインは転げ落ちてしまったようだ。しかしすぐに水面らしき場所に落ちたらしく水しぶきが派手な音と共に飛び散る。
「温かい水…?ここって、お風呂?」
何が起きたか分からなかったが落ちた場所がお湯が張られた場所で、すぐにここが入浴施設であると理解出来た。
「あなた…いきなり何をするの」
「え…あれ…」
湯気と場面が目まぐるしく変わったために気付かなかったが、エインは落下の際に一人の女子生徒を湯船に押し倒していたのだ。しかもここは入浴施設であるため、彼女は衣服を一切身に着けてない生まれたままの姿であった。
「あなたは確か…メロルさん?」
「あなたは確か今日転入してきたエイヌちゃ…ん?何この感触?」
その女子生徒の正体は容疑者の一人であったメロルだった。彼女も呆然としていたがふと自身の膝がエインの股間に当たっているのと、そこから伝わる独特の柔らかな感触に首を傾げる。
「あー!見つけたわよ下着泥棒!」
「犯人は犯行現場に戻って来るとは聞いたけど本当だったのね!」
騒ぎを聞きつけたり、目撃した女子生徒達も入浴施設に集合しエインを完全に容疑者として見ていた。
「待って!僕は何も…」
「じゃあ、その手に持っているのは何?それは私のお気に入りのウサギのパンツじゃない!」
最初は逃げてしまったが濡れ衣だと説得しようとするエインだが、彼の身体にはいつの間にか女性用下着が絡まっていて説得力がなかった。
「突然モンスターのことをベラベラ話したと思ってたけど、まさか下着泥棒だったなんて!」
「男じゃないだけマシだけど、こんなことして許されると思うの!」
授業で目立ってしまったことでエインは生徒達の印象に残っていたようだが、そのために彼が下着泥棒としてより疑われる羽目になってしまった。
「そんなこと言われても…あ、メイが!」
何とか弁明しようとするがエインは脱衣所の方で先程のメイ・ロンが騒ぎのどさくさ紛れにゴソゴソと下着を盗み出しているのを目にする。
「メイ?誰のこと?」
「待って!それを返して!」
人の名前かと勘違いした女子生徒達が目を合わせる中で、エインはメイこそが下着泥棒の犯人だと確信して捕まえようと彼女らの側を通り抜けて脱衣所に走り出す。
『ギギィ!』
「待って!それはあの人達の」
メイは下着を盗み出し、脱衣所から廊下へと走り抜けて行き、エインも後を追うように脱衣所の外へと出る。
「って、待ちなさいー!」
「なにちゃっかり逃げてるのよ!この下着泥棒ー!」
「うわあっ!?何でこんなことに!?」
ところが走り出したはいいものの、それが女子生徒達に逃走しようとしていると勘違いされてしまったらしく、鬼気迫る彼女達から逆に追い回される羽目になってしまう。
「回り込みなさい!相手はこの施設内のことはよく知らないはずよ!」
「あの下着、とっても高かったんだからー!」
「捕まえたら下着をひん剥いてやるー!」
エインに取って下着なんて服の下から着るだけの物で、盗られることに何をそんなに怒っているのかは理解出来なかったが、捕まったらイジメられた時と同じような目に遭うことだけは本能的に理解出来た。
「あれ、下着がない!」
「あの子が犯人よ!」
「逃さないんだから!」
「ちょっと!どれだけ盗んだのさ〜!?」
逃げても逃げても追手は見えなくなるどころか、メイがあちこちの部屋から盗みを働いたために、気が付くとほぼ女子総出で下着泥棒の容疑が掛けられたエインを追いかけ回していた。
「エイヌさん〜!もう観念なさい〜!」
「年貢の収め時でござる!」
「うわわ…どうしよう」
振り切ることも叶わずエインは食堂にてロイルや頭巾から覗かせる茶点て道具に似たポニーテールと布のマスクがトレードマークのくノ一のような生徒を筆頭に女子生徒達から取り囲まれて逃げられなくなってしまう。
「何故こんなことをしたのかハッキリ言いなさい」
「さもないとお仕置きだよ!」
「いやいや、ここは拷問の練習に使うのも…ひひひ…」
凛とした様子で問い詰めるロイルだが、中には拷問を辞さないと言う様子の女子生徒もいた。ところが調理場の方から器具がガチャガチャと落ちる騒がしい音がしたと思えば何かが飛び出してくる。
『ギァ〜!?』
「岩石トカゲ!?」
「なんでこんな所に!?」
飛び出したのは全身を硬い甲羅のような物で身を固め尻尾がモーニングスターのようになった亀のようなモンスターで、女子生徒達は岩石トカゲだと認識して一斉に警戒する。
「ゴンちゃん…?」
しかしエインだけはそれが岩石トカゲではなく、アンキロサウルスのゴンだと見抜いていた。しかしゴンの様子がどうにもおかしいことに首を傾げていた。
『ギァ〜!?ギァ〜!?』
「ちょっと何なのよ!」
「不覚…!」
ゴンは鎧に覆われた身体と尻尾のコブでテーブルやイスを蹴散らし、女子生徒達を近付けないよう暴れる様はまるで前後不覚に陥ったかのようだった。
『ギァ〜!?』
「きゃあ!テーブルが…!?」
「おっとっと…うわっ!今度は何!?」
飛んでくるテーブルやイス、更にそれを避けている女子生徒達を回避するエインは突然誰かに腕を引かれる。
『ギァ〜!?』
「な…何だったの今のは?」
ゴンは暫く食堂で暴れた後で窓を破って何処かへと走り去ってしまい、女子生徒達は突然のことで唖然としたまま立ち尽くしていた。
「あれ、エイヌさん達がいない…」
「しまった!どさくさに紛れて逃げたか」
辺りが静まり返り、エインがその場にいないことに気が付いた女子生徒達は一斉に辺りをキョロキョロ見回すも見つけられなかった。
「まだ近くにいるはずですわ。ハヤテ!」
「何でしょうかロイルお嬢様」
ハヤテと呼ばれたのはロイルと共にエインを追い詰めたくノ一のような女子生徒だった。
「彼女を見つけ次第捕らえなさい。そしてまず私の前に連れて来なさい」
「承知」
指示を聞いたハヤテは正しく忍者のような素早い動きでエインの後を追いかけるのだった。
「この部屋の中も…温かい」
その頃エインは少し薄暗い部屋の中に連れ込まれたのだが中は温かい蒸気が充満していた。そこにはエイン以外にはショートカットの魅惑的な体を持つ女子生徒がいた。
「ボイラー室だよ。ここは滅多に人は来ないから安心して」
「メロルさん、どうして僕を」
エインをここへ連れてきたのは先程お風呂で押し倒してしまったメロルだった。濡れ衣とは言え下着泥棒になってしまった自分を庇うようなことをするなんて理解出来なかった。
「僕ねぇ…やっぱり君、男の子でしょ?」
「な…何を言って…僕…いや、私は…」
呆然としていたためにいつもの一人称で質疑応答していたことに、ハッとなったエインは慌てて口を塞ぐも何とか誤魔化そうとする。
「お風呂で押し倒された時にね。私の膝が君の股に当たった時、不思議な感触がしたからもしかしてとは思ったけどね」
少し顔を赤らめながらメロルは押し倒された時に伝わってきた感触を説明し、その言葉にエインは思わず下半身を見てしまう。他に女子生徒がいたらこれが状況証拠で男だと決めつけられてしまうだろう。
「どう言うつもりかは知らないけど、君は男の子なのに女の子の格好をして、女の子しか入れない場所に入って来て、挙句は下着を盗んだり私や他の女の子の裸を見たんだよ?これは悪いことだよ〜?」
「うっ…ううっ…」
エインに取っては女の秘密なんて何が重要なのかは分からないが、メロルは不敵な笑みを浮かべながら女子生徒達の怒りを代弁するかのように、圧倒的な胸部で彼を押し潰さん勢いで迫ってくる。
「このまま君が男の子だとバレたら、さっきの女の子達にどんな目に遭わされるかなぁ〜?」
「僕を…どうするの?」
自分の正体に気付きつつも、その顛末を想像して楽しむメロルにエインは恐る恐る訊ねる。
「ふふふっ…そうだねぇ。何でここに案内されたか分かる?」
「え?」
その返答にエインは再び唖然とする。メロルからすれば敵であることは変わらないため助ける理由はないはずだ。
「実は私も人に言えない秘密があるの。それを守って欲しいの」
「守るって?」
『守る』と言う単語の意味は理解出来るが、問題はメロルの何をどう守るかだった。するとボイラー室の奥から物音がしてくる。
「ちょうどお腹空いちゃったみたいだね」
よく見るとメロルの足元には生魚が入ったバケツが置かれており、彼女をそれを手にして物音がした方へとエインの手を引いていく。
「守って欲しいのはね…出ておいで」
奥へ行くに連れて暗さは増していき、メロルはそこに向かって誰かに呼び掛ける。すると奥の暗所から何か大きな身体と大きな鉤爪がのっそりと出てくる。
『クオオオ』
「『デイノケイルス』…!」
前脚には大きな鉤爪を備え、全身は羽毛に覆われており、口はヘラサギのような平べったく長い嘴と複数の特徴を持つ恐竜『デイノケイルス』がメロルの声に応じて姿を現したのだ。
「ネイルよ。大丈夫、この子は何もしないわ」
『クオオオ』
最初はエインも警戒するもメロルがバケツの魚をデイノケイルスのネイルに与えているのを見てホッと肩を落とす。
『クオオオ…」
「…よしよし、この人に良くして貰ったんだね」
卵の頃からメロルに育てて貰ったとネイルのビジョンを読み取ったエインは優しく顔を撫で回すのだった。
「この子のことが分かるの?」
「この異世界に来てから何でか分かるようになったんですよ。メロルさんがネイルを大切に育ててきて、今起きている殺人事件の犯人に疑われないようにしていたことも」
メロルはネイルの育ての親でもあるが、ビジョンでは殺人事件の犯人に疑われることもだが、オーサイスなどのきな臭い人間に見つからないよう隠してくれた記憶もあった。
「そう…打ち明けれたのが君で良かった」
偶然とは言え、秘密を打ち明けたのがネイルと自分の心を理解出来るエインで良かったとメロルは嬉しそうにしていた。
「時々公園に連れ出してはいるんだけど、何か騒ぎを起こしたみたいでね。たくさんの人が警戒してるみたいなの」
公園でカイとカナを怖がらせ、魚を食べていたモンスターの正体はデイノケイルスのネイルだったのだ。メロルがたまに散歩と称して外に出していたらしく、それが元で今回の騒ぎが起きてしまったようだ。
『ギギィ』
「あ、あの時のメイだ」
バケツの魚をちゃっかりメイが食べており、なんでここにいるのかと首を傾げるエイン。
『ギギィ…』
「あ…それって…」
するとメイは魚を咥えて下着で出来た鳥の巣のような物に座り込むのを見てエインは再び唖然となる。
「いつの間にかここに住み着いてネイルの魚を食べたりしてたんだけど…気が付くと何処からか下着を持ってきていたと思ってたら君が盗んでたんだね」
メイの存在自体はメロルも知っていたようだが、寮から女子生徒の下着を盗んで巣の材料にしていたことは知らなかったようだ。
「君に下着泥棒の容疑が掛かっていると聞いてまさかとは思ったけど…」
メロルがエインを助けてくれた理由の一つとして、メイが下着を巣の材料にしていたからであり、疑念が確信に変わったことで慌てて助けに入ったのだ。
「ごめんね。これは…お詫びの印よ」
「ほぇ…」
するとメロルは謝罪しながらエインの頬にキスをしたのだった。そのことに彼はレーヌにキスされた時と同じように宇宙空間に放り出されたかのような感覚を味わうのだった。
「それで…君の秘密を守るためにも私のお願いも聞いてくれるかな」
「…どんなお願いですか?」
キスの余韻からハッとなったエインはメロルからのお願いを聞こうとする。
「ネイルを守って欲しいの。出来ればこの子のことを探し回っている人達からね」
エインの立場を知ってか知らずか、メロルのお願いは遠回しに潜入捜査の妨害、平たく言えばモルマ達を裏切ることも同然の内容だった。




